携帯“ポストカメラ”の主役は何か(2/3 ページ)

» 2004年12月16日 03時04分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

候補1:目指すは「ケータイiPod」

 1つの候補となり得るのは“音楽プレーヤー”としての携帯だ。

 この分野で先頭を走るKDDIは、フル楽曲の音楽配信「着うたフル」を本格的に開始し、携帯音楽プレーヤー化に先鞭を付けた(10月13日の記事参照)。開始後3週間で36万曲がダウンロードされるなど、好調な滑り出しだ(12月15日の記事参照)

 これまで音楽機能に消極的だったドコモも、「(901iは)全機種、音楽再生機能付き。メモリカードで(PCから)音楽を移すと聴ける」(マルチメディアサービス部長の夏野剛氏)と、音楽機能を公式にアピールし始めた(11月17日の記事参照)

 PCから楽曲をコピーして再生できる機能は、以前から一部機種が対応していたが(7月22日の記事参照)、著作権上の問題があり、表だってアピールされたのは初めて。業界では少なからず波紋を呼んでいるが、それだけ音楽プレーヤー機能が重要視され始めたということだろう。

10月のCEATEC JAPANに東芝が出店した0.85インチHDD。携帯への搭載が想定されている

 方向性の1つはケータイiPodだ(11月17日の記事参照)。携帯にHDDを入れることは、技術的には可能になってきている(12月15日の記事参照)。「韓国ではHDD付きの端末が出てきている。目指す方向になり得る」(KDDIコンテンツ・メディア本部長の高橋誠氏)

 東芝は0.85インチという切手サイズのHDDを開発済み(9月28日の記事参照)。2G/4Gバイトの容量を持ち、携帯などモバイル機器への搭載を視野に入れている。

 ユーザー調査でも、「携帯のほかに持ち歩くものはポータブルオーディオ機器」という結果が出ている。特に携帯のヘビーユーザーである10〜20代がポータブルオーディオ機器の利用に熱心だ。両者の一体化には確実にニーズがありそうだ。

候補2:携帯でデジタルテレビ〜通信と放送の融合

 2つ目の候補は“テレビを内蔵した”携帯だ。

 ボーダフォンは既にアナログ地上波放送対応のテレビ付き携帯電話を発売しているが、本命はやはり地上デジタル放送だ。「テレビが来て地上デジタル放送が来て。安くてリッチなコンテンツという意味では(テレビが)最有力だ」(シャープの新井氏)

三洋電機が、1年前のCEATEC JAPAN 2003に出展した、モバイル向け地上デジタル放送対応端末(2003年10月7日の記事参照)

 モバイル向け地上デジタル放送──通称、1セグ放送は2005年度末にも放送開始予定(3月24日の記事参照)。端末メーカーはどこよりも先に対応端末を出そうとしのぎを削っている。「ぜひ国内向けに、地上デジタルテレビ対応端末の出荷を、業界初として達成したい」と意気込むのは三洋電機の壽英司専務(7月22日の記事参照)。三洋はau向けにFMチューナー内蔵端末も複数投入しており、通信と放送の融合では先行している。

 そのほか、NECも試作機を早くから公開しているほか(2003年7月10日の記事参照)、日立も対応試験機を試作済み(5月28日の記事参照)

 カシオと富士通も、放送信号のOFDM復調回路を共同開発した。従来は信号成分を周波数と信号強度に関して分析、補正していたが、新回路では時間軸でも同様の処理をすることで感度が10倍に。さらに2つの受信アンテナを使い、アンテナの指向性を制御することで、強い信号を受信する技術も組み込んだ。最終的に従来の回路と比べて感度が100倍以上向上したという。2005年冬ごろ、カシオと日立のカシオ日立モバイルコミュニケーションズに出荷する計画だ。

 カシオと日立の場合、日立はベースバンド系を、カシオはOFDM系をメインにやっていた。両社の強みを生かして、早期かつ高性能な端末投入を目指す。「地上デジタル放送に関しては、最初は感度競争とか性能勝負にいくのでは。ここでも映りますとか、何時間見えるとか」(カシオ日立モバイルコミュニケーションズの石田氏)

 テレビ局も携帯の地上デジタル放送対応に期待しており(10月22日の記事参照)、2005年冬の携帯は“地上デジタル放送対応”がキーワードの1つになるのは間違いない。

候補3:市場が立ち上がる──FeliCa携帯

 3つ目の可能性は、ドコモが推し進める“FeliCaチップ内蔵携帯”だ。

 ドコモが2004年7月に発表したFeliCaチップ内蔵のiCシリーズは、12月14日時点で5機種、100万台に達した(12月15日の記事参照)。ドコモのマルチメディアサービス部長である夏野剛氏は、2005年度末にFeliCa対応端末は1000万台に達すると見通しを話している。

 複数のFeliCaサービスプロバイダーが話す「1000万台普及によってプラットフォームとして成立する」という条件がここでクリアできるわけだ。これまで買い換えを促すほどのインパクトを持ってこなかったFeliCaだが、2005年は「FeliCaが携帯の進化を引っ張る」可能性がある。

JR東日本が2003年末に行った、携帯をSuica代わりに使うデモ(2003年12月19日の記事参照)

 ブレイクを後押しするもう1つの要素はSuica対応だ。JR東日本は2005年度後半に、乗車券や定期券代わりに使えるSuica機能をFeliCa対応携帯電話で利用できるようにする予定(4月13日の記事参照)。FeliCa対応携帯の本命サービスの1つと言われていただけに、大きな追い風となる。

 さらにKDDIも同じタイミングでFeliCa対応携帯を導入する予定だ(9月28日の記事参照)。2006年度以降の1X WIN端末はFeliCaを標準搭載するとしており、一気にFeliCaは携帯の標準機能に躍り出る。

 もっともFeliCa対応は、端末メーカーごとの努力や工夫が現れにくい機能でもある(8月10日の記事参照)。音楽プレーヤー機能や地上デジタル放送対応とは違い、あくまで通信キャリア主導で淡々と浸透するだろう。

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