AMD Radeonの新たな最上位モデル「Radeon R9 290X」を徹底比較GTX 780を上回る性能(1/2 ページ)

» 2013年10月24日 17時53分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

シェーダー数2816基、メモリバス幅512ビットの新GPU

Radeon R9 290X搭載グラフィックスカード

 「Radeon R9 290X」は、Radeon R9 200シリーズのシングルGPU製品の中で、最上位に位置することが明らかにされている。先に発売されたRadeon R9 280Xは、レビューでも触れているように、Radeon HD 7900をベースに小規模な改良を加えた印象だった。

 そして、これまでであればその上のモデルとなるとデュアルGPUが来るのだが、Radeon R9 290XはシングルGPUで、Radeon R9 280Xの上位に置かれている。まずはスペックを見ていこう。

製品名 Radeon R9 290X Radeon R9 280X Radeon HD 7970 GHz Edition
ストリームプロセッサ数 2816 2048 2048
テクスチャユニット 176 128 128
ROPユニット 64 32 32
GPUクロック(MHz) N/A N/A 1000
最大GPUクロック(MHz) 1000 1000 1050
メモリクロック(GHz) 1250 1500 1500
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅(bit) 512 384 384
メモリ容量(MB) 4096 3072 3072
Typical Board Power(W) N/A 250 250
補助電源レイアウト 8+6 8+6 8+6
DirectXサポート 11.2 11.2 11.1
OpenGLサポート 4.3 4.3 4.2

GPU-Zの画面

 Radeon R9 290Xは、2816基のシェーダーを搭載している。これはRadeon R9 280XやRadeon HD 7970の1.4倍となる。GPUクロックは最大1GHz。シェーダー数の増加とそれに伴う消費電力や発熱の増加を考えると、Radeon R9 280Xとあわせてきたのは、かなりアグレッシブだ。

 メモリバス幅は512ビットに拡大されている。従来までのハイエンドGPUは、AMD、NVIDIAそろって384ビットだったが、ついに512ビットに到達したわけだ。当然、帯域幅も頭1つ抜きん出る。若干クロックを抑えられているとはいえ、5Gbpsで512ビットとなると320Gバイト/秒secに達する。あわせてバックエンドの仕様も強化され、テクスチャユニットは176基、ROPsは64基、Z/Stencilは256基と、それぞれ強化されている。

 当然こうした仕様面での強化は、消費電力増につながるが、補助電源コネクタのレイアウトは、8+6ピンに収まっている。手元の資料ではまだ最大消費電力に関して記載がないが、300ワットの枠には収まっているようだ。

上がRadeon HD 7970、下がRadeon R9 290X。384ビット化の際もメモリの実装パターンが大きく変わったが、512ビットとなりさらに密になった印象。CrossFire端子がない点(後述)にも注目(写真=左)。補助電源端子は8+6ピンだ(写真=右)

 また、外観的な大きな特徴が、CrossFire端子の廃止だ。もちろん、Radeon R9 290XもCrossFire(今回の資料ではCrossFire Xという表記ではなくCrossFireとなっている)自体には対応している。

 以前、CrossFireの当初、ローエンドモデルで端子不要というものもあったが、Radeon R9 290Xはハイエンドでありながら、端子不要のCrossFireを実現するわけだ。そして、端子がなくとも、従来のCrossFireX同様に、2倍に迫るパフォーマンスを実現すると同社は説明している。

従来同様、Radeon R9 290XにもBIOS切り替えスイッチがある。UberモードとQuietモードとされ、Quietモードはその名のとおり静音モード、Uberモードはゲームなどでよりパフォーマンスを追求する際のモードと説明されている。ただし、あいかわらずスイッチが小さく刻印もないため、現在どちらのモードなのか判別するのが難しい

 APIなどは、ほかのRadeon Rシリーズに準じている。DirectXは11.2に対応し、OpenGLは4.3に対応する。また、Mantleにも当然対応している。

 Radeon R9 290Xに際し、AMDが訴求するのはUltra HDや4Kといった超高解像度での快適性だ。ただし、現状ではWQHD解像度も一部のゲーマー、4Kはまだごく一部のマニアという程度だろう。4Kでのパフォーマンスというよりは、DisplayPort端子のバージョンが4Kに対応しているといったところが重要だ。将来、4Kディスプレイが出そろってきたときに、対応しているという「備え」の意味合いが強い。

 また、従来同様、Eyefinityにも対応している。以前は6画面出力などもデモしていたわけで、そちらのほうが表示される総ピクセル数が多いぶん、4K程度ならまだ負荷が低いといえるだろう。

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