EIZO、ゲーム向けPCディスプレイ初の“240Hz”駆動を実現した「FORIS FG2421」4倍速の23.5型VAパネル搭載

» 2013年10月30日 15時00分 公開
[前橋豪ITmedia]

120Hz映像+バックライト明滅でキレのある動画を実現

 EIZOは10月30日、ゲーム向けの23.5型フルHD液晶ディスプレイ「FORIS FG2421」を発売した。同社直販サイト「EIZOダイレクト」および直営店「EIZOガレリア銀座」で取り扱う。価格は6万4800円だ。

23.5型フルHD液晶ディスプレイ「FORIS FG2421」
FORIS FG2421はe-Sportsに特化したモデルとなる

 同社のエンターテインメントブランド「FORIS」(フォリス)の新モデルで、国内外の「e-Sports」(対戦型ゲーム競技)市場をターゲットにしたゲーミングディスプレイ。2012年7月に発売された、より幅広い用途向けの23型フルHD液晶ディスプレイ「FORIS FS2333」(現在は型番と価格を変更した「FORIS FS2333-A」として販売中)は併売となる。

 FORIS FG2421最大の特徴は、ゲーム市場向けPCディスプレイでは世界初(同社調べ)となる「240Hz駆動」を実現したこと。通常の液晶ディスプレイは1秒間に画面を60回書き換える60Hz駆動だが、特にFPS(First Person Shooting)向けのゲーミングディスプレイではより高速で滑らかな動きの表示が求められるため、120Hz駆動や144Hz駆動の製品も販売されている。FORIS FG2421はこれらを上回る240Hz(60Hzの4倍速)で駆動する仕様だ。

120Hz映像にバックライト処理を加えて残像が少ない240Hz駆動を実現する「Turbo 240」

 具体的には、垂直同期周波数120Hzの映像信号を入力し、毎秒120フレーム映像の各フレームの間にLEDバックライトを消灯する黒い1フレームを挟み込みつつ、オーバードライブ処理の最適化も行い、240Hz駆動によるキレのある動画を表示する(毎秒240フレームのうち、120フレームが映像表示、120フレームがバックライト消灯による黒表示となる)。

 つまり、単に高リフレッシュレートに対応するだけでなく、240Hz駆動で映像表示と黒表示を交互に行い、CRTディスプレイのインパルス型表示に近づけることで、網膜の残像効果も抑え、動画ボケを大幅に減らしているのだ。これにより、FPSやレース系などの高いコントロール精度が必要なゲームで、より的確な操作を行えることが期待できる。EIZOはこの機能を「Turbo 240」と名付けた。

 家庭用ゲーム機など60Hzのゲーム映像を入力した場合も、120HzにアップコンバートしてTurbo 240機能が利用できる。Turbo 240をオフにして、120Hz駆動のゲーミングディスプレイとして使うことも可能だ。

 なお、GPUのレンダリングレートとディスプレイのリフレッシュレートを同期させることで、ティアリングやカクつきをなくすNVIDIAの新技術「G-SYNC」については、今後のサポートを検討中という。

入力遅延の低減、ゲーム専用カラーモード、ボディデザインにもこだわり

240Hz駆動時も1.5フレーム未満(0.012秒未満)の低遅延

 ゲーミングディスプレイでは、入力信号に対して画面表示のレスポンスが高速であることも重要だが、FORIS FG2421は独自の回路設計により240Hz駆動時も1.5フレーム未満(0.012秒未満)の低遅延設計を実現(60Hz換算時には1フレーム未満の遅延となる)。シューティングや格闘、リズムアクションなどのタイミングがシビアなゲームでも、細かな操作がすぐ画面に反映されるとする。

 液晶パネルはゲームに適した視認性の高いクリアな表示を実現するため、ネイティブコントラスト比5000:1のVAパネル(ノングレア仕様)を採用。これまでの高リフレッシュレート対応のゲーミングディスプレイが搭載していたTNパネルに比べて、約5倍のコントラスト比と広視野角を実現している。

