インタビュー
» 2013年04月04日 10時30分 UPDATE

商品企画、デザイン、機構設計編:「Xperia Tablet Z」開発者インタビュー(前編)――極限の防水スリムボディを徹底解剖する (1/4)

短期間で驚くべき進化を遂げた「Xperia Tablet Z」。防水防塵の超薄型軽量ボディをどのように実現したのか? 強度は問題ないのか? 開発陣にじっくり話をうかがった。

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

・→後編 超薄型と高画質を両立できた謎に迫る

薄さと軽さを徹底追求してフルモデルチェンジ

tm_1304xtziv1_01.jpg 10.1型Androidタブレット「Xperia Tablet Z」。本体サイズは266(幅)×172(高さ)×6.9〜7.2(厚さ)ミリ、重さは約495グラムと非常に薄くて軽いボディが目を引く

 ソニーの3世代目となるAndoridタブレット「Xperia Tablet Z」は、先代(第2世代)の「Xperia Tablet S」や初代の「Sony Tablet S」からボディデザインを一新、超薄型軽量のフラットボディに生まれ変わった。

 厚さ6.9ミリ(最厚部で7.2ミリ)、重さ約495グラムという数字は、10型クラスの液晶ディスプレイを搭載するタブレットで世界最薄にして国内最軽量、10型以上の防水タブレットで世界最軽量を誇る突出した値だ(2013年2月26日現在/同社調べ)。それでいて、防水(IPX5/7相当)と防塵(IP5X相当)の性能、洗練されたデザインまで兼ね備えているのだから、注目を集めるのもうなずける。

 製品ラインアップとしては、まずNTTドコモ取り扱いのLTE/3Gモデル「SO-03E」が2013年3月22日に発売された。4月13日にはソニーマーケティングがSO-03EからLTE/3G機能を省いたWi-Fiモデル「SGP312JP/B・W」を発売する予定だ。

 PC USERではいち早く、Xperia Tablet Z(Wi-Fiモデル)の試作機によるファーストインプレッションを掲載したが、今回から開発者インタビューの模様を2回に渡ってお届けしよう。

tm_1304xtziv1_02.jpg 「Xperia Tablet Z」を開発した主要メンバー。前列の左がカメラ担当の天野氏、右が商品企画の田中氏、後列の左からデザイナーの杉山氏、デイスプレイ担当の中川氏、機構設計を行った守屋氏

スマートフォンとタブレット、両方あるからこそできる体験を提供したい

―― 先代機のXperia Tablet Sが発売されたのは2012年9月でした。今回のXperia Tablet Zは、2013年3月の販売開始(ドコモモデル)です。約半年という短い期間でのフルモデルチェンジに驚いたのですが、開発の経緯を教えてください。

tm_1304xtziv1_03.jpg 商品企画を担当した田中氏

田中氏 Xperia Tablet Sの開発はソニーが行いましたが、このXperia Tablet Zから開発がソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)に変わりました。

 具体的には、ソニーのVAIO&Mobile事業本部からタブレットを手がけてきたメンバーがソニーモバイルに異動し、協業して開発する体制になりました。つまりソニーモバイルにスマートフォンとタブレットの開発部隊が集まり、それぞれに培ってきた技術やノウハウを生かしつつ、スマートフォンとタブレットを同時に開発できるようになったのです。

 ご存じの通り、2012年にソニーモバイルは、ソニーとエリクソンの合弁会社から、ソニーの100%子会社になりました。そこでソニーとして今後どういう製品を提供していくべきか議論を重ねた末、生まれてきたのがスマートフォンの「Xperia Z」とタブレットのXperia Tablet Zです。2013年のはじめに、新しいソニーのビジョンを見せるため、このタイミングでスマートフォンとタブレットを同時に用意することが必要でした。

 2世代目からの投入期間が短いということは開発段階から分かっており、「短すぎるのではないか」という議論もあったのですが、やはり2013年のソニーの世界を伝えるためには欠かせないという結論に至りました。

―― 2013年に伝えたいソニーの世界とはどのようなものでしょうか?

