NTTドコモが披露した「ケータイホームシステム」は、ネットワークを介して屋外でケータイから家電を操作できるほか、屋内では無線LANを介してインターフォンに応答できるサービスだ。
家電の操作は「宅内制御装置」と「家電制御アダプタ」を利用する。家電制御アダプタを、HA端子対応の家電機器を接続することで、エアコンや照明器具などの電源を、外出先からケータイでON/OFFにできる。玄関錠では遠隔操作による施錠のほか、施錠を忘れた場合や、家族が帰宅・外出した場合にメールで通知する機能にも対応している。
インターフォンの応答は、屋内では無線LANアクセスポイントを経由して訪問者との通話や解錠ができる連携機能。今後発売予定の無線LAN対応モデルで利用できる。無線LAN通信なので通話料はかからない。不在時に来客があった場合は、固定電話の回線経由でインターフォンが転送され、外出先からも対応できる。
ケータイから家電を遠隔操作できるサービスは他社も提供しているが、ドコモならではの特徴は「専用iアプリの提供」と「家電と制御装置のワイヤレス化」の2点。iアプリは、家電の電源をまとめてON/OFFにする「一括制御」と、家電ごとに電源をON/OFFにする「個別制御」の2つのメニューで構成されており、リモコン感覚で使える。iアプリはドコモ向けにはダウンロード提供をする。他キャリア向け端末は、Webサイトから遠隔操作をすることになる。また「PCからも遠隔操作は可能」(説明員)だという。
家電と制御装置のワイヤレス化には、「ZigBee(ジグビー)」という短距離無線通信規格を採用している。無線LANではなくZigBeeを採用したのは、「障害物があっても比較的スムーズに通信できるため」(説明員)だという。「実証実験では1階と2階など、階をまたいでも通信できた。システムの設計方法や屋内のレイアウトなどによって変わる部分はあるが、80坪ほどの範囲はカバーできる」(説明員)。また、家電の操作に用いるデータは容量が少ないので、通信速度が遅くても問題ない。ちなみに、ZigBeeは「ミツバチ(bee)がジグザグに飛ぶ」様子をイメージした造語。
ホームシステムは個人向けには販売せず、2009年冬に住宅デベロッパーやハウスメーカー向けに提供を開始、新築マンションや戸建住宅へ導入を促進する。月額料金は徴収せず、初期費用のみで導入できる。価格の目安は10万円前後。「30〜50万円のコストがかかる従来の類似サービスと比べると安く抑えられる」(説明員)
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