Microsoft、2つの「Windows Mobile」を推進か?iPhoneとAndroidに対抗

» 2009年08月24日 14時52分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 うわさが本当だとすれば、モバイル市場に向けたMicrosoftの新戦略では、同社が2種類のモバイルOSをスマートフォンに提供することになりそうだ。この作戦は、モバイルOS市場で低下している自社のシェアを強化するというMicrosoftの取り組みに貢献するのだろうか。これは大きな疑問だ。というのも、Microsoftのこれまでのモバイル戦略では、同社自身の足元に砲弾を発射する恐れがあるからだ。

 8月19日付の米Digitimesの記事によると、AndroidとiPhone OSへの対抗を狙ったMicrosoftの新戦略は、10月初頭にリリースされる予定の「Windows Mobile 6.5」、そして来年10〜12月期に発表予定の「Windows Mobile 7」という2本立てのモバイルOSプラットフォームを軸に展開される。

 同記事は「台湾の携帯端末メーカーの関係者」の話として、「Microsoftのデュアルプラットフォーム戦略は、AndroidベースのプラットフォームにはWindows Mobile 6.5で対抗する一方で、iPhoneにはWindows Mobile 7で対抗するというものだ」と述べている。

 Windows Mobile 7は、マルチタッチ機能を中心として“第一級の”モバイル環境を提供するとみられる。同OSの潜在能力に関する情報が少ないため、Microsoftの新戦略の効果を推定するのは難しいが、同社がそれを実行する際に大きな困難に直面するだろう――十分な規模のエコシステムの実現だ。

 これはタイミングの問題だ。Microsoftでは10月に「Windows Marketplace for Mobile」をスタートした時点で、600種類のアプリケーションがダウンロードできるようになる見込みだとしている。開発者がアプリケーションを登録できるようにするために、同社が7月に同ストアをオープンした理由もそこにある。しかし、たとえ600種類のアプリケーションが出そろったとしても、MicrosoftはApple、Research In Motion(RIM)、Palmを追いかける立場であることには変わりない。これらのライバルメーカーは、数カ月前あるいは1年以上前(AppleのApp Storeの場合)から、それぞれのモバイルアプリケーションのエコシステムを構築してきたのだ。

 Microsoftはどうすれば競合各社のエコシステムに対抗できるのだろうか。同社がWindows Marketplace for Mobile、あるいはWindows Mobile 7の発表を、非常に魅力的なスマートフォン(Palm Preや次世代のiPhoneのようなフォームファクターと機能を備えた製品)に結び付ければ、その勢いで市場に大きな風穴を開けることができるかもしれない。こういった発表手法が成功した例としては、Palm Preが挙げられる。Palmの「Web OS」および印象的な宣伝キャンペーンとともに発表されたPalm Preは、発売後最初の1カ月で好調な売り上げと多数のアプリケーションダウンロードを記録した

 Microsoftがスマートフォンを出すといううわさも、数カ月前からインターネット上で飛び交っており、その多くは「Project Pink」をめぐる憶測だ。このうわさが何らかの事実を根拠とするものだとすれば、同社が投入するデバイスはスマートフォン市場で真の差別化を実現する何かを備えたものでなければならないだろう。その「何か」とは、iPhoneで最近明らかになった“発火機能”などではない。

 Microsoftはもう1つ問題を抱えている。同社が最近Nokiaと結んだ提携だ。これはMicrosoft Officeのモバイル版をNokiaの携帯電話(Windows MobileではなくSymbian OSで動作する)に提供するというもので、両社がRIMに対抗するための効果的な手段になりそうだ。しかし自社のOSで動作しないデバイスに自社の主要ソフトウェアを移植することは、自社のOSで動作するデバイスを購入する理由を潜在顧客から奪うことにほかならない。

 ほかのメーカーはこの原理を認識している。それは、AppleがPalm Pre上でiTunesを動作させるのをかたくなに拒んでいる理由の1つでもある。Microsoftが今後もアプリケーションをほかのOSに移植すれば、それは結局、Windows Mobileそして同OSを搭載する将来のスマートフォンに悪影響を及ぼすことになるだろう。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月08日 更新
  1. NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 (2026年08月07日)
  2. ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視 (2026年08月06日)
  3. まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説 (2026年08月06日)
  4. 楽天モバイルのローミングは「予定通り9月末に終了」 ただし「ルーラル限定で継続」の可能性も (2026年08月07日)
  5. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  6. 「NHK受信料の値上げは検討していない」――会長が明言 スクランブル化を求める声絶えず (2026年08月07日)
  7. KDDIが値上げしても解約率が低下した理由 au、UQ mobile、povoを循環させ「脱・販促費競争」へ (2026年08月07日)
  8. 元グループ会社が「ドコモの銀行」になった不満を吸収? SBI新生銀行が「SBIの銀行」として最大5.2万円のキャッシュバックキャンペーンを開催 (2026年08月05日)
  9. 東海道・山陽・九州新幹線の「EXサービス」に複数のサービス改訂 「ご利用票」のスマホ表示などを9月から順次開始 (2026年08月06日)
  10. スマホの「エアコン冷却」がダメなワケ 猛暑日にやりがちな“水没”の危険性と正しい冷やし方 (2026年08月06日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー