動き始めたケータイ規制、果たして?小寺信良の現象試考(2/3 ページ)

» 2009年12月07日 08時20分 公開
[小寺信良,ITmedia]

よく研究されている東京都の答申、しかし……

 これに対して、東京都が12月10日までパブコメを募集している「第28期東京都青少年問題協議会答申素案」のネット・ケータイに関する健全育成方針は、よく調査してある。インターネットの光の部分も認識しているし、通信事業者の取り組みに対しても一定の評価を与えている点で、バランスが取れている。

 その中では、現在とられている施策の問題点も、指摘している。例えば携帯の学校持ち込みを禁止すると、それに安心した保護者が家庭内ルールやモラル教育を怠る可能性があること、逆に携帯を持たせたことで防犯効果を期待しすぎると、子どもを見守る事への努力が手薄になる懸念などが指摘されており、他方面からのヒアリングの成果が出ているようだ。

 ただ、子どもの情報リテラシー教育に関して都が具体的な基準を定めるといった方針が示されている点は、あまり賛成できない。なぜならば、情報リテラシー教材を作っている民間企業や団体よりも、東京都のほうが知見に優れているとは思えないからである。例えばMIAU(インターネットユーザー協会)でも情報リテラシー教材を作成して配布しているが、こういうものも東京都が「気に入らぬ」と判断すれば学校で採用できなくなるのは、問題ではないのか。基本的にどんな教材を用いて教育を行なうかは、学校や保護者の裁量に任せられるべきである。

 実際になんらかの基準で教材を縛るということは、作られる教材が画一化されていくため、公平性や方針の多様性といった部分が抜け落ちてしまう。多様性を許容する社会において、特にそれを支えているネットに対して単一の方針の教育が行なわれることに、一抹の不安を覚える。

 またネットで起こりうる問題は、次々にめまぐるしく変化するものである。それに対応したフットワークの良い教材提供が求めらている時代に、東京都の基準が素早く対応できるとは思えない。大抵こういうガイドラインは作って放置なので、1〜2年も経たないうちに形骸化し、現場のニーズからかけ離れていくだろう。

 若干今後の方針が規制に寄りすぎた点はあるものの、東京都のネット・ケータイに関する問題認識は、レベルが高い。しかし、児童ポルノ関係では、かなり厳しい施策を行なおうとしている。児童ポルノの単純所持規制を推進する方向性を打ち出し、さらに「ジュニアアイドル誌」、「ラブ・コミック」の存在にメスを入れるなど、かなり具体的だ。また児童ポルノ認定とまでは行かないまでも、二次元の表現物も不健全図書の指定とするなど、「コミケ」やアキハバラなどの同人専門店なども、今後は存続が厳しくなることが予想される。

 児童ポルノ関連は、規制に反対するとオマエが困るからだろうと見られるため、青年男性は非常に反論しにくいという欠点を持っている。もちろん誰かが正論を言わなければならないのも事実なのだが、こういう事案があると反対運動をやってくれと匿名・捨てアドで連絡してくる人も多い。あのね、弾を撃つなら基本、自分でお願いしますね。

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