「N-02B」が1000分の1秒単位で切り詰め追い求めた“瞬撮”の快感開発者に聞く「N-02B」(1/3 ページ)

» 2010年01月07日 11時00分 公開
[園部修,ITmedia]

 NECが開発した、NTTドコモ向けの2009年冬モデル「N-02B」は、その高速で快適なカメラ機能に特長があり「瞬撮」ケータイという愛称を持つ。カメラの起動が約0.8秒、クイックショット時の撮影間隔が約1.5秒という、1220万画素カメラを搭載した携帯電話としては世界最速クラスの起動時間と撮影間隔を実現した端末だ。

 2009年冬モデルは、ケータイカメラの高画素化競争に拍車がかかり、各社から1200万画素を超えるセンサーを搭載したモデルが登場した。そんな中、NECは「写真を撮る快感」を追求し、徹底的に処理速度を高速化して、他社との差別化を図った。

PhotoPhotoPhoto N-02Bのボディカラーは3色。左からCYBER BLACK、LASER WHITE、FLASH SILVER

 N-02Bのカメラがここまで高速化できたのには、どんなカラクリがあったのか――。開発に関わったNEC モバイルターミナル開発事業部 商品企画マネージャーの有満一裕氏、モバイルターミナルプラットフォーム開発本部 技術マネージャーの加藤聰氏、モバイルターミナル開発事業部 主任の細川知志氏、モバイルターミナル事業部の馬場治氏に聞いた。

Photo 前列左から細川知志氏、加藤聰氏、後列左から馬場治氏、有満一裕氏

世界最速を目指したカメラ機能

 カメラ周りのソフトウェア開発を担当した細川氏が、N-02Bの開発に取りかかるに当たってまず考えたのは、「いかに処理を高速化し、ストレスなく撮りたい瞬間に写真が撮れるか」という点だった。それには高速化がどうしても必要になる。

Photo 1000分の1秒単位で処理を高速化し、1.5秒間隔の撮影を実現した細川氏

 「N-06Aではカメラの画素数は810万画素でしたが、N-02Bでは1220万画素になります。810万から1220万となると、単純計算で画像のサイズは1.5倍になります。ですから今までと同じ方法で処理をすると、どうしても処理時間は長くなります。でもお客様にはそういう理屈は通用しません。“高機能化したから遅くなりました”は許されないのです。そこで、さまざまな処理時間を徹底的に短くしました」(細川氏)

 カメラで写真を撮り、必要な処理を加えて保存するまでには、さまざまな工程を経ている。大まかに分けると、以下のような流れになる。

  • 撮影 → データ生成 → 画像処理 → 保存 → 復帰

 細川氏はこのすべてのプロセスにおいて、必要な処理を厳選し、順序を組み替え、可能な限りの時間の短縮を図った。手ブレ補正を行わない、高画質化技術「PictMagic」をオフにする、などいくつかの処理も省略した。しかし、それでもまだ全体で4秒程度までしか短縮できなかったという。

 そこで取り組んだのが処理のパイプライン化である。N-02Bの画像処理は、3段のパイプライン構造を採用しており、撮影、データ生成と一部の画像処理、そして復帰の処理を1段目のパイプラインで行い、画像処理の大部分と保存をそれぞれ2段目と3段目のパイプラインで実行する構成にした。これにより、それぞれの処理を1.5秒ずつで実現できるようにした。こうすることで、1.5秒後には次の写真を撮る準備が完了する。

PhotoPhoto クイックショットがどのようにして処理を短縮しているかを模式化したもの。NECの資料を基にITmedia +D Mobileで作図

 「チューニングは1000分の1秒単位で行っています。連続で撮影していくと、3つのパイプラインで処理が同時に動くことになるので、あるところで実行している処理が少しでも遅くなると、ほかの処理に影響が及ぶ可能性があります。そうしたことが起こらないように調整するのが技術的にはとても難しかったですね。でもやりがいはありました」(細川氏)

 1220万画素のカメラで、1.5秒間隔の撮影を実現したN-02Bは、おそらく世界最速レベルの速さを持つ。N-06A相当の8Mモードなら1.2秒間隔、もっとも小さなQCIF(176×144ピクセル)サイズなら、0.33秒間隔で撮影できる。この小気味よいリズムが、撮影をさらに楽しくしてくれる。

 また、素早い撮影間隔を実現するだけでなく、ユーザーの使い勝手を阻害しないインタフェースにも注意を払った。N-02Bでは、写真を撮ると子画面で保存中の写真を表示しつつ、メイン画面では次のフレーミングができるようなUIを採用している。1.5秒間隔で快適に撮影するためには、プレビューが長いとフレーミングの妨げになる。かといって、撮った写真がちゃんと写っているかどうかを一切表示しないのも使い勝手がよくない。そこで考案されたのが、子画面でのプレビューなのだ。このプレビュー画面がすーっと消えるタイミングが、2段目と3段目のパイプラインの処理が終わった目安。使いやすさとスピード感を両立させたうまい処理だ。

 「他社の端末では、連写機能を強化して、撮りたいタイミングを失敗なく切り出すというアプローチを採っているものもあります。でもN-02Bは、1220万画素を生かして、写真を撮りたいタイミングにいかに合わせるかをコンセプトに開発しました。携帯電話で写真を撮るシーンというのは、カメラをゆっくり構えてフレーミングする余裕がないことが多いと思います。ですから、とっさのシャッターチャンスにさっと写真を撮れることが大事だと考えました。N-02Bなら、カメラを約0.8秒で起動でき、クイックショットモードなら約1.5秒間隔で撮影できます。シャッターチャンスに強いカメラが作れたと思います」(細川氏)

 クイックショットモードにしておけば、N-02Bはまさに瞬撮カメラとして大活躍する。画像の保存先がmicroSDでも、1.5秒間隔での撮影が可能で、その気になればメモリいっぱいまで1.5秒間隔で写真を撮り続けられるという。

 ちなみにクイックショットモードでは、シャッターの長押しで連続撮影するのではなく、その都度シャッターを押すようにしている。クイックショットが連写とは異なるゆえんだ。限りなく1.5秒に近い短い間隔で撮影したい場合は、シャッターキーではなく、タッチパネルの「撮影」ボタンを押した方が素早く撮れるそうなので覚えておきたい。

 もちろんN-02Bは連写モードや120fpsで動画を撮影するモードも備えているので、こうしたユニークな撮影モードもシーンに合わせて活用したい。

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