富士通は28日、携帯電話のデザイン強化策の一環として、コンテスト形式で一般から携帯電話のデザインを募る「FUJITSU モバイルフォンデザインアワード2009」を開催すると発表した。
ケータイデザインのニーズが多様化する中、携帯電話デザインをストック化することを目的として開催するもので、国内外のデザイナーと強いつながりを持つNPO法人「DESIGN ASSOCIATION」とのコラボレーションで運営する。
発表会に登壇した富士通モバイルフォン事業本部長の佐相秀幸氏は「日本の携帯電話はガラパゴスと揶揄されているようだが、それは日本の携帯電話が(世界の携帯電話と比べて)2年、3年先を行っていることの裏返しではないか。日本の携帯電話は技術、サービス、デザインで世界に誇れるものであり、さらに大きな産業に育てていきたい」と話し、成長に向けたキーワードとして「ブロ−ドバンドリーダー」「ケータイテクノロジーリーダー」「デザイントレンドリーダー」という3つを提示。先進的な無線/データ処理技術やユニバーサルデザインに加え、デザイン面でも“アプライアンスとしての競争力強化”を目指すとした。
具体的には、異文化デザイナーや海外デザインファームとのコラボレーションを強化するほか、社外からも広くデザインを募集する考え。コンテストはその施策として企画されたという。
続いて登場した富士通デザイン代表取締役社長の加藤公敬氏は、“デザインのトレンドリーダー”というキーワードについて、さらに詳しく解説。最新技術を投入した端末開発、トレンドやユーザー嗜好の調査分析に基づいた商品開発、デザイン業界のリーダーとのコラボレーションの推進で、“富士通らしさ”を感じさせるケータイを開発するとした。
そして顧客層を(1)新たなサービスやユーザーインタフェースを重視する「最先端志向のお客様」(2)価値観やトレンドを重視する「ライフスタイル重視のお客様」(3)ユニバーサルデザインに象徴される健康・安全面を重視する「使いやすさ重視のお客様」 の3つに分け、それぞれのターゲットに最適な端末を投入する考えだ。
アワード開催の目的については、デザイン開発力を強化し、質の高いデザインをストック化することのほかにも、富士通ブランドのイメージ向上や有望なデザイナーの発掘、デザイナー同士のネットワーク構築といったことも重視しているという。
「FUJITSU モバイルフォンデザインアワード2009」の概要
FUJITSU モバイルフォンデザインアワード2009は、デザインコンテストとクリエイターコラボ企画「プロジェクトF」の2部門で構成される。一般に公募されるデザインコンテストでは募集内容を「富士通携帯電話のデザイン」とし、実際に2011年の製品化を前提とした「リアル部門」と未来の携帯電話をテーマとした「ドリーム部門」でデザインを募集する。募集対象はプロ・アマ・学生を問わず、エントリー要項を満たしていれば誰でも応募が可能。グランプリ作品には賞金200万円、準グランプリには50万円、審査員特別賞には10万円を授与する。
審査委員としてプロダクトデザイナーの喜多俊之氏、グラフィックデザイナーの水野学氏、日経デザイン編集長の下川一哉氏、DESIGN ASSOCIATION代表の浅葉克己氏が参加。ポスター制作にはコピーライターの眞木準氏と水野学氏を起用した。
クリエイターコラボ企画「プロジェクトF」はDESIGN ASSOCIATIONが全面的に協力し、同法人が持つデザインネットワークを利用した運営が行われる。プロダクトではインダストリアルデザイナーの山中俊治氏を、コンテンツではITアーティストの猪子寿之氏を起用し、コンセプト担当を加えて携帯電話の新たなデザインの可能性を探るとしている。
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