ただ、宇宙ビジネスが拡大する中で、人材の確保は世界的にも課題になっている。稲川氏は大学や大学院で航空宇宙工学を専門として学んだわけではない。他の分野からも宇宙産業に関わることは可能だと稲川氏は呼びかける。
「私もそうでしたが、全員が大学で航空宇宙工学を学んでいる必要はありません。業務をやりながら学ぶ必要のある知識もありますが、他の専門領域を持っていればロケット開発に携わることができます。『専門が違うのですがいいのでしょうか』と心配する人がいますが大丈夫です。多様な分野で学んだ人たちが関われることをもっと知ってもらいたいですね」
稲川社長がISTに入社し、会社が成長していく中で、国内外で宇宙ビジネスを取り巻く状況も大きく変わってきた。特に2021年は、米国で民間による宇宙旅行が現実になった。
「宇宙旅行は非常に面白いと思っています。ヴァージン・ギャランティック創業者のリチャード・ブランソン氏や、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏も自社の宇宙船で宇宙に行きました。
宇宙旅行の実績で先行しているイーロン・マスク氏のスペースXは、一般のお客さんを乗せて、地球周回軌道での3日間の宇宙旅行も始めています。宇宙旅行は大きな市場だと思いますし、われわれもいつか有人飛行をやりたいですね」
また国内では、21年10月に本田技研工業がロケット開発を含む宇宙事業への参入を正式に表明した。自動車産業が宇宙ビジネスに参入する動きも世界で本格化しているが、稲川氏は「革新的なロケットの開発がベンチャーの強み」と強調する。
「ここ数年ですごい勢いでロケットの会社ができています。企画だけなら世界で100社以上あるのではないでしょうか。でも、ものづくりから打ち上げまで一気通貫でできている会社は世界でも限られます。アジアの中で圧倒的に強いロケットを作っていく考えは変わっていません。
大企業も含めたプレイヤーが増えていることは、成長産業として見られている証ですので、すごくいいことだと思っています。資本力ではもちろん大企業が強いでしょう。それでも、革新的なロケットの開発などチャレンジングなことができて、サイクルを早く回していけるのがベンチャー企業の強みです。その強みを生かせば大企業が参入してきても十分勝てると思っています」
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