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定年後に「新天地」で挑戦する高齢者 中小企業の支援で新たな生きがい見つける70歳の働く場(5/5 ページ)

» 2021年07月28日 08時00分 公開
[中西享ITmedia]
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「自由に仕事をしたい」

 朝倉敏文さん(65歳)は元三和銀行(現三菱UFJ銀行)で3つの支店長を含む拠点長を経験するなど30年勤めた。

 「銀行は60歳までは面倒を見てくれるが、そこから先はない。出向年齢に達した後、銀行の紹介で関連会社ではないIT会社、マンション管理会社の役員として10年余仕事をしてきた。最後の会社勤めは自分で探した不動産金融会社に兼業希望を出して入社。行政書士の試験に合格し、兼業を申し出たが、兼業はダメと言われ5カ月で退社した。

 家内には今の会社を退職したいと話したら、『あなた何を考えてるのよ』と、激怒されたという。大学に行っている娘がいたので家内としては安定を求めたのだろうが、最終的には、自分の意を通して辞めた」

 いまは、行政書士事務所を開業する傍ら、エスプールから来る仕事も何件か手掛けている。6月からはさらにNPO法人の理事、県や市の公募委員が加わった。銀行の先輩から「年を取ると、教育(今日行く所)と教養(今日の用事)が要るよ」と言われた笑い話があるという。

 「この年齢になって、求めるものはお金ではなく、人に喜んでもらえることだと思う。元気な間はこのペースで仕事を続けていきたい。経験したことのない仕事をしていると、ネットでは得られないナマの状況を知ることができ、知的欲求の満足にもつながっている。自由に働ける今の状況に本当に満足している」

朝倉敏文さん
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