JR東海グループが仕掛ける催事戦略 東京ラーメンストリートに行列絶えぬ理由第3弾は栃木県「麺屋ようすけ」(1/5 ページ)

» 2022年02月24日 18時43分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 東京駅八重洲口の観光名所になっている東京駅一番街。その中でも行列が絶えないのが、東京の人気ラーメン店を一堂に集めた東京ラーメンストリートだ。2009年に東京駅の観光スポットの目玉としてオープンし、つけ麺が人気の「六里舎」など、入店するまで「2時間待ち」の店もあったほどだ。

東京ラーメンストリート(以下、クレジットのない写真は東京ステーション開発提供)

 だが20年4月以降コロナ禍に入り、その様相は一変。2時間待ちだった人気店も、並ばずに食べられることも珍しくなくなった。厳しかった時を過ぎて、今ではその様子も過去のものになりつつあり、東京ラーメンストリート全体では再び賑わいを取り戻しつつある。

六厘舎 生七味つけめん

 実はその“起爆剤”となった企画が、21年7月に始まった「ご当地ラーメンチャレンジ by 東京ラーメンストリート」だ。東京に限らず、全国各地の名店を約100日ずつ期間限定で出店するもので、第7弾が終わる23年8月31日まで予定されている。実に25カ月にも及ぶ取り組みだ。

 現在では第1弾の横浜・戸塚の名店「支那そばや」の出店が終わり第2弾の熊本の名店「天外天」が2月24日まで出店している。その後は3月4日から栃木・佐野ラーメンで人気の「麺屋ようすけ」が入る予定だ。

熊本の名店「天外天」が2月24日まで出店

 「ご当地ラーメンチャレンジ」の開始から半年以上が過ぎた。どのような効果があったのか。東京ラーメンストリートのある東京駅一番街を運営するJR東海のグループの「東京ステーション開発」営業開発部の笠井俊亮さんにヒットの秘密を聞いた。

笠井俊亮(かさいしゅんすけ) 2011年東京ステーション開発に入社。「東京ラーメンストリート」をはじめ、「東京キャラクターストリート」「にっぽん、グルメ街道。」「東京グルメゾン」など、東京駅一番街の店舗リーシングを担当。特徴的なゾーンの開発を手掛ける。東京都出身。39歳(撮影:河嶌太郎)

「支那そばや」で顧客開拓

――21年7月に「ご当地ラーメンチャレンジ」が始まり、半年以上が経(た)ちました。振り返ってみてどうですか。

 連日かなり多くのお客さまに来店いただいていて、手応えを感じております。第1弾の「支那そばや」も連日行列が絶えなかったのですが、お並びのお客さまを見ていると、普段はあまり見受けられない年配のご夫婦の姿も見られました。

 そのご夫婦の会話に耳を傾けてみると、「佐野さんのところだよね、懐かしいね」「ここおいしいんだよ。久々に食べられるな」という声も聞かれ、今までにない目的を持って来てくださったと思いました。これまでにない客層にも訴求できる企画になったと感じますね。

――顧客の新規開拓ができたようですね。もともとはどんな客層が多かったのでしょうか。

 平日と土日でカラーが変わるんですが、平日の場合は、東京駅周辺のオフィスで働いているサラリーマンやOLの方はもちろん、食べ歩きが趣味のラーメンファンの方々が中心でした。

 土日はがらっと変わり、本来の想定客層である地方から東京に観光で訪れた方や、東京駅一番街の一部で、東京ラーメンストリートに隣接するアニメやマンガのキャラクター商品を扱った店が並ぶ「東京キャラクターストリート」に行かれたあとに、お子さん連れで来るファミリー層が中心でしたね。

――それまでは東京駅に来た客層を取り込んでいたものが、今ではラーメンストリート自体が一つの目的地になりつつあるのですね。

 そうですね、逆転というところまでは言い切れないのですが、支那そばやさんの時の例で言うと、ラーメンファンの方や、懐かしんで来ていただく年配の方など、総じて新しい客層の方が訪れています。結果的に東京ラーメンストリート全店の売り上げの底上げにつながっています。

第一弾「支那そばや」の外観
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