 さらにFORIS FG2421は、FORIS FS2333と同様、海外のプロe-Sportsチーム「Fnatic」に開発協力を依頼したゲーム用カラーモードを搭載。FPSやRTS(Real Time Strategy)といった各ゲームジャンル用のカラーモードが用意されている。選択できるカラーモードは7つ(User1、User2、User3、FPS1、FPS2、RTS、Web)だ。

 また、付属の専用ソフトウェア「ScreenManager Pro for Gaming」を使って、PC上でゲームタイトルや好みに合わせた詳細なカラー調整も行える。調整したカラーモードや画面サイズは、キーボードや高機能マウスで切り替えられる(設定を任意のキーに割り当てられる)。同ソフトの設定値はファイル出力ができ、ユーザー同士で設定を共有することも可能だ。EIZOでは特設サイト(Gaming.eizo.com)にて、プロゲーマーの調整ファイルも提供する。

付属の専用ソフトウェア「ScreenManager Pro for Gaming」を使えば、ゲームタイトルやユーザーの好みに合わせたカラー調整ができる(写真=左)。プロゲーマーの調整ファイルも提供する予定だ。一般ユーザー同士がネット上で調整ファイルを交換できるような仕組みも検討中という。ゲームしながら即座に設定を変更できるよう、ディスプレイの調整はホットキーに対応する(写真=右)

 ボディデザインについては、ゲームに集中しやすいよう正面をシンプルに仕上げつつ、背面にLEDで白く点灯するEIZOロゴ、持ち運びと設置のしやすさに配慮したバーミリオンカラーのハンドルとケーブルホルダー、航空機をイメージした通風口を配し、同社のディスプレイとしてはかなり個性的な外観にまとめている。ボディカラーはブラックだ。

正面はシンプル(写真=左)、背面は細部まで凝ったデザインだ(写真=右)
左右の側面にヘッドフォン出力と2ポートのUSB 2.0ハブ機能を備えている(写真=左)。上から見た様子もバーミリオンカラーのアクセントが目立つ(写真=右)

主な基本スペック

 基本スペックは、画面サイズが23.5型ワイド(16:9)、画面解像度が1920×1080ドット(フルHD)、表示色が約1677万色(約10億6433万色中/10ビットLUT)、色域がsRGB相当、輝度がTurbo 240オフ時で400カンデラ/平方メートル(オン時で300カンデラ/平方メートル)、コストラスト比が5000:1(コントラスト拡張有効時で1万5000:1)、視野角が上下/左右で各176度、応答速度の標準値が1ms未満(Turbo 240オン時、ディスプレイ全体として)だ。

映像入力は3系統を装備

 映像入力はDVI-D(HDCP対応)、DisplayPort、HDMIの3系統を用意。DVI-DとDisplayPortは1920×1080ドットまで、HDMIでは1024×768ドットまで120Hzの入力信号に対応する仕様だ。デジタル走査周波数(水平/垂直)は、DVI-Dが31〜138kHz/59〜122Hz、DisplayPortが31〜138kHz/49〜122Hz、HDMIが15〜100kHz/23〜122Hzに対応する。ステレオミニの音声入力とライン出力、ヘッドフォン出力の各端子、USB 2.0×2ポートのハブ機能も搭載している。

 本体サイズは563.5(幅)×200(奥行き)×391〜451(高さ)ミリ、重量は約6.2キロ。スタンドは上25度のチルト、左右344度のスイベル、60ミリ範囲の昇降が行える(VESAマウント非対応)。消費電力は最大53ワット、標準20ワット、節電時0.5ワット以下だ。

 製品は液晶パネルを含む5年間保証に対応する(購入日から5年間かつ製品使用時間が3万時間以内)。

 なお、EIZOは購入先着100台限定で「EIZO×FnaticコラボTシャツ」をプレゼントするFORIS FG2421発売記念キャンペーンも行う。

「EIZO×FnaticコラボTシャツ」をプレゼントするキャンペーンも実施(写真=左)。発表会場に設置してあった120Hz駆動ディスプレイとの比較デモ(写真=右)。写真では分かりにくいが、画面上には横スクロールする同じ映像が流れており、左の120Hz駆動ディスプレイに対して、右のFORIS FG2421はTorbo 240の効果で残像感が少なかった

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