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日本SGI:ブロードバンドが企業のWebのあり方を変えていくという日本SGI (2/2)

ZDNet SGIがNTTと浦安でビデオ・オン・デマンドの実験をやったころと比べて、コンテンツホルダー側の意識に変化はありますか?

和泉 1996年の実験には確かにお金がかかりましたが、そこからは「MediaBase」という製品が生まれました。同時期に実験を行ったNECやマイクロソフトも、そこから製品が生まれています。あのときに今のブロードバンドの基礎ができたわけです。ミドルウェアも当時から比べると遙かに使いやすいものになっています。

 コンテンツホルダーがコンテンツ配信するというのは当たり前、問題はコンテンツを管理するシステムです。SGIはInfinite Media Library(IML)というものを作りましたが、これはコンテンツのアセットマネジメントのニーズが出てきたということです。コンテンツホルダーが本格化してきたと言い換えることもできるでしょう。ただ配信するだけなら、デジタルアセットマネジメントの必要はありません。それらコンテンツを有効活用した新しいコンテンツ作り、そのときにデジタルアセットマネジメントが必要になってきます。デジタルアセットマネジメントも2003年から本格化するでしょう。

ZDNet 企業内でのブロードバンドインフラの普及は、ビジネスにどのような影響を与えるでしょうか。

和泉 企業はこれから、もっと戦略的な点からブロードバンド時代に合わせたWeb作りをするようになるでしょう。今はナローバンドに合わせていろいろ工夫しているだけですが、ブロードバンド時代になり、Webのあり方、特にe-コマースのあり方は全部変わります。日本SGIのWebでも、3次元のWeb 3Dを使って、ユーザーが3次元のミュージアムの中でソリューションを見ることができます。ただ、残念ながらクリックすると、写真や文字の世界です。こういったところに映像が流れるというようなことは、企業はみんなやりますよ。映像を利用することで、企業概要の説明など、もっともっとわかりやすくなります。そこは日本SGIのターゲットです。ただ我々は基幹システムに手を出す気はありません。

 かつてWebで3Dがもてはやされた時期がありましたが、重すぎて、圧縮技術の方向に進みました。しかし、回線さえ太ければさまざまなものがそのまま流せるのです。僕に言わせれば100Mbpsだって最低ラインです。

 リッチコンテンツといっても、なにも何でもかんでもきれいなCGにしろとか、映像で流せばいいということではありません。そういうものが自由にダウンロードされたり、必要に応じて映像が流せたり、そういう可能性が出てくるだけで、Webのあり方が全然変わると考えています。

ZDNet ブロードバンド時代に、日本企業が再生するためのポイントはなんでしょうか。

和泉 コンピュータ会社がハードウェアにこだわっていく時代でしょうか? インテルのIA64が出てくれば、プロセッサはコモディティになります。うちの技術のものによく言うんですが「これ(インテルチップ)を使い始めたら、3カ月後には性能が変わっている」と。いままではMIPSとかAlphaとかCPUの議論をしていたのですが、スケーラビリティを持ってする時代になれば全く形態が変わってくるはずです。

 ハードウェアよりもっと重要なのはソリューションでしょう。もうコンピュータメーカーが偉そうな顔をして、技術論をやる時代じゃないというのが持論です。今の日本SGIはソリューションインテグレーターです。2001年の11月、NECとNECソフトの資本を入れて、米SGIの製品をエクスクルーシブに扱える企業になりました。SGIの製品だけを売らなくてはいけない企業ではないのです。コンピュータメーカーだったら、こういう変化にはたいへんな時間がかかるでしょう。SGIも高性能のワークステーションを作れば売れるという時代ではなくなったということです。

2003年、今年のお正月は?
八ヶ岳の山荘に行きます。もう子供も独立していますので、夫婦だけで、犬や馬と一緒に過ごします。和泉社長はDIYに凝っていて、山荘にはいくつもの「作品」があるのだそう。「世知辛い都会を避けて、自然の中で過ごします」と笑った。

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[聞き手:佐々木千之,ITmedia]


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