後発だから負けられない〜「W22H」、スライドボディの秘密

» 2004年11月16日 02時56分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 auの日立製作所製の「W22H」(10月13日の記事参照)は、スライドボディを採用した端末。閉じた状態でも前面に大きな液晶と操作キーを置けるデザインが「ミュージックプレイヤー的な使い方で、EZ着うたフル(10月27日の記事参照)を思う存分楽しんでもらえる」(カシオ日立モバイルコミュニケーションズ戦略推進グループの吉田征義氏)ことから選ばれたボディだ。

 「W22H」のヴィンテージレッド。曲線を多用したボディデザインは「A5303H」(2002年12月の記事参照)や「W11H」(2003年11月の記事参照)から引き継がれている

 スライドボディはKDDI端末としては初となるが、全メーカーとして見ると既に三洋電機(8月11日の記事参照)や三菱電機(9月21日の記事参照)が採用しており、日立製作所は後発組になる。

 先に出ているスライド端末とは一線を画すものにしたかった──。そんな思いで端末作りに取り組んだ日立製作所の開発陣に、“W22Hならでは”の工夫を聞いた。

開けやすさのポイント1:“バネ”を使ったスライドアシスト

 W22Hの“使いやすいスライド”の秘密は2つある。バネを使った「スライドアシスト」機構と、端末の上面と底面を斜めにカットした「スラントスライディング」機構だ。

 スライドアシストとは、端末をスライドさせる際に、ある一定のところまで押すと、勝手に上までスライドする機構。端末を閉じるときも、上から少し押すだけで閉じるようになっている。

 「スライドボディの端末はいくつか出ているが、基本的には手動で開け閉めする形。使いやすくするためには、ちょっとした動作で開閉できるメカニズムを入れてあげなくては」──こう話すのは、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ開発設計本部の機構設計グループでチームリーダを務める下山田和郎氏だ。

 ただ携帯電話は大きさに限りがあり、コスト面での制約もある。大がかりな仕組みにはできない中、これまであたためていた「バネを使った仕組み」を使うことにした。「ねじりバネが左右の側面に一つずつ縦に入っている」(下山田氏)。バネの伸縮とバネ自体がスイングする機構を組み合わせて、開閉時の加重を出す仕組みだ。「開けるだけなら簡単だが、閉じるときも──となると、機構的にとても難しい。何百種類もバネを作って試し、最適なものを使った」(同)。

 バネを使ったスライド機構のイメージ

 その効果を日立製作所ホームソリューションデザイン部の専門デザイナー、岩間徳浩氏は、こう説明する。「人が無理なく動かせる指の範囲は決まっているが、スライド端末の場合、動かす範囲が多い。指で動かせる部分までは指で、その先はバネまかせ──というようにスライドアシストがサポートする」(岩間氏)。

開けやすさのポイント2:“斜めカット”のスラントスライディング

 もう一つのこだわりが、上面と底面の間を斜めにカットしたスラントスライディングだ(Slantは“斜め”の意)。多くのスライド端末は、極端にいえば上面と底面が、2つの箱の重ね合わせになっている。文字入力の際、重なる部分に方向キーや決定キーがレイアウトされることから、この部分をいかに薄くできるかが使い勝手の善し悪しにつながる。多くのメーカーは、ボディ自体を薄くしたり、先端部を薄くするなどの方法でこの問題に対応している。

 左がSamsungのスライド端末、右がW22H。Samsungは2つの箱を平行に組み合わせた形に、W22Hは斜めにスライドする形なのが分かる

 W22Hは発想を転換し、端末を斜めにカットした。「(2つの箱を組み合わせたタイプでは)スライドすると段差ができて、方向キーを押すための指の動きが大きくなってしまう。スラントスライディングは、開いたときのほうが(重なった部分が)薄くなる。先端部も傾斜させているので、スライド特有の段差がなく、文字変換操作で方向キーを使う際にも違和感がない」(岩間氏)。

 端末をスライドさせたところ。左がSamsungのスライド端末、右がW22H。斜めにカットすることで、開いたときに重なる部分が薄くなる。方向キー部分も傾斜させることで、スライドならではの文字入力時の違和感をなくした。

 斜めカットはほかにも“開いて置いたときにガタつかないので、机の上などに置いたままでもメールが打ちやすい”“スライドさせるときに斜め下方向に押し出すので、指を押し出す動きに無理がない”といったメリットもあるという。「スラントがいろいろなところでいい効果を出してくれた」(下山田氏)。

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