Gartnerが、モバイルWebや位置認識技術、ウィジェットなど、企業の戦略に影響を与える可能性のある10の技術をピックアップした。
米Gartner Researchが3月に公表した報告書によると、先進的な企業が2011年にインパクトを感じると予想される10のモバイル技術には、Bluetooth 3および4、アプリストア、モバイルウィジェット、タッチスクリーンなどが含まれる。
4月19日にサンディエゴで開幕するGartner Wireless, Networking & Communications Summitに先立って公表されたこの報告書は、企業が不況を脱して投資を再開する中で「企業の戦略に影響を与え、多数の顧客や従業員が利用あるいは期待し、企業が直面するモバイル関連の課題に対処する可能性のある技術」を挙げている。
これらの技術の上位10リストには、上記のほかにモバイルWeb、プラットフォーム非依存のモバイルアプリケーション開発プラットフォーム、高度な位置認識技術、セルラーブロードバンド、M2M(マシン間通信)技術、デバイス非依存セキュリティが含まれる。
「コンシューマー分野で人々が最も注目すると予想される技術の1つが、低消費電力モードを提供するBluetooth 4だ」とGartnerのアナリスト、ニック・ジョーンズ氏は米eWEEKの取材で語った。「この技術は携帯電話向けに多くの周辺機器を実現するだろう。これらの機器のバッテリー寿命は数年間に及ぶ可能性もある」
ジョーンズ氏によると、こういった周辺機器の1つとして、ユニークな機能やヘルスケアソリューション(ジョギング中にユーザーの血圧や心拍数を測定するデバイスなど)を備えた「インテリジェントジュエリー」などが考えられるという。
「アプリストア革命も既に始まった」とジョーンズ氏は話す。
「アプリストアはモビリティの3つのフェーズの2番目の段階だといえる」と同氏は話す。「最初のフェーズはデバイス中心の世界だ。その次の時代はデバイスとアプリの結合の段階であり、その代表がiPhoneだ。そして今出現しつつある第3のフェーズが、デバイスとクラウドあるいはデバイスとサービスの結合だ。これはデバイス上でアプリを利用するだけではなく、クラウド内の機能にアクセスできるという段階だ」
ジョーンズ氏は、Appleがアプリストアの現在の王者であり、NokiaがモバイルOSの主要プロバイダーであると指摘した上で、将来はAndroidがモバイルOSとして第2位の座に着くと予測する。
「開発者のフォーカスも多少シフトすることになるだろう」とジョーンズ氏は語る。「全世界に何千万人ものNokiaユーザーがおり、“彼らは頻繁にダウンロードするユーザーではないが、ユーザー数の多さを考えれば大きな収益を期待できそうだ”と開発者たちは思うかもしれない」
さらにGartnerの報告書で注目されるのは、2011年に全世界で出荷される携帯端末の85%には、基本的なものであれ何らかのブラウザが組み込まれるという予測だ。Gartnerによると、これが重要なのは、企業がシンプルなアプリケーションを多数の携帯端末に低コストで配布できるようになるからだという。
「成熟市場では2012年までに、モバイルWebおよびそれに関連するWeb対応ツールがB2C(Business to Consumer)モバイルアプリケーションのための主要技術になると予想され、すべての企業はこれらをB2C技術ポートフォリオに含めるべきだ」と同報告書は指摘する。
同報告書によると、2011年までに西欧や日本などの“成熟市場”向けに出荷される携帯端末の75%にGPSが搭載され、30%のスマートフォンに電子コンパスが組み込まれる見込みだとしている。位置情報と道案内機能を組み合わせることにより、「拡張現実ビューワなどのアプリケーションが実現可能になる。ロケーション対応の検索やソーシャルネットワーキングといったタスク用にこういったアプリケーションが登場し始めた」と報告書は記している。
今後、コンシューマーおよび企業ワーカー、さらにTwitterなどのサービスを利用する企業向けに、さらに多くのロケーション対応アプリケーションが登場するものと予想されるという。Twitterがサポートする位置情報付加・認識機能はもちろんコンシューマーにも利用価値がある。
「ここでちょっとしたジェネレーションギャップがあるかもしれない」とGartnerのジョーンズ氏は語る。「多くの若者は、自分の生活の詳細を人に知らせるのに抵抗を感じない。プライバシーを心配する人もいるが、その場合は特定の機能を無効にすればいいだけだ」
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