富士通は5月25日、同社製のNTTドコモ2009年夏モデル「F-09A」「F-08A」に関する商品説明会を開催し、製品の特徴や新CMの公開、今後の携帯電話事業の展開について説明が行われた。
ハイスペックな機能を持つPRIMEシリーズのF-09Aは、タッチパネルで操作が可能なフルワイドVGA(480×960ピクセル)表示の3.4インチディスプレイを搭載したモデル。コンシューマ向けでは「F906i」以来となる“ヨコモーション”を採用した。
STYLEシリーズのF-08Aは、携帯電話では世界初となるIPX8準拠の防水性能を装備した折りたたみ端末。これまでの防水ケータイはIPX5/IPX7準拠であり、最低3分間あらゆる方向から水流を当てても電話として機能することに加え、水深1メートルに約30分間沈められても電話として機能することが求められた。IPX8はさらにレベルが上がり、水深1.5メートルに約30分間放置しても正常に使え、また水中でもカメラ撮影が行えることを意味している。さらに、身体活動量を感知する活動量計や、脈拍を簡単に計測できる「パルスチェッカー」などの機能を搭載し、ケータイで健康をサポートするという。
出荷台数が軒並み前年度割れを記録した2008年度の携帯電話市場。2009年度も依然消費の冷え込みが続き、ケータイ市場は低迷するという厳しい見方が多い。しかし、富士通 モバイルフォン事業本部長 経営執行役の佐相秀幸氏は説明会の冒頭で、「本年度は最低でも昨年と同じ460万台を目標としていきたい」と、強気の意気込みを表明した。
「“市場が低迷している”といっても、携帯電話の市場規模は4000万台(1.6兆円)規模。PC市場の1.6兆円や液晶テレビ市場の1.2兆円、白物家電市場の2兆円と比較しても、決して下を向くような規模ではない。弊社もこれまで以上に頑張っていきたい」(佐相氏)
その富士通がケータイ開発のポイントとして重視するのが、「ブロードバンドリーダー」「デザイントレンドリーダー」「ユニバーサルデザイン/安心・安全・健康」という3つの考えだ。
ブロードバンドリーダーとはインターネット機能の充実であり、基地局やインフラ設備も手がける富士通にとって、もっとも得意とする分野といえる。また“携帯電話の基本機能”というユニバーサルデザインは、同社が長年手がける「らくらくフォン」シリーズのノウハウを標準的な端末にも流用するほか、健康をテーマにした機能やアプリを追加することで他メーカーとの差別化を図るという。
最後のデザインに関してはドコモの2008年冬モデルからてこ入れを行っており、佐相氏もかなりの手応えを感じているようだ。
「デザインに関して以前は、『富士通は機能はいいんだけどデザインが……』と指摘されることが多かったが、最近はそうした意見がかなり払拭されてきたと思う。今後もユーザーが手にしたくなるようなケータイを目指して、デザインに力を入れていく」(佐相氏)
これらのポイントに加えて、F-09Aには「ハイスペック×スライドヨコモーション」、F-08Aには「極上・ビューティーウォータープルーフ+erikonailコラボ」というキャッチフレーズが設定された。商品の訴求力を高めるためか、いずれも「(ユーザーが)5秒で分かることを念頭に置いた」(佐相氏)という。
高機能さや製品が持つ付加価値を短く表現するキャッチフレーズと対象に、1台の端末で使われるソフトウェアはどんどん複雑化している。佐相氏は「現在の携帯電話で使われているソフトウェアのソースコードは、だいたい700万行くらい。これは従来のコンピュータシステムよりも多い」と、ソフトウェア開発の苦労をにじませた。
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