Professional Mobile »知る
RSS

インタビュー

Flash LiteからAIRへ――Open Screen Projectでモバイル戦略を加速するAdobe (1/2)

モバイル市場でのエコシステムの確立を目指してAdobeが設立したOpen Screen Project。Adobeが主導して業界団体を立ち上げ、日本型エコシステムで成功したFlash Liteの導入プロセスを世界に拡大することを目指す。

Photo Adobe Systemsプラットフォーム技術担当ディレクターのブライアント・メイシー氏(右)と同社プラットフォーム担当プロダクト管理ディレクターのジーク・コッホ氏(左)

 「閉鎖的」「分断」などの言葉で形容されることも多いモバイル業界。モバイル分野への進出を目指すPC/インターネット企業の多くが、業界団体を組んで、この市場の扉を開けようと試みている。米Adobe Systemsもその1社で、同社は2008年Open Screen Projectを設立し、携帯電話におけるFlash技術の普及を目標に掲げ、モバイル市場でのエコシステムの確立に乗り出した。

 スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2009」で、Adobeのプラットフォーム技術担当ディレクターのブライアント・メイシー(Bryant Macy)氏、プラットフォーム担当プロダクト管理ディレクターのジーク・コッホ(Zeke Koch)氏に、Open Screen Projectとモバイル戦略について話を聞いた。

―― Adobeが掲げる携帯電話市場向けの戦略について教えてください。

メイシー氏 Adobeは数年前からFlash Liteでモバイルへの進出を図っており、順調に拡大してきました。Flash Lite搭載端末は、この6月には10億台に到達する見込みで、当初の予定より1〜2年早い進捗です。

コッホ氏 最近のトレンドとして、フルブラウザへの高いニーズがあります。モバイル向けWebブラウザの機能も改善されており、デスクトップPC向けと同じFlash Playerを提供できる地点に達したと感じています。

 そこでAdobeでは現在、Windows、Mac、Linuxの各デスクトップ環境向けにFlashを構築した開発チームが、スマートフォン向けFlashの開発を進めています。

 この1月に日本で開催した「Adobe MAX Japan 2009」では、S60やWindows MobileAndroidで動くFlash Playerのデモを行いました。2010年にはフルFlash機能を備えた携帯電話が登場すると見ています。

―― Open Screen Projectについて教えてください。

メイシー氏 携帯電話や家電のメーカーにFlash Liteを無料でライセンスし、メーカーが自社端末に自由に統合できるようにするものです。従来のAdobeのビジネスモデルを変更し、プロトコルをオープンにする代わりに、デバイス上の技術を検証します。当初はモバイルに注力し、多くの携帯電話でFlashコンテンツを利用できるようにします。

 Open Screen Projectには現在、NokiaSamsungLG ElectronicsSony Ericssonなどの主要端末ベンダーやNTTドコモVerizon Wirelessなどの通信キャリア、MTVなどのコンテンツプロバイダーといった20社以上が参加しています。参加を希望している企業は、200社以上にのぼります。

―― Open Screen Projectを設立した狙いは?

コッホ氏 携帯市場でわれわれが課題と感じている、異なるバージョンのFlashプレーヤーが混在することによる分断化の問題に対応するためです。

 日本では、2003年にNTTドコモが携帯電話へのFlash Liteの搭載を開始し、成功させました。この成功は、ドコモが端末メーカーに同じバージョンのFlash Liteの搭載を義務付け、コンテンツプロバイダが幅広い端末向けにコンテンツを提供できたことが理由です。

 一方、ドコモのように端末メーカーに対して強い立場にあるオペレータが存在しない地域では、分断化の問題があります。一部の端末は古いバージョン、一部の端末は新バージョンのランタイムを搭載していることから、一貫性のある機能や操作性を提供できないという事態が生じているのです。これはアプリケーションを開発する側にとって悲劇的な状況です。

 そこで、Adobeが主導して業界団体を立ち上げ、日本型エコシステムの成功を世界に拡大するようなプロセスを提供することにしたわけです。

 デスクトップインターネットの世界で私たちが成功した背景には、ブラウザプラグインによるアップデートがあります。新しいプラグインをリリースすると、3カ月で80%が最新版にアップグレードされ、6カ月〜9カ月でその比率は90〜98%に達します。開発者が新たな機能を利用するのは、その機能の普及率が80%に達した地点です。つまり、最新の機能をスピーディに広げることは戦略的に重要です。

 実際、Open Screen Projectの参加者からの要求として、プラグインによるソフトウェアアップデートに対応してほしいという意見が出ています。

 このプロジェクトで、複雑なモバイル業界のエコシステムを変えることを狙っています。

 MWCの会期中、Flash Lite Distributable Playerを発表しましたが、これも同じ問題に取り組むものです。Flash Liteをアプリケーションの一部として配信することで、携帯電話が利用するランタイムが最新のものかをチェックし、最新のものでない場合はダウンロードします。これにより、最新機能を確実に利用できるようにします。

 米国、英国など一部の市場でS60とWindows Mobile向けのβ版の提供を開始しました。2009年後半には、ワールドワイドで提供を開始する予定です。

メイシー氏 もう1つの背景がモバイルインターネットです。モバイルには性能の問題があり、Open Screen Projectではハードウェアメーカーとともにこの問題に対応します。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2012 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Special

FEATURES


仕事に役立つAndroidアプリはここでチェック!「仕事アプリナビ」
日々の仕事をサポートするAndroidアプリをカテゴリー別に紹介するサイト「仕事アプリナビ」がオープン。


