2017年10月17日に配信が始まったWindows 10の大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」。ここでの搭載が予告されながらも、次回以降のアップデートに先送りとなった大型の新機能に「タイムライン(Timeline)」がある。
タイムラインの先送りを報告した米Microsoftのジョー・ベルフィオーレ氏は「Fall Creators Updateの提供からすぐ後に、同機能をWindows Insider Programの参加者向けに提供する」と説明していたが、いよいよ同機能を搭載した最新ビルドが同プログラム参加者のFast Ringユーザー向けにやって来る。
タイムラインを搭載した最新ビルドの提供を予告しているのは、Insider Programの担当者でおなじみのドナ・サルカール氏だ。同氏はWindows公式ブログへの11月28日(米国時間)の投稿で、間もなく提供するWindows 10 Insider Previewの新機能を紹介した。12月1日(日本では翌日)ごろのタイミングで配信されるようだ。
注目すべき新機能の1つは、お待ちかねのタイムラインだ。タスクビューの一部に機能が組み込まれる形で、過去に作業したファイルが時系列で簡単にたどれたり、検索できたりするようになる。ファイルだけでなく、アプリやWebサイトの履歴などもたどれるため、「直近で作業していた内容を任意のタイミングで再開」といったことが容易に行える。
このタイムラインで最も重要なのは、デバイス間をまたいだ作業がスムーズになる点だ。例えば、PCで閲覧中だったWebサイトをモバイルデバイスで移動中に確認したり、あるいは自宅や職場の普段とは異なるマシンの作業を引き継いだり、といったことにも対応できる。
そのため「デバイス間同期」の仕組みが必須であり、今回は投入が説明されていないものの、間もなく追加されるとみられる注目の新機能「クラウドクリップボード」(これも予告されていながらFall Creators Updateでは間に合わなかった)と合わせて、Windows 10の次期大型アップデート「Redstone 4(RS4)」の目玉の1つとなるだろう。
もう1つの注目は、Insider Previewに導入される新機能と、それを利用してテストされる「Windowsの新しいユーザーインタフェース(UI)」だ。
現在はInsider Programで同じ「Ring」を選択したユーザーであれば、受け取れるInsider Previewのビルドは中身も含めて同じものになっている。
しかし、サルカール氏によれば、今後は「特定の機能」や「特定の変更」を試すため、あえて一部のユーザー限定で短期間だけ異なる機能を提供し、残りのユーザーグループとの比較で、その満足度や利用度から機能評価をしていくという。その結果は短期間のテスト終了後、全てのInsider Program参加者に反映されることになる。
この新機能で例に挙げられているのが、Edgeブラウザにおける「Hub」アイコンを異なるデザインで用意しておき、どちらのデザインがよいのかをユーザーの反応を見て決めるというものだ。一種の「意識せずに行われるユーザー投票」みたいなものだと考えればよいだろう。
そして、この「機能テスト」で最初に導入される試験機能が「Sets」というものだ。あくまで暫定名称で、実際の正式リリース時には異なるものになるようだが、内容的には「Edgeブラウザで採用している“タブ”のUIで、各種アプリやファイルの操作も行えるもの」と言えばいいだろうか。
YouTubeにアップロードされている動画を直接確認いただいた方が分かりやすいだろう。
仕組みとしては、よく利用するアプリや過去のファイルがEdgeブラウザのホーム画面のようなUIで選べるようになっており、OfficeやEdgeといった異なるアプリであっても、同一のウィンドウでタブを切り替えるようにアプリを切り替えられるようになる。
ウィンドウを閉じると、タブとして開かれている全てのアプリは閉じるが、これもやはりEdgeのように閉じたタブをアプリごとに、一気に復活させることも可能だ。Windows 10のUIをWebブラウザライクなものにすると考えればよいだろう。まずは一部のUWP(Universal Windows Platform)アプリで使えるようになる。
正直なところ、既存のユーザーの多くは混乱する可能性の高いUIという印象を受けたが、Fast Ringユーザーでこの試験機能を利用する機会があった場合、是非試してその結果をMicrosoftにフィードバックしていただきたい。
こうした履歴やファイル共有機能は2018年3月ごろに配信される予定のRS4でより積極的に盛り込まれる見込みだ。
例えば、11月に配信されたInsider Previewの「Build 17035」には、AppleのAirDropライクな「Near Share(近くの共有)」機能が導入されており、今後も同機能に対応したプラットフォームが拡大していくとみられる。
恐らく、RS4ではこうした複数デバイス間のシームレスな体験や使い勝手の向上が、アピールポイントとして紹介されるはずだ。
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