田中氏 ソニーモバイルがスマートフォンとタブレットをどちらも展開できるようになったからこそ実現した、2つともお持ちいただいたときに、2つあることでメリットが得られるユーザー体験を提供すること。そして、スマートフォンとタブレットのみならず、他のソニー機器との連携をさらに強化し、使いやすいものにしていくことでした。

 具体的には、タブレットからスマートフォンを充電できること、スマートフォンで見ている映像をタッチするだけで(NFCを使って)タブレットで簡単に見られること、スピーカーなどのソニー機器とワンタッチで連携できることを実現しています。こういったソニーモバイルのビジョンを伝えるためには、スマートフォンとタブレットの開発を並行して進め、発表も同時に行うことが必要だと考えました。

―― Xperia Tablet Zの開発コンセプトを教えてください。

田中氏 やはり大きなテーマとしては、タブレットとスマートフォンを一緒にお使いいただくことでソニーらしさを体感いただくことがあります。

 そのうえで、タブレット単体としては、タブレット市場の新たな開拓を目指して開発しています。そのために、7ミリ以下の薄さ、500グラム以下の重さを当初からの開発目標に掲げました。

―― 7ミリ以下、500グラム以下という数字はどこから出てきたのでしょうか?

田中氏 これまでのタブレットに対する不満点として、長く持っていると重たくて手が疲れてしまうというものがありました。どこでも使えるといいながら、この重さがネックで使うシーンが限られているのではないか、薄く、軽くすることがユースケースを広げるブレイクスルーになるのではないかと考えました。

 そこで、厚さや重さをさまざま変えたモックアップを作成して社内で検討した結果、持ったときに「薄くて軽い」と感じられる水準が7ミリであり、500グラムでした。特に、重さは20グラム単位で比較検討してみたのですが、20グラム違うだけでも感覚的にはずいぶん違ってきます。500グラム以下というのは、今回譲れない水準でした。

―― 結果として厚さ6.9〜7.2ミリ、重さ約495グラムと非常に薄型軽量のボディを実現されていますが、その一方で先代機まで続いていたデザインコンセプトの「ラップデザイン」を継承しなかったのはなぜでしょうか?

田中氏 開発の過程では、先代機の企画に関わったメンバーとも議論を重ねてこうした仕様に決めました。

 偏重心のラップデザインとは、ある程度重量のあるボディの重心を偏らせることで「軽く感じさせる」効果を狙ったものですが、Xperia Tablet Zは大幅に軽量化できたため、偏重心でなくとも重さは感じにくく、どの方向からでも持ちやすいフラットな薄型ボディになっています。

tm_1304xtziv1_04.jpgtm_1304xtziv1_05.jpg 厚さ6.9〜7.2ミリ、重さ約495グラムと非常に薄型軽量のボディを実現できたため、先代まで続いていた偏重心デザインをやめ、どこからでも同じように持てる「OmniBalance design」(オムニバランスデザイン)を採用した(写真=左)。先代のXperia Tablet Sでは、片手で持った際に握った手のほうに重心を持ってくることにより、軽さを感じさせる偏重心デザインを採用していた(写真=右)。冊子を折り返したようなラップデザインも個性的な意匠だった

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tm_1304xtziv1_08.jpg Xperia Tablet Z(左)とXperia Tablet S(右)の比較。9.4型ワイド液晶搭載のXperia Tablet Sは、本体サイズが239.8(幅)×174.4(幅)×8.8〜11.85(高さ)ミリ、重量が約570グラムだ。Xperia Tablet Zは画面の大型化に伴い、横幅が伸びたものの、Xperia Tablet Sの最厚部はもちろん、最薄部で比べても約1.9ミリ薄く、重量は約75グラム軽くなった

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