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» 2010年02月19日 19時50分 UPDATE

Mobile World Congress 2010:BREW MP、MediaFLO、蝶の羽から発想したディスプレイ技術を披露――Qualcommブース

QualcommはMWCの同社ブースで、DC-HSPA/LTEなどの無線技術やBrew Mobile Platform、MediaFLOなどの技術に加え、蝶の羽から発想したというディスプレイ技術の「Mirasol」を披露した。

[末岡洋子,ITmedia]

 スペイン・バルセロナで2月15日から18日まで開催された「Mobile World Congress 2010」のQualcommのブースでは、DC-HSPA、LTEなどの無線技術やスマートフォンOSの「BREW MP」(BREW Mobile Platform)、ユニークな発想から生まれたディスプレイ技術「Mirasol」、「やっと本来の姿に近づいた」(Qualcomm説明員)というMediaFLOなどが展示された。

 MediaFLOの展示コーナーでは、MediaFLOを使ってTwitterやニュースなどのコンテンツを配信するマルチメディアサービスを紹介。MediaFLOの受信装置を搭載したLenovo製Netbook「Skylight」上で、Twitterや天気予報、ニュースなどの複数コンテンツを表示する試作アプリケーションを紹介していた。

sa_qc02.jpgsa_qc01.jpgPhoto Snapdragonを搭載したLenovoの「Skylight」と、その画面上に表示されたMediaFLOコンテンツ(写真=左、中)。USB接続のMediaFLO受信端末を接続している(写真=右)

 MediaFLOは下り専用のマルチメディア配信技術で、サービスがはじまっている北米では携帯電話向けのTV番組の配信(モバイルTV)が主流。Qualcommの広報・マーケティング部長 野崎孝幸氏によると、Qualcommでは当初からMediaFLOを、モバイルTVとしてではなくマルチキャストネットワークと考えており、「Twitterなど、3Gでは難しいコンテンツを配信できる。テレビはコンテンツの1つに過ぎない」と話す。「日本ではワンセグもあるので、テレビというよりは、上りで利用する無線回線とMediaFLOを組み合わせていかに面白いサービスにするかが勝負」という。

sa_qc04.jpgsa_qc05.jpgPhoto MediaFLO対応端末。iPhoneにも対応するようだ(写真=左)。MophieのiPhone向けバッテリーパックにMediaFLOチップを埋め込んだ(写真=中)。MediaFLO専用端末「Personal Television」(写真=右)

 無線通信技術は、HSPA関連、LTE、フェムトセルなどを紹介。LTEは、Ericssonのネットワーク機器、マルチモードチップ「MDM 9600」を搭載したUSB接続端末というライブのデモ環境で、約70Mbps程度の通信速度を実現していた。

sa_qc07.jpgPhoto LTEのライブデモ

 下り最大21MbpsのHSPA+をデュアルセル化して2倍(下り最大42Mbps)にするDC-HSPA+は、2009年にHSPA+サービスを開始したイー・モバイルが、年内にもサービスを提供すると予想されている。オーストラリアのTelstraは、さらにMIMOをつけ、10MHz帯域で下り最大84Mbpsの拡張を計画しているという。

sa_qc09.jpgPhoto HSPA+のロードマップ

 Qualcommによると、「最初からLTEを導入する通信キャリアもいるが、現実には、既存のHSPAを拡張したいというオペレータが多いとみている。10MHzで84Mbpsの通信速度が実現すれば、LTEと速度面では変わらなくなってくる」という。

 こうした背景からQualcommは、2009年2月、LTE、DC-HSPA、CDMA2000 1xEV-DO RevBに対応するマルチモードLTEチップセット「MDM9600」を発表した。2009年秋にサンプル出荷を開始しており、商用端末は12〜18カ月後くらいに登場する見込みとしている。

