第8回 無線LAN+専用ソフトで、「YouTube」「ニコ動」の快適視聴環境を作る「WILLCOM 03」ロードテスト

» 2008年09月22日 21時01分 公開
[memn0ck,ITmedia]
photo 「WILLCOM 03」

 「WILLCOM 03」最大のウィークポイントとして、通信速度が遅い点を挙げる人も多いだろう。WILLCOM 03が内蔵するPHSモジュール「W-SIM」の通信速度は最大204kbpsと、3G通信規格よりもかなり遅い。

 PHS回線で動画共有サイトなどのリッチコンテンツを楽しむのは現実的とはいえないが、WILLCOM 03なら無線LAN(IEEE802.11b/g)機能を使って高速通信をフォローすることができる。

 今回は、無線LANを使うことでどういったことが可能になるのかを試してみた。

自宅やオフィスはもちろん、街角でも無線LANを利用しよう

 WILLCOM 03が欲しいが、PHSだから通信速度が遅いのが気になる――という声は、筆者の周りでも良く聞かれる。ウィルコムは2009年から、より高速な通信が可能な“次世代PHS”こと「WILLCOM CORE」を開始する予定だ。しかし、WILLCOM 03がどのように対応するかか現時点では不明だし、音声端末やスマートフォンでWILLCOM COREを利用できるのは、かなり先になりそうだ。

 もちろん、現行PHSを高速化する「W-OAM type G」に対応したW-SIMが登場すれば多少のスピードアップが可能になる。また、さらに高速な「W-OAM type AG 8X(仮称)」も導入されれば、PHSの通信速度が1Mbpsを超えることも期待されている。

 とはいえ、現状では最大204Kbpsで接続するしかない。Webページなら“高速化サービス”を使うことで少しは体感速度が向上するが、高速化サービスは動画などのコンテンツはほとんど効果がない。というわけで、WILLCOM 03の無線LAN機能をなるべく有効に使うのも1つの手だ。無線LANを使えば高速通信が可能になるだけでなく、パケット代の節約にもなる。

 データ通信向けの「新つなぎ放題」であればパケット通信料は完全定額制だが、多くのWILLCOM 03ユーザーは「ウィルコム定額プラン」+データ定額という上限額が設定された定額プランを選んでいるだろう。大量のパケット通信が発生する動画サイトへのアクセスであれば、無線LANを使うことでウィルコム網で発生するパケット料を抑えることができる。

 今回は、公衆無線LANサービスのBBモバイルポイントやlivedoor Wirelessなどがまとめて利用可能な、トリプレットゲートの「Wireless Gate」(ワイヤレスゲート)を使ってみた。Wireless Gateの標準料金プランは、月額基本料280円+1日299円の使用料というものだが、「ヨドバシカメラ・オリジナルプラン」を契約すると、月額固定380円で利用できる。なおウィルコムも、月額700円から1600円で「ホットスポット」を利用できる「ウィルコム無線LANオプション」を提供している。

 Wireless Gateの設定方法は、同社Webサイトの「接続方法/Windows Mobile5.0/6.0の初期設定の場合」というページを参照して欲しい。WILLCOM 03の搭載OSはWindows Mobile 6.1だが、設定方法は大きくは違わない。また、Wireless Gateには、Windows Mobile向けに専用ユーティリティが用意されているが、前モデルの「Advanced/W-ZERO3[es]」までしか対応していないので、注意が必要だ。

photophotophotophoto Wireless Gateを使って、マクドナルド店内にあるBBモバイルスポットにアクセスしているところ。専用ユーティリティは対応していないので、手動での設定となる。ESS-IDなどは事前にPCなどで会員ページから確認しておいてもいいだろう。マクドナルドは電源も使える店舗が多いので、充電しながら使える点も良い

photo WILLCOM 03で無線LANを使って回線速度計測(スピードテスト)を行っているところ。15分程度(10.2Mバイト)の動画ファイルも1分程度でダウンロードできたので、ムービーもサクサク楽しめるだろう

「Youtube」「ニコニコ動画」を快適に楽しむ

 すでに紹介している通り、WILLCOM 03に搭載されているWebブラウザ(Opera Mobile)は「YouTube」などの動画を閲覧できる。無線LANでアクセスすればPHSと違って高速に動画が読み込まれるが、WILLCOM 03のディスプレイにPC向けレイアウトのままのYouTubeを表示させると、なかなか見たい動画を選ぶことができない。

 そこで、Windows Mobile搭載端末でYouTubeとGoogleVideoを再生するためのサイト「mobatube」の利用をお勧めしたい。mobatubeを利用するには、別途無料の動画プレーヤー「TCPMP(Windows Mobile 6.1用<Willcom 03>用セット)」と、専用のYouTubeプラグインをインストールしておく必要があるが、片手操作で快適にYouTubeコンテンツを閲覧できるようになる。

 mobatubeで見たいコンテンツを選ぶと、再生方式を選ぶ画面が表示される。そこから“m3u”を選択すれば、ストリーミング再生できるし、ダウンロードを選択すればFLV動画をFlashファイルをダウンロード保存できる。ダウンロードする場合は、拡張子を付けたり、ファイル名を変更しておくと、後々便利だ。

 mobatubeはまれに、YouTube側の仕様変更によってうまく検索できないこともあるが、遊びで閲覧するくらいなら十分に使えるだろう。

photophotophotophoto mobatubeで動画を検索し、TCPMPにて再生しているところ。TCPMPの後継ソフトである有料アプリケーション「CorePlayer」は、単独でYouTube内の検索とストリーミング再生が行える

 また、もう1つのメジャー動画投稿サイト「ニコニコ動画」は、WILLCOM 03のWebブラウザではうまく再生できない。そこで、ニコニコ動画内を検索して動画をダウンロードする「ニコナビ for WM」と、専用プレーヤー「NicoFlvPlayer」をインストールすれば、VP6形式のムービーを再生できる。この2つは、前回紹介した「Giraffe」からも導入可能だ。

 アプリケーションをいくつかインストールするのは面倒ではあるが、1度導入してしまえば、WILLCOM 03でYouTubeやニコニコ動画を利用できるのはなかなか便利だ。ファストフード店やカフェチェーンで空き時間をつぶすとき、あるいは自宅で寝っ転がっているときなど、無線LANを使った快適な動画コンテンツ視聴を楽しんでいただきたい。

photophotophotophoto ニコナビ for WMを使ってニコニコ動画から動画を検索、ダウンロードしてNicoFlvPlayerで再生しているところ。NicoFlvPlayerで閲覧するには、ニコナビ for WMの設定で「プレイヤーパス」をNicoFlvPlayerのものにしなければならない。また、NicoFlvPlayerは、Windows Mobile 6.1に導入されたFlash Lite 3の機能を使っているため、残念ながらH.264形式のものは再生できないようだ

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