これまでに見たこともない端末を──というコンセプトで開発された「Lechiffon」(2月3日の記事参照)。どんな端末なのかを、開発陣のコメントを交えつつ見ていこう。
Lechiffonは、細かいところまで各色オリジナルの要素が入っている。外観で異なるのは、カメラ周りのチャーム(銀色の部分)とスピーカー穴周りのパンチングの色、キラリランプの形、合成皮革の裏地、キラリランプ(2004年4月の記事参照)周りの絵柄だ。
ウェイクアップ画面とメニュー画面もそれぞれのボディカラーに合わせたオリジナルの柄。外箱やカバーカードも各色ごとに異なる。
着メロや着信音も「ちょっと幸せになったり、楽しくなったり癒されたりする」音を揃えた。Lechiffonオリジナル4曲のほか、CHARAやピチカート・ファイヴの曲が入っている。
「この端末の持つ可愛さを、どう音に変換するのかが難しかった。『ハッピー』というキーワードを出して、バリエーションを付けていった」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ 商品企画グループの周防利克主任)
Lechiffonには卓上ホルダがなく、ケーブルに直接端末を接続して充電する。折りたたんだ端末を止めるホックの位置に外部接続端子があるため、端末を開いた状態で充電することになる。閉じた状態での充電に慣れていると、少々違和感を感じる部分だ。
Lechiffonには背面液晶がなく、閉じた状態では誰からのメールや着信なのかが分からない。“充電中にも誰からの連絡なのかが分かる”という意味では、こうしたスタイルもありなのかもしれない。
背面液晶を搭載しなかったのは、デザインとの折り合いによるものだ。「モックアップで背面液晶があるものも作ってみたが、そうすると背面の革の部分が少なくなってしまう。“素材の持つやわらか感”や、“シンプルな中にきらっと光るアクセント”がポイントなので、搭載を見送った」(周防氏)
Lechiffonの原形を提案したのは、パナソニック モバイルコミュニケーションズの女性プロジェクト、通称“女子プロ”。柔らかい素材というアイデアは“現行商品のプラスチック感がイヤ”というところから生まれた。
女子プロからは、“色展開がイヤ”という意見も出たという。「通常の色展開はおおむね、女性向けと男性向けがあって、あとは店頭映えや売れ筋といった観点からもう1色が選ばれる。こうした展開は、考えようによっては“女性向けに用意されたものしか女性は選べない”ということにもなり、選択肢が少ない」(周防氏)
例えば雑貨屋「Franc franc」の小物を見ると、同じ商品でさまざまな色展開をしている。「色を選ぶ楽しさが欲しいという声が多い。Lechiffonは、同じ世界観の中で色展開させる──という狙いもあった」(同)
「できあがった製品だけを見ると分からないが、製品化までには、ものすごい紆余曲折があった」と周防氏。プロダクトデザイナーが、ファッション小物的なものをデザインするのはやはり難しかったという。「チェック柄を入れたらいいのか、モノグラムがいいのか。でもそれが可愛いかといえば、そうじゃない気がする……と、かなり苦労していた」(同)
とにかくやってみようということで、「できるできないはさておき、ありとあらゆるファッションの要素を取り込んでみた」(同)
デニムやファー、蛇革など、さまざまな素材を試して、「最後にたどり着いたのが“シンプル+テイスト”というキーワードだった。シンプルな無地の中にアクセントを入れ、その中で色展開やバリエーションを考えるのがベストなのではないかと」(同)
「着せ替えできたらいいのに」──Lechiffonを見た人からよく聞くコメントだ。
着せ替えにしなかったのは、コンセプトと技術の両面から検討した結果だという。
「コンセプト面からいえば、“お財布”というイメージからスタートしていたため」(周防氏)。財布は外装を取り替えたりしないファッション小物なので、Lechiffonも同じようにしたという。
技術面では、さまざまな技術的課題がある中で、「まずは(柔らかい素材の携帯を)実現する」ことを優先したためだ。「着せ替えは次のステップでの検討課題」(周防氏)
内部機能は「P253i」とほぼ同等のLechiffonだが、進化した部分もある。ソフトキーの操作を表す表示が透過するようになり、メニューや待ち受け画面の地の柄が透けて見えるようになった。
底面をよく見ると、うっすら三角に盛り上がった部分がある。ここを押し下げながらスライドさせると、カバーがはずれて電池パックを出し入れできる。
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