AMDの最新GPU「Radeon R9/R7」シリーズ「280X/270X/260X」の性能を徹底検証先手、AMD(1/3 ページ)

» 2013年10月08日 17時27分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

リネーム? いやいや……ちゃんと新機能を追加したコアなんです

 AMDがRadeon HD 7000シリーズの後継GPU「Radeon R」シリーズを発表した。その第1弾として、Radeon R9 280X、同R9 270X、そしてR7 260Xが投入される。

 Radeon Rでは、R9とR7という2つのシリーズに分けられる。この違いは用途的なもので、どちらもゲーム用GPUである点に変わりないが、R9は高解像度で高画質なゲームを楽しむユーザー向け、R7は150ドル以下の価格帯をターゲットに、低コストでGCNアーキテクチャを体感したいユーザー向けとなる。

 なお、今回レビューする中での最上位GPU、Radeon R9 280Xの上には、Radeon R9 290X/290も存在する。また、Xと無印があるが、これはより上位のモデルに「X」が付くというのが新ルールだ。

製品名 Radeon R9 280X Radeon HD 7970 GHz Edition Radeon R9 270X Radeon HD 7870 Radeon R7 260X Radeon HD 7790
ストリームプロセッサ数 2048 2048 1280 1280 896 896
テクスチャユニット 128 128 80 80 56 56
ROPユニット 32 32 32 32 16 16
GPUクロック(MHz) N/A 1000 N/A 1000 N/A 1000
最大GPUクロック(MHz) 1000 1050 1050 - 1100 -
メモリクロック(GHz) 1500 1500 1400 1200 1625 1500
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅(bit) 384 384 256 256 128 128
メモリ容量(MB) 3072 3072 4096 2048 2048 1024
Typical Board Power(W) 250 250 180 175 115 85
補助電源レイアウト 8+6 8+6 6+6 6+6 6 6
DirectXサポート 11.2 11.1 11.2 11.1 11.2 11.1
OpenGLサポート 4.3 4.2 4.3 4.2 4.3 4.2

 さて、評価機の最上位GPUであるRadeon R9 280Xから仕様を確認していこう。まず、アーキテクチャはGCN(Graphics Core Next)のままであり、新たなアーキテクチャが投入されたわけではない。そのうえでRadeon R9 280Xは、ストリームプロセッサ数が2048基、GPUクロックは最大1GHz、メモリが384ビット接続で6GHz、TDPが250ワットという仕様だ。

GPU-Zから見たRadeon R9 280Xの仕様。今回の評価機はコア・メモリともにOCされたモデルであるため、Pixel FillrateやBendwidthなどはアテにならない。基本的にはRadeon HD 7970とほとんど同じ仕様だ。また、DirectX 11.2に対応しているとのことだが、GPU-Zの情報ではDirectX 11.1になっている

 GPUスペックに明るい方ならピンと来るだろうが、こうした仕様の多くはRadeon HD 7970とほとんど同じである。ただし異なるところもある。それはDirectX 11.2をサポートするという点だ。

 DirectX 11.2は、Windows 8.1でサポートされる予定の最新バージョンのDirectX、グラフィックAPIだ。その点、Radeon HD 7900シリーズ「Tahiti」とまったく同じコアとは言えないようである。そしてTahitiベースのコアということもあってか、今回の280X、270X、260Xについて、コードネーム名が明らかにされていない。

 一方、中位のRadeon R9 270XとRadeon R7 260Xは、それぞれRadeon HD 7870、7790と似たようなスペックになっている。そしてこちらもDirectX 11.2をサポートするという点で旧来のコアとは異なる。また、これら中位GPUでは、コアクロック、メモリクロックが引き上げられているため、こうした部分でも性能の向上が図られている。

GPU-ZによるRadeon R9 270XとR7 260Xのハードウェア仕様。前世代のシェーダー数が同じ仕様のGPUに対して、コアクロック、メモリクロックを引き上げている

 今回のグラフィックスカードは、Radeon R9 280XがASUSTeKの「R9280X-DC2T-3GD5」(OCモデル)、R9 270X、R7 260Xに関してはリファレンスカードとなる。まず、R9280X-DC2T-3GD5は、ASUSTeK独自のDirectCU IIクーラーを搭載しており、ヒートシンクカバーは同社GeForce GTX 780の最新モデルと同様、旧世代のDirectCU IIモデルよりデザインが改められたものだ。サイズはハイエンドクラスのもの。補助電源コネクタは8ピン+6ピンだ。

今回試すRadeon R9 280X搭載カードは、ASUSTeKの「R9280X-DC2T-3GD5」。最新のDirectCU IIクーラーを搭載している。また、補助電源コネクタが通常とは逆になっているため、大型クーラーでありながら補助電源ケーブルの着脱で狭い場所に指を差し込まずにすむ

 Radeon R9 270XとR7 260Xもサイズ的には、1世代前の同クラスカードとほぼ同じだ。ただし、クーラーデザインは若干変更されていて、これまでの比較的シンプルな外観から、今回は多少の意匠が追加されたものとなっている。映像出力端子レイアウトは、全てDVI×2、HDMI×1、DisplayPort×1の計4系統。CrossFireX用コネクタは、Radeon R9 280Xが2つ、R9 270XとR7 260Xが1つずつとなっている。

Radeon R9 270X。アッパーミドルグラフィックスカードなりの長さと6ピン×2基の補助電源を備える。クーラーカバーのデザインは徐々に派手になってきた印象。CrossFireX用端子は1基のみ

Radeon HD 7790と比べるとカード長が短めとなったRadeon R7 260X。クーラーは小さめとなり、補助電源コネクタも6ピン×1基とシンプルだ

映像出力端子は全グラフィックスカード共通でDVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1の4系統

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