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“アニメ化”するのには意味がある――デザイナーが語るモバイル端末のUI (2/2)

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“のぞき窓”としての、モバイル端末のディスプレイ

 先述の通り、田川氏は“前の画面”“次の画面”という切り替わりの多さがユーザーを混乱させると考えているが、ポケットに収まることが求められる携帯にとって、ディスプレイの大型化には限界があり、1画面に表示できる情報量にも限界がある。そのために画面が切り替わる回数が増えてしまう。

 こうした画面の切り替わりを少なくする方法として、ディスプレイを情報の“のぞき窓”として捉えるようなUIのデザインが今後の主流になると田川氏は見ている。その典型的な例がiPhoneだ。

 タッチパネルをフリック(指でなぞる)することでスクロールしたり、ピンチ(2本の指の幅を調節する)することでズームイン/アウトができるiPhoneは、“のぞき窓”であるディスプレイの枠の外側にも情報が広がっていることをユーザーに意識させる。そして、画面遷移をアニメーションによって滑らかに表現することが、ユーザーの直感的な理解を助けている。また、単に画面を等速移動させるのではなく、加速度を調節することも、操作性を向上させると田川氏は考える。

 画面の大きさに制約があるモバイル端末のディスプレイは、進化の方向性として“高精細化”が想定されるが、これもズーミングUIにアドバンテージを与える。「ズームアウトしても文字などが潰れにくい」ことがその理由だ。さらにこうしたUIが普及していく中で、グラフィック形式の主流がビットマップからベクターに変化していく可能性も田川氏は指摘した。ピクセル情報に依存せず、表示を拡大しても精細さが失われないベクターイメージは、ズーミングUIとの相性がいいためだ。

キーとタッチパネルは「“はし”か“フォーク”かという問題」

 iPhoneの登場を皮切りにタッチパネルを搭載したモバイル端末が増え、これからのUIとして注目されているが、「では十字キーがタッチパネルより劣っているかというと、そうとは言えない」というのが田川氏の意見だ。「“はし”を使うか、“フォーク”を使うかの問題」(田川氏)なのだという。

 タッチパネルでUIを構築するためには“人間の指の大きさ”に合わせた設計が必要になるが、ディスプレイのサイズが小さいモバイル端末ではこれがネックになる。例えば、画面上の仮想キーボードを操作させようと思ったとき、キーが小さくなればなるほど押し間違いは増える。さらに、指のサイズや形は人それぞれなので、操作性には個人差が生まれる。

 一方で物理的な十字キーによって入力された場合は、「上」や「下」などの情報に基づいて、細かな操作や選択が可能になる。また、どんな指でもキーさえ押せれば画面上の結果に差は生じない。「ダイレクト感のあるインタフェースに注目が集まりがちだが、小さな画面を有効に使う上では、十字キーには大きなメリットがある」(田川氏)

 そうした背景からか、タッチパネルとキーの「両方をサポートしたがるメーカーが多い」が、結果として「両方破綻してしまっているケースが多い」と田川氏。「それぞれの良さをわきまえて作る」ことが、ユーザーオリエンテッドなUIを生み出すポイントだと田川氏は見ている。

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