東京都内のテニススクールに2021年11月、テニスを習う子どもたちが全国から集まった。子どもたちが代わる代わるラリーをする相手は、プロテニスプレイヤーの錦織圭選手。東京2020オリンピックでベスト8の成績を残した後、全米オープンなど海外で転戦して、帰国したタイミングだった。憧れの選手とのラリーに、子どもたちは目を輝かせていた。
錦織選手はレッスンの後、東京2020パラリンピックの車いすテニス女子シングルスで銀メダルを獲得した上地結衣選手とトークショーも開催。テニスを始めたきっかけから、プライベートの過ごし方、今後の目標などについて語り合ったほか、プレゼントの抽選会も開かれた。
このイベントを開催したのは日本航空(JAL)。錦織選手と上地選手は、JALがスポンサーとして海外への移動などをサポートしている選手でもある。JALではこのイベントをマイレージ会員向けに開催し、入場料はお金ではなく選んだコースによって1万〜3万マイルというマイルでの支払いにした。
このイベントの背景には、航空サービスだけでなく、人生の多様なライフサイクルの中でJALに触れてもらいたい狙いがある。取り組みの背景を、JAL宣伝部運営グループの中山和之グループ長に聞いた。
「どんなレッスンにしましょうか?」
テニスコートに立った錦織圭選手が、自分をぐるりと囲む子どもたちに笑顔で語りかける。錦織選手はまずストロークについて解説したあと、参加者全員を相手にラリーをした。さらに、ボレーについてもポイントを説明して、またラリーをしながら直接指導した。
このイベントはJALが主催した「錦織圭×JAL special Tennis School」。東京都江東区のテニススクールGODAI亀戸を会場に21年11月30日に開催された。世界のトッププレイヤーである錦織選手と触れあえること自体が異例のことだが、その開催方法もまた異例だった。
開催は急遽(きゅうきょ)決まり、参加チケットを発売したのは半月前。しかも、その料金はJALのマイレージでの支払いだった。体験レッスンとトークショーのセットが3万マイル、トークショーだけの参加は1万マイル。その結果、体験レッスン付きチケットは即日で完売した。中山グループ長は反響の大きさに手応えを感じている。
「発売したのは約2週間前の11月15日です。マイレージ会員向けに発表した瞬間に応募が殺到して、当日に完売しました。体験レッスンには全国から訪れた60組120人の親子と、急なお願いにもかかわらず場所を提供していただいたGODAI亀戸に通う皆さんに参加していただきました。交通費は参加者の負担でしたので、中にはマイルを特典航空券に交換して東京に来ていただいた方もいるかもしれません」
JALでは錦織選手によるイベントを、これまでに2度開催していた。1回目はまだ新型コロナウイルスの影響がなかった時期に開催したスポーツ能力測定会。2回目はコロナ禍だった20年に、オンラインでのテニスの個人レッスンや、1対1で会話ができる場を作った。今回のイベントは、オフィシャルエアラインパートナーとして支援していた東京2020オリンピック・パラリンピックを通じたコミュニケーションに位置付けている。
「正直なところ、当社では東京2020オリンピック・パラリンピックの成功に貢献しながら、スポーツを前面に出してJALのファンを増やす活動をしたいと考えていました。しかし、コロナ禍でそれがかないませんでした。その後もリアルのイベントが開催できない中で、何か挑戦できないかと考えて急遽決まったのがこのイベントです。
錦織選手とは15年からのスポンサー契約を結んでいまして、21年からはウェアにJALのロゴを背負っていただいています。また、上地選手とのお付き合いは錦織選手よりも古く、13年からです。東京2020で活躍したお二人とイベントができればと思い、帰国するタイミングを見てお声がけしたところ、快く引き受けていただきました」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング