提案が通るようになる――「相手の立場に立つ」3つのコツ研修に行ってこい!

提案しても通らず、やりたい仕事ができない。その結果、モチベーションが下がる――。こんな悪循環を断ち切りたい人に、「相手の立場に立つ」3つのコツをご紹介しましょう。

» 2010年06月08日 15時30分 公開
[原田由美子Business Media 誠]

 提案しても通らず、やりたい仕事ができない。その結果、モチベーションが下がる――。こんな悪循環を断ち切りたい人は日常的な仕事から、評価を高めておきたいもの。今回は、そのヒントをご紹介します。

提案が通る人、通らない人

 簡単な提案書をまとめただけで企画が通る人がいる一方で、企画書を一生懸命に作成し、何度もプレゼンテーションしても提案が通らない人がいます。提案が通る人と、通らない人とでは一体何が違うのでしょう? 

 その要因は多岐にわたると思いますが、最も肝心なことは1つだけです。それは、「相手の立場に立っているかどうか」です。

 提案は「相手」があって成り立つもの。提案が通る人は、常に「相手にとってどうか」を踏まえた上で話を進めるのに対し、提案が通らない人は、「自分にとってどうか」が中心になっています。

 その姿勢の違いは、日常的なありとあらゆる場面に現れます。その結果、提案が通る人は書類の中身を精査しなくても、「この人の言うことだったら」という信頼感から、概要だけで通ります。反対に、提案が通らない人は、提案までの間に信頼感が醸成できていないため、提案が通りにくい、あるいは通らない状況が続くことになります。

一事が万事

 それでは提案が通る人になるためには、どうすればよいのでしょうか? 「一事が万事」という言葉をご存知の方も多いでしょう。

 わずか一つの物事から、他のすべてのことを推し量ることができる。一つの小さな事柄の調子が他のすべての場合に現れる。

(大辞泉より引用)

 この言葉のように、小さなこともおろそかにしなければよいのです。要するに、どのような場面や状況でも、

  • 相手の立場で考える
  • 相手が受け止めやすいように表現する

 ことを心がけること。おすすめは次の3つです。

  1. 困ったネタをストックしておく
  2. 日ごろから観察力を磨いておく
  3. 要約力を身につける

困ったネタをストックしておく

 わたしの仕事は、社内研修の提案と講師の派遣。当然初めての場所(企業、事業所、研修会場)に行くケースも多いのですが、そんな時に困るのは次のような場合です。

  • 案内図が大雑把で道に迷う
  • 公共の交通手段が限られている
  • 駅前や会場近くに喫茶店がない
  • 周辺にコンビニなどがない
  • 内線番号などをどこに聞いていいか分からない
  • 会社ごとの資料送付ルールが分からない
  • 会議室や研修会場で備品(プロジェクターなど)がそろっていない
  • 交通機関の遅延などイレギュラーな事態に対応できない

 などです。上記のことは実際に困ったことですが、ただ困ったと悩むだけでなく、「自分が困ったことは、ほかの人も同じく困るかもしれない」と捉え直し、リスト化しておきました。今では、相手先への事前確認や、メールなどで案内を出す際の留意事項として役立つようになっています。

 このように、自分が困ったことを元に対応していくと、おのずと相手の立場に立って考え、行動することにつながっていきます。

日ごろから観察力を磨いておく

 観察力を磨いておくことは有効です。特に観察しておくことは、自分と全く違うタイプの人が、同じシチュエーションで何をどのように感じ、リアクションしているのかを知ること。

 わたしの場合は、そのことを失敗経験から学びました。約10年前、先輩から送られてきたメールに返信した時のことでした。先輩からまったくメールが来なくなってしまったのです。しばらく待っても回答がないので、先輩に確認の連絡をしたところ、「あんなに失礼なメールには回答したくない」と言います。どうしたことでしょう。

 実は、わたしは先輩のメールを引用して回答していました。いわゆる「インラインで回答する」という方法です。先輩はこのやり方を“生意気”を感じて、回答したくなかったと言うのです。わたしは、周囲の人がいつもインラインで回答するので、当たり前のように同じように回答しただけでしたが、人によってはそうしたやり方を好まないことが分かりました。そして、その影響は業務や人間関係に及ぶ結果となることを知ったのです。これは苦い経験でした。

 それ以来、自分とは違ったタイプの人がモノゴトをどのように受けとめ、行動するかを知り、それに合わせた情報発信力を磨くことは大事だと思っています。

要約力を身につける

 提案が通る人とそうでない人で大きく違うのは、「要するに、何がしたいの?」を一言で伝えられるか否かです。

 提案相手(上司や顧客)は、多くの情報に囲まれて意思決定しています。短い時間で触れた話題やキーワードでピンと来なければ、どんなにいい提案であってもなかなか了承しません。

 その要約力を身につけるのに適しているのがメール作成。メールの件名や本文をコンパクトにまとめていく工夫をすることで、要約力は身につきます。ご自身のメールを見て、次の3点を確認してみてくだい。

  • 件名:受け手が何をすればよいか伝わるか
  • 本文:重要なポイントが個条書きになっているか
  • 本文:文章が長い時は「見出し」をつけているか

 この点を意識して取り組むことが出来れば、回数を重ねるごとに上手くなるはず。提案力を身につけたい人はぜひ取り組んでみてください。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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