「VAIO Pro」の“超軽量ボディ”を丸裸にするVAIO完全分解&開発秘話(前編)(3/5 ページ)

» 2013年08月09日 15時45分 公開

超軽量で薄型のボディはいかにして生まれたか?

薄型軽量はもちろん、剛性や美しいデザインにもこだわっている

 くさび型フォルムのボディは、パームレストを低くすることが大前提で、後は「いかに薄く、軽く、強く、カッコよく見せるか」(城重氏)に腐心した。それでは、モバイルノートPCに求められる薄さや軽さの目標値は、どのように設定し、追求していったのだろうか?

 宮入氏は「HaswellのプラットフォームでモバイルPCを作った場合のシミュレーションをしたところ、13.3型で1キロ、11.6型で800グラムの重量は十分に狙えると分かった。より突出した世界最軽量を目指すならば、パームレストをアルミニウムより軽量なマグネシウム合金に変更し、天板背面のアルミニウム製オーナメントを省くなど、他に手段はあるが、VAIOはデザインや質感、剛性も大事にしたかったので、そこを含めて1キロと800グラムに抑えるというのがこだわり」と語る。

 薄さについては、現在の同クラスのUltrabookがそうであるように、タッチパネルを搭載しても最厚部を18ミリ以下に抑えた。全体をフルフラットな形状にすれば、パーツを手前側にも入れることができ、薄型化に貢献するが、くさび型フォルムだと後部にどうしても厚みが必要になる。さらにタッチパネル搭載機ではディスプレイ部の厚みが増すが、「これまでUltrabookを見慣れてきて目が肥えたところに、タッチパネル搭載機でも18ミリを超えたら、薄く感じてもらえないだろう」(宮入氏)と判断し、キーボードにこだわりつつも、高めのハードルを課した。

ディスプレイ部は薄型ながら、しっかりタッチパネルを搭載し、Windows 8をタッチ操作で扱える。タッチパネル非搭載の構成も選べるのはうれしい

 ちなみに第4世代Core搭載のUltrabookは、液晶ディスプレイのタッチパネル搭載が必須条件となっている。VAIO ProはタブレットPCやコンバーチブルPCではなく、伝統的なクラムシェル型ノートPCだが、Windows 8を使うならばタッチ操作がやはり便利で、Ultrabookの条件にも入るため、開発当初からタッチパネルの採用は決まっていた。しかし、タッチパネルは不要なので本体をより薄型軽量にしてほしい、というモバイルPCユーザーの声にも応えるべく、タッチパネル非搭載のモデルも設けているのは特筆できる。

 こうして完成したVAIO Proの本体サイズと重量は、ほぼ狙い通りに仕上がった。13.3型のVAIO Pro 13は、タッチパネル付きで322(幅)×216(奥行き)×12.8〜17.2(高さ)ミリ、約1060グラムだ。VOMモデルで選べるタッチパネルなしの構成だと、322(幅)×216(奥行き)×11.3〜15.8(高さ)ミリ、約940グラムまで薄さと重さを絞り込める。11.6型のVAIO Pro 11は、タッチパネルなしで285(幅)×197(奥行き)×11.8〜15.8(高さ)ミリ、約870グラム。タッチパネル付きで285(幅)×197(奥行き)×13.2〜17.2(高さ)ミリ、約770グラムと、圧倒的な軽さを実現した。

 いずれも狭額縁設計の液晶ディスプレイを採用し、特にVAIO Pro 11は11型クラスのUltrabookとしてフットプリントが小さく、コンパクトにまとまっているのは見逃せない。

VAIO Pro 11/13の本体サイズと重量(従来機との比較も)
製品名 販路 画面サイズ タッチパネル 奥行き 高さ 重量
VAIO Pro 13 (SVP13219CJB・S) 店頭 13.3型ワイド 搭載 322ミリ 216ミリ 12.8〜17.2ミリ 約1060グラム
VAIO Pro 13 (SVP1321A1J) 直販 13.3型ワイド 選択可 322ミリ 216ミリ 11.3〜15.8ミリ 約940グラム〜
VAIO Pro 11 (SVP11219CJB・S) 店頭 11.6型ワイド 搭載 285ミリ 197ミリ 13.2〜17.2ミリ 約870グラム
VAIO Pro 11 (SVP11218CJBI) 店頭 11.6型ワイド 搭載 285ミリ 197ミリ 11.8〜15.8ミリ 約770グラム
VAIO Pro 11 (SVP11218CJBI ) 直販 11.6型ワイド 選択可 285ミリ 197ミリ 11.8〜15.8ミリ 約770グラム〜
VAIO Z (SVZ13119FJB) 店頭 13.1型ワイド 330ミリ 210ミリ 16.65ミリ 約1170グラム
VAIO T 13 (SVT13139CJS) 店頭 13.3型ワイド 搭載 323ミリ 226ミリ 19ミリ 約1700グラム
VAIO T 11 (SVT11139CJS) 店頭 11.6型ワイド 297ミリ 214.5ミリ 17.8ミリ 約1400グラム
※直販モデルの本体サイズと重量はタッチパネル非搭載時のもの。直販モデルのタッチパネル搭載時における本体サイズと重量は、店頭モデルのタッチパネル搭載機に準ずる

VAIO Pro 13(左)とVAIO Pro 11(右)のサイズ比較。いずれもタッチパネル搭載の構成。最厚部は同じだが、画面サイズに合わせてフットプリントには差がある

13.3型のVAIO Pro 13(左)と13.1型のVAIO Z(右)。画面サイズはVAIO Zがわずかに小さい。最厚部の公称値はVAIO Pro 13のほうが厚いが、手前が薄いため、全体としてはVAIO Z(Z2)より薄く見える

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