コラム
うわさが本当だとすれば、モバイル市場に向けたMicrosoftの新戦略では、同社が2種類のモバイルOSをスマートフォンに提供することになりそうだ。この作戦は、モバイルOS市場で低下している自社のシェアを強化するというMicrosoftの取り組みに貢献するのだろうか。これは大きな疑問だ。というのも、Microsoftのこれまでのモバイル戦略では、同社自身の足元に砲弾を発射する恐れがあるからだ。
8月19日付の米Digitimesの記事によると、AndroidとiPhone OSへの対抗を狙ったMicrosoftの新戦略は、10月初頭にリリースされる予定の「Windows Mobile 6.5」、そして来年10〜12月期に発表予定の「Windows Mobile 7」という2本立てのモバイルOSプラットフォームを軸に展開される。
同記事は「台湾の携帯端末メーカーの関係者」の話として、「Microsoftのデュアルプラットフォーム戦略は、AndroidベースのプラットフォームにはWindows Mobile 6.5で対抗する一方で、iPhoneにはWindows Mobile 7で対抗するというものだ」と述べている。
Windows Mobile 7は、マルチタッチ機能を中心として“第一級の”モバイル環境を提供するとみられる。同OSの潜在能力に関する情報が少ないため、Microsoftの新戦略の効果を推定するのは難しいが、同社がそれを実行する際に大きな困難に直面するだろう――十分な規模のエコシステムの実現だ。
これはタイミングの問題だ。Microsoftでは10月に「Windows Marketplace for Mobile」をスタートした時点で、600種類のアプリケーションがダウンロードできるようになる見込みだとしている。開発者がアプリケーションを登録できるようにするために、同社が7月に同ストアをオープンした理由もそこにある。しかし、たとえ600種類のアプリケーションが出そろったとしても、MicrosoftはApple、Research In Motion(RIM)、Palmを追いかける立場であることには変わりない。これらのライバルメーカーは、数カ月前あるいは1年以上前(AppleのApp Storeの場合)から、それぞれのモバイルアプリケーションのエコシステムを構築してきたのだ。
Microsoftはどうすれば競合各社のエコシステムに対抗できるのだろうか。同社がWindows Marketplace for Mobile、あるいはWindows Mobile 7の発表を、非常に魅力的なスマートフォン(Palm Preや次世代のiPhoneのようなフォームファクターと機能を備えた製品)に結び付ければ、その勢いで市場に大きな風穴を開けることができるかもしれない。こういった発表手法が成功した例としては、Palm Preが挙げられる。Palmの「Web OS」および印象的な宣伝キャンペーンとともに発表されたPalm Preは、発売後最初の1カ月で好調な売り上げと多数のアプリケーションダウンロードを記録した。
Microsoftがスマートフォンを出すといううわさも、数カ月前からインターネット上で飛び交っており、その多くは「Project Pink」をめぐる憶測だ。このうわさが何らかの事実を根拠とするものだとすれば、同社が投入するデバイスはスマートフォン市場で真の差別化を実現する何かを備えたものでなければならないだろう。その「何か」とは、iPhoneで最近明らかになった“発火機能”などではない。
Microsoftはもう1つ問題を抱えている。同社が最近Nokiaと結んだ提携だ。これはMicrosoft Officeのモバイル版をNokiaの携帯電話(Windows MobileではなくSymbian OSで動作する)に提供するというもので、両社がRIMに対抗するための効果的な手段になりそうだ。しかし自社のOSで動作しないデバイスに自社の主要ソフトウェアを移植することは、自社のOSで動作するデバイスを購入する理由を潜在顧客から奪うことにほかならない。
ほかのメーカーはこの原理を認識している。それは、AppleがPalm Pre上でiTunesを動作させるのをかたくなに拒んでいる理由の1つでもある。Microsoftが今後もアプリケーションをほかのOSに移植すれば、それは結局、Windows Mobileそして同OSを搭載する将来のスマートフォンに悪影響を及ぼすことになるだろう。
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