特集:“位置情報連携”で進化する、モバイルサービスの今とこれから
ケータイへの搭載が本格化し始めたGPS機能が、モバイルサービスを新たなフェーズへと向かわせている。ユーザーが肌身離さず持っているケータイに位置情報が連携することでどんな新サービスが生まれ、それが人々の生活をどう変えていくのか。

Special

スマートフォン

「Android」「Windows Mobile」「iPhone」の
最新記事をピックアップ

news013.jpg
現場の生きた情報、リアルタイムに報告――スマホでフィールド業務を変える「Field Plus」
いかに速く、いかに簡単に“現場の生きた情報”を報告できるようにするか――。エス・ケイのField Plusは、こんな思想で開発されたフィールド業務向けのクラウドサービス。スマホを活用したリアルタイムな情報収集は、手間やコストの軽減が見込めるほか、素早い経営判断にもつながるという。

契約者数

現在の携帯契約数(1月末)
NTTドコモ 5971万0200
(2in1:30万8000)
au 3447万9000
ソフトバンク 2806万1900
(DN:2万4700)
イー・アクセス 380万0000
(12月末)
携帯累計 1億2605万1100
(イー・アクセス含む)
ウィルコムPHS 435万9200
携帯・PHS累計 1億3041万0300
(イー・アクセス含む)
UQコミュニケーションズ 188万3900

Web閲覧端末数/MNP利用状況

Web閲覧端末数
iモード/spモード 5168万0400
EZweb/ISNET 2816万8100
Yahoo!ケータイ 2152万9000
EMnet 非公開
累計 1億0137万7500
MNP利用状況(差し引き 1月末)
NTTドコモ −9万9300
au 5万3300
ソフトバンクモバイル 4万6000
イー・アクセス 非公開

Pick Up! ホワイトペーパー

  • ビデオ会議はパーソナル・タブレットと相互接続の時代へ
     従来のビデオ会議は、会議と名のつく通り会議室同士だけのために存在していました。 近年、ビデオのマーケットはビジュアルコミュニケーションという大きな括りとなり、パーソナル型やスマートフォン、タブレット端末でも活用されるようになりつつあります。 シスコシ...
  • スマートフォンのセキュリティ対策は本当に必要なのか
     スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスの急速な普及に呼応するように、スマートデバイスを標的にしたマルウェアが多数発見されるようになった。だがこうしたマルウェアは脅威ではないと考えるセキュリティ専門家は少なくない。 ユーザー企業は、スマート...
  • “使いやすさ”が大幅に向上! 多様なIT資産を一元管理できる最新クライアント運用管理ツール
     ハードウェア/ソフトウェアのIT資産管理(Mac OSやLinux OSにも対応)、操作ログ管理、セキュリティポリシーの運用、クライアントのリモートメンテナンスなどを支援し、USBデバイスやネットワーク機器なども一元管理できる「SKYSEA Client View」。 同製品に搭載する各...
  • 技術者が見せる。Google Appsでの開発・実装例
     これまでにGBSに寄せられたグループウェア選択の際のお客様の注目点、ご要望から浮かびあがる2つのポイント「ワークフロー」「データ連携」。 Googles Apps(TM)は、これらにどのように応え、改善を実現したのか? 外部サービスの利用を最小限に絞り、Google Apps機能...
  • スマートフォン/タブレットの業務利用の新提案。簡単な設定で外出先から社内データベース照会が可能に。
     スマートフォンの業務活用方法としては、メールやグループウェアなどが一般的だが、販売・生産・経理などの社内の各システムの既存データベースを自由に社外から活用できる仕組みは多くはない。 Business4Mobileは、ツールの簡単な設定だけで、iPhone、iPad、Androidな...
  • イグアスが提供する災害・障害対策&スマートフォンソリューション
     「災害対策、『きちんと』ご対応済みですか?」◇IBMiの二重化によりダウンタイムを最小限に抑えるHAソリューション◇IBMiの遠隔へのバックアップを低コストで実現する災害対策ソリューション◇Windowsの二重化でダウンタイムを最小限に抑えるHAソリューション  「昨今...
  • クラウド時代におけるエンドユーザ目線によるWebサイトのパフォーマンス管理の必要性
    今日、顧客やビジネスパートナーとのやり取りをWebベースのアプリケーションインフラに実装している企業は増加している。これまで以上にインフラの階層やコンポーネントが増えるだけでなく、クラウドやCDNなど、データセンター外部のインフラとの連携も考慮すべき対象とな...
  • 自社に最適なグループウェアの選定ポイント
    市場には数多くのグループウェアが存在する。スケジュール管理やWebメール、ワークフローなどさまざまな機能が搭載され、現在ではASP形式で提供されたり、携帯電話/iPhoneなどのスマートフォンからもアクセス可能になるなど、その提供形態や利用シーンも多岐にわたる。企...
  • 安否確認、スマートフォン対応、変化し続けるユーザーニーズを解決する情報基盤とは?
     TechTargetジャパンの読者調査によると、企業における情報共有ツール利用の条件として、「エンドユーザーが使いやすい」「運用コストが安い」などが多く挙がった。前者の解決には、豊富が機能なのことはもちろんのこと、それらがユーザーにとって分かりやすい画面構成で...
  • 今すぐできる認証強化
     オンラインサービスの提供や、事業継続およびビジネス推進を目的としたリモートアクセスの提供が増加するなか、不正アクセスによる情報や金銭詐取が相次いで発生しており、認証強化が重要な課題となっている。 しかし、常に課題になるのは、セキュリティ強化と利便性の...