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旭化成・小堀秀毅社長を直撃 事業分野を見直し、脱炭素に積極的に取り組む旭化成・小堀秀毅社長を直撃【後編】(2/4 ページ)

» 2021年12月22日 11時26分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]

「割り算」のマネジメントが重要

――具体的にはどうやってCO2を削減するのですか。

 水力発電を多く持っているので、ここ3、4年で改修して効率を高めています。また、石炭火力発電を減らして、LNG(液化天然ガス)化、バイオマス化を進めています。持っている自家発電の再生エネルギー化を図り、製造プロセスから出るCO2を見える化をして、改良改善をして抑えていくなどいくつかの取り組みをします。

――そのためにかなりコストが掛かりますか。

 コストも掛かるので、成長戦略に向けて投資効率を高めていかなければなりません。そうなると「割り算」のマネジメントが重要になります。投資に対するリターン、1人当たりの売上高、利益率など、一人ひとりの生産性をどう高めるかが極めて重要です。

 工場生産ではIoTを利用し見える化を進め、スループット(処理能力)を上げて、CO2を抑えていきます。効率性をより高めていくことが重要になりますので、まさにDXが重要なカギを握っています。

――福島県浪江町の「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R)で世界有数のアルカリ水電解水素製造システムを導入していますが、実用化に向けての展望は。今後の水素事業にどの程度コミットする計画でしょうか。またNEDOとの実証で水素からアンモニアを製造する開発を進めているようですが、見込みのほどは。

 当社は100年近く前に、再生可能エネルギーを利用したCO2フリーの水素やアンモニアを製造していた歴史があります。また、半世紀近く前から食塩水を分解して塩素とカセイソーダを作るイオン交換膜の事業に強みを持っています。これらの蓄積してきたテクノロジーを活用してアルカリ水電解による水素を製造することに特徴があります。その稼働を再生可能エネルギーによって実行することで、グリーンな水素を作ることができます。

 この度、政府のグリーンイノベーション基金2兆円の一部を活用させていただき、実証プラントを作っていきます。グリーンな水素を作るのがサステナブルな脱炭素社会作りに生きるのではないでしょうか。エンジニアリング会社の日揮さまと組んで、この水素を使ってグリーンなアンモニアを作る事業にも取り組みます。

水素製造システム(10MW級大型アルカリ水電解システム)外観

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