 また、中期的な開発としてビームフォーミング技術、長期的な開発としてフェムトセルを紹介していた。

 ビームフォーミングは、送信を2系統(ダイバーシティ)にし基地局を狙って電波を送る仕組み。伝送速度を高速化するものではないが、セルエッジでのカバーエリアの改善や省電力で安定した通信などのメリットが得られる。

Photo カバーエリアを改善し、省電力で安定した通信を可能にするビームフォーミング技術

 小型基地局のフェムトセルは、期待されているがなかなか導入が進んでいないのが現状だ。プラグアンドプレイでの利用が理想だが、基地局からの電波など、ほかの電波との干渉が課題となっている。個々の電波環境は異なるため、「ネットワークの管理や干渉制御技術のSON(Self Organizing Network)が最大のテーマ」という。

 Qualcommは2009年、フェムトセルのチップラインとして「FSM」を発表。WCDMA/HSPA+とEV-DOの2系統の提供を予定している。

 チップセットは、「Snapdragon」を搭載したLenovoの最新ネットブック「Skylight」、Googleの「Nexus One」をはじめとする各種スマートフォンを展示した。

sa_qc12.jpgPhoto Lenovoの最新ネットブック「Skylight」(写真=左)とSnapdragonを搭載した各種Netbook(写真=右)

sa_qc14.jpgPhoto Snapdragonを搭載したスマートフォン(写真=左)。Googleの「Nexus One」もSnapdragonを搭載(写真=右)

BREWをモバイルプラットフォームとして展開

 展示の目玉の1つともいえるのが「BREW MP」(Mobile Platform)だろう。BREW自体はずいぶん前からある技術だが、昨今のスマートフォンブームを受け、今後はプラットフォームとしての展開を積極的に進めていく。

 BREW MPは、台湾HTC製の最新スマートフォン「HTC Smart」に採用されたほか、HTCと欧州通信キャリアのO2 Telefonicaが、英国などの欧州市場で4月にローンチするとQualcommが2月に正式発表している。

 Smartは「使いやすさ」と「安さ」をキーワードとするマス向け端末で、BREW MPを採用したことで実現した端末だという。BREWは軽量なためエントリーレベルのチップを利用でき、端末の開発価格を抑えられる。発表の席でHTCのピーター・チョウCEOは、「Smartの価格は通常のスマートフォンの半分を目指す」と述べた。

 このほか、AT&Tも若者向けのメッセージ端末ラインで戦略的にBREWを採用すると発表している。端末は、HTCのほかにSamsungとPantechがBREW MPベースの端末を開発。会期中にはBrew MPの専用サイトもオープンし、SDKをはじめとするさまざまなリソースを提供していくという。

sa_qc16.jpgPhoto BREW端末(写真=左)とHTCのSmart(写真=右)

省電力に貢献するディスプレイ技術「Mirasol」

 携帯端末を開発する上での大きな課題となっている「省電力化」について、これまでQualcommはチップレベルで取り組んできた。しかし、ディスプレイが消費する電力は大きいことから、その省電力化に着目。現在、開発を進めているのが「Mirasol」だ。今年のCESで基調講演を行ったCEOがステージ上で披露した。

 Mirasolは、見る角度によって色が違う蝶の羽の光彩原理を応用したユニークな技術。反射板にMEMS(Micro-Electro Mechanical Systems:微小電気機械素子)技術を組み込むことで、光を反射させる波長をわざと干渉させて発色するという仕組みだ。バックライトを不要にすることで省電力を実現。Kindleのような電子書籍端末の場合、消費電力は5分の1程度ですむという(モノクロの場合)。

 これまでモノクロ版がGPS端末やモニタリング端末として商用化された実績があり、「カラー版が試作機レベルで実現しつつある」と説明員。カラー版は電子書籍リーダーなどでの利用を想定しているという。

sa_qc18.jpgPhoto Mirasolが入った端末。左から4つまでは商用製品だ(写真=左)。現在画面サイズは5インチ程度までに対応。まずは電子書籍端末での採用を狙う。将来は、タッチパネルに対応させるなど技術を強化し、スマートフォンへの搭載を目指す

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