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» 2012年02月22日 11時00分 公開

説明書を書く悩み解決相談室:同じ言葉が逆の意味に使われていませんか? (2/2)

[開米瑞浩,Business Media 誠]
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違いを象徴する1点を見つけて対照的に描き出す

 一般用語が、ある業界で特有の意味で使われている場合は何かとコミュニケーションに苦労するものです。しかし、違いがあることをポジティブに捉えることで、いくらか回避できます。

 実はハッキリ違いがあるなら、それをきちんと表現できさえすればその後の説明は楽になります。避けて通るのではなく、違いが目に見えるように表すことが重要です。

 今回私は、城島さんと話をしながら下のような図を書いていました。この図は、認めるの2つの用法を「自分の側が採点基準を持っているかどうか」という一点でその違いを象徴して書いています。

 上は「自分の採点基準に照らして、相手が合格しているから認める」という用法です。この場合、認めるというのは「相手がした努力を自分が評価する」という行為になります。

 一方、下は「自分は採点基準を持たず、相手のありのままを受け入れる」ことです。この場合、認めるというのは「自分の側が相手を理解する努力をして達成できること」になります。

開米 これで合ってるかな?

城島 おーっ……なるほど! そうだねこういうことだね。

開米 そりゃよかった。認めてくれるかい?

 言葉で説明すると長くなりますが、図にすると「採点基準」の1点にその違いが象徴されます。といってももちろん「言葉の説明」がいらないわけではありません。こういう図解チャートは言葉での説明と合わせて威力を発揮するもので、どちらか片方だけではその効果は激減します。

 ところが、この種のチャートを書くのが苦手だという人が多いんですね。そこで、1つ気を付けておきたいのは、両者の違いを象徴するような1点を作っておくことです。今回の例で言えば「採点基準」がその象徴的なポイントでした。これがあるかないかで、認めるの2つの用法がくっきり分かれます。

 AとBが違うという説明をするときは、できるだけこの「違いを象徴する1点」を探してください。本気で探すと結構見つかるものです。しかも、その1点は問題の本質に深くかかわる1点であるケースが多く、単なる分かりやすく説明するための方便以上の意味があることが少なくありません。

 違いを1点に象徴するのは、プレゼンテーションのノウハウとしてもよく指導する手法です。こんなに単純に言ってしまっていいのだろうか……と不安を感じるかもしれませんが、一度は試してみる価値があります。不安を乗り越えてやってみましょう。


 当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」という相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。

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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』、『頭のいい「教え方」 すごいコツ!』


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