auの拡張現実はカメラと3Dの“2刀流” Twitterにも対応CEATEC JAPAN 2009

» 2009年10月06日 18時53分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 実空間透視ケータイ

 10月6日に開幕した「CEATEC JAPAN 2009」でKDDIは、拡張現実(AR)サービス「実空間透視ケータイ」の展示を行っている。同サービスはすでにauのβ版サービス提供サイト「au one ラボ」でアプリが無償提供されており、7月のワイヤレスジャパン2009でも紹介されているが、今回はカメラ映像やTwitterを利用する新機能を実装したアプリが参考展示されている。


遠くは3Dマップ、近くはカメラ映像で――

 実空間透視ケータイは、GPSや6軸センサーでユーザーの位置や端末の向きを特定し、ケータイをかざした先にある飲食店の情報や投稿写真などを画面に表示するサービス。頓智・の「セカイカメラ」やNTTドコモの「直感検索・ナビ」などのARサービスが、端末のカメラ映像に情報をオーバーレイするのに対し、実空間透視ケータイでは処理負担の少ない3Dマップ上に情報を表示し、軽快な動きを実現していた。

 今回のデモでは、他社のサービスと同じくカメラ映像を使ったARを、実空間透視ケータイの写真共有アプリ「地球アルバム」で実現。3Dマップとの“使い分け”を提案していた。

photophoto 近距離の情報は、カメラ映像に情報を重ねて表示(写真=左)。遠くの情報は従来と同様に3Dマップで提供する(写真=右)

 実空間透視ケータイは数キロ先の情報もズームして見られるが、こうした遠距離、中距離の情報は、現在地からの距離が分かりやすい3Dマップで表示される。一方、近距離(デモ版は半径20メートル)の情報を見る場合は、カメラ映像に切り替わる。カメラ映像の画面では、遠くの情報は白い空白のタグとして表示され、近くの情報だけが画像入りのタグとして表示される。

 現状では画面がカメラ映像に切り替わると3Dマップ画面に比べて描写の軽快さは落ちるが、将来的には同等の描写スピードを実現できるという。また、カメラ映像に対応したことで、以前より「バッテリーの消費は大きくなった」(KDDI研究所 特別研究員 小林亜令氏)ようで、こうした点の改善も今後の課題となるだろう。

Twitterのつぶやきをタグとして表示

 また、地球アルバムにはもうひとつの新機能としてTwitterとの連動機能も用意された。ユーザーが写真とともに投稿したコメントを、Twitterにも同時に反映できる。さらに、スマートフォンなどを通じて位置情報とともに投稿されたTwitterの“つぶやき”を、ARの情報として画面に表示することも可能だ。

photophoto 画面をTwitterモードに切り替えると、つぶやきがタグとして表示される。タグを選択して開いてみるまで内容が分からないのは、今後の課題だろう

 3Dマップ上でTwitterのタグを選択した場合は、その周辺区域のつぶやきが一覧で表示される。またカメラ映像の画面では個々のつぶやきがタグとして浮遊し、それぞれのつぶやきを選択して見ることができる。

 地球アルバムを通じてコメントを投稿した場合は、端末の上下の向きといった情報も取り込んで、タグの表示場所が細かく設定できる。Twitterクライアントを通じて投稿したつぶやきは6軸センサーの情報がないため、水平線上に表示されるという。写真アプリに搭載した機能のため、あくまで「写真と一緒に投稿することが前提」だが、もちろんTwitterのつぶやきだけを投稿することも技術的に可能だ。

ARならではの広告も考案

 旅行クチコミサイト「フォートラベル」と連携したアプリ「トラベルビューアー」には、“位置情報とリンクしたバナー広告”という新機能が搭載された。画面の上部に表示されたバナー広告は、ユーザーの位置やケータイをかざす方向などに連動して内容が変わる。広告主が“場所”に対して広告を打ち、その場所の近くにいたり、ズーム機能を使ってその場所の情報を見ようとしているユーザーに、広告を配信できる仕組みになっている。「ユーザーの状況に関連する情報を提供する、“アドプレゼンス”という発想で、広告枠を設けたい」(小林氏)

photophoto 端末の向きを変えたり、ズームして遠くの情報を見ると、それに併せて画面上部のバナーが変化する。タグを選択すると、「CM」の選択肢が現れ、表示されていたバナー広告のリンク先に遷移する

 β版の実空間透視ケータイは12月に提供を一端終了するが、「トラベルビューアー」は本格的な実用化を予定する。また、9月に実施した東京大学での実証実験のフィードバックも取り入れながら、サービスの拡充を図っていく。ワイヤレスジャパンで語られた、6軸センサーを使わずに端末の向きを特定する技術は今回は展示されなかったものの、開発は進んでいるという。具体的には、「KDDIのブースで展示している“直感コントローラ2”と同様に、画像認識によって端末の向きを検出する技術」(小林氏)とのことで、今後の展示会なので公開されると見てよさそうだ。

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