――広告表現をする際に大切なのは、結果だけではなくプロセスだということですね。
今はとてもしんどい時代だと思うんです。コロナ禍によるしんどさというのも、もちろんあるのですが、それよりもだいぶ前から、人々はちょっとした比べ合いや、足の引っ張り合いをするようになりました。誰かの失言とかよくない行為など、何かしらのミスを発見して指摘することが、「よくぞ言った!」と称賛される風潮も一部では見られます。
もちろん、指摘自体は完全に悪いことではないのですが、今は単に、誰かやどこかの悪いところを発掘して、それを公に指摘することが良しとされることが加速しているような気がします。その加速には、やはりSNSの影響が大きいのですが、SNSはやはりあくまでもツールで、責任の所在は使い手にあり、使い方にあるものです。
このように、しんどい時代において、広告表現で大切なことは、傷つく人がいないかを考え、傷つける可能性があることを前提に、なぜこの表現にしたかをとことん議論し尽くすことです。そして必要ならば、そのプロセスを世の中に公開することも大切です。こうしたプロセスを経れば、もっと踏み込んだ表現もぼくは可能だと考えています。
鳥井大吾(とりい・だいご)
法政大学経済学部 卒業後Webマーケティンク会社にコンサルティング営業として入社。その後、がん情報メディアの運営に携わり、医療者やがん体験者へのインタビューや記事執筆を行うも、2019年10月に退職。
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