“複数台持ち”のための、「iPad mini」「第4世代iPad」Wi-Fi+Cellularモデルの利用料金まとめWi-Fiルータとしても使用OK+“基本料金0円/月”も可能……だが

» 2012年11月30日 17時49分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo iPad mini

 アップル「iPad mini」「iPad Retina ディスプレイモデル」Wi-Fi+Cellularモデルの販売が2012年11月30日に始まった。こちらは11月2日に発売された同機種のWi-Fiモデルに加え、携帯電話通信事業者のLTEデータ通信モジュールも内蔵し、原則として通信事業者と契約して使用するモデルとなる。

 料金プランおよび販売価格は上記記事を参照いただくとして、改めて通信事業者版(au/ソフトバンク版)iPadの付加機能・特長をおさらいしよう。

 ポイントは、

  • LTE/3Gのテザリング利用が可能
  • 現スマートフォンと複数台持ちで使う場合、基本使用料0円から利用できる

 の2点。

 1つめの「テザリング利用」は、1つの機器内蔵回線を複数のWi-Fi(無線LAN)対応機器でも共有できる、いわゆるポータブルWi-Fiルータ代わりになる機能。下り最大75MbpsのLTE(au 4G LTE)および3G(WIN HIGH SPEED)でのデータ通信が可能はau版iPadは、iPhone 5などと同様にこのテザリング機能を当初より利用可能とした。利用プランとして525円/月の「テザリングオプション」を設けるが、キャンペーンにより2012年12月31日までの加入で24カ月間、そのオプション料金は無料になる。

 ソフトバンク版iPadも、2012年12月上旬開始予定で対応する。iPhone 5の同機能は2012年12月15日開始と決まったが、iPadは現時点ではあくまで12月上旬開始予定という記述にとどまっている。ともあれ、同日に一緒に開始になると思われる。料金や条件はauとほぼ横並びで、2012年12月31日までの申し込みで契約より2年間は0円(通常、および3年目以降は525円/月)となる。

 こちら、スマートフォン比でバッテリー容量の多いタブレットのテザリング機能を利用することで、メインのポータブルWi-Fiルータとして活用できること、また、モバイルデータ通信を1つにまとめられることで総じて携帯時の荷物を削減できることなどがメリットになる。


  au「スマホセット割」適用時の利用料金例 ソフトバンク「スマホまとめて割」適用時の利用料金例
  LTE ダブル定額 for Tab/Tab(i) LTE フラット for Tab/Tab(i)+誰でも割シングル (iPad専用)ゼロから定額プランfor 4G LTE (iPad専用)ベーシックデータ定額プラン for 4G LTE
基本使用料(契約から2年まで) 0円〜4980円/月(2012年12月31日まで実施の「基本料割引キャンペーン(割引額:525円/月)」適用時) 4480円/月(2012年12月31日まで実施の「基本料割引キャンペーン(割引額:525円/月)」適用時) 0円〜4935円/月(申込受付期間は2013年1月31日まで) 4410円/月(申込受付期間は2013年1月31日まで)
インターネット利用料 0円〜315円/月 315円/月 0円〜315円/月 315円/月
公衆無線LANサービス使用料 490円/月(au Wi-Fi SPOT) 無料(au Wi-Fi SPOT) 490円/月(ソフトバンクWi-Fiスポット) 無料(ソフトバンクWi-Fiスポット)
合計 490円〜5785円/月 4795円/月 490円〜5235円/月 4725円/月
その他項目
契約期間 2年間(自動更新) 2年間(自動更新) 2年間(自動更新) 2年間(自動更新)
パケット単価 0.42円/1Kバイト 0.0525円/1パケット(0.42円/1Kバイト)
3年目以降の基本使用料 1015円〜6310円/月(25カ月目以降) 5325円/月(25カ月目以降) 525円〜5460円(26カ月目以降) 4935円/月(26カ月目以降)
更新月以外での契約解除料 9975円 9975円 9975円 9975円
テザリング 対応:0円(通常525円/月 2012年12月31日までの申し込みで最大24カ月間無料) 対応:0円(通常525円/月 2012年12月31日までの申し込みで最大24カ月間無料) 2012年12月上旬開始予定:0円(2012年12月31日までの申し込みで契約より2年間無料、3年目以降525円/月) 2012年12月上旬開始予定:0円(2012年12月31日までの申し込みで契約より2年間無料、3年目以降525円/月)
基本料金内の最大データ通信量 7Gバイト 7Gバイト 7Gバイト 7Gバイト
 制限時速度 128kbps 128kbps 128kbps 128kbps
 速度制限解除料 2625円/2Gバイト(エクストラオプション) 2625円/2Gバイト(エクストラオプション) 2625円/2Gバイト 2625円/2Gバイト

 2つめはセット導入時の金銭面負担を軽減できる施策だ。auは「ゼロスタート定額キャンペーン」で、ソフトバンクは「(iPad専用)ゼロから定額プラン for 4G LTE」によりタブレット分の基本使用料を0円/月から(実質490円/月〜)利用できるようにする。

 auは、au版iPhoneおよびスマートフォン利用者が同iPadシリーズを追加導入する場合、LTE ダブル定額 for Tab/Tab(i)のプランとスマホセット割(割引額:980円/月 auスマートフォンをLTEフラット/ISフラット/プランF(IS)シンプルのいずれかですでに契約中の場合)にて適用可能。ソフトバンクは、ソフトバンク契約のiPhoneやスマートフォン・3G携帯電話利用者が、同一名義かつ同一請求先で新規追加あるいは機種変更で購入する場合に適用できる。

 国内データ通信料金は上限を設けた2段階定額制で、基本通信料金はauが0円〜4980円。上限までの従量課金は1Kバイトあたり0.42円(2013年12月利用分まで500Kバイト相当/210円分の無料通信を付与)、ソフトバンクは0円〜4935円となる。それぞれ、LTE/3Gでのデータ通信がなかった場合はインターネット利用料の315円/月は発生しない(0円/月)。

 実質490円/月〜となるのは、どちらも公衆無線LANサービスの月額使用料(auはau Wi-Fi SPOT、ソフトバンクはソフトバンクWi-Fiスポット)の490円/月は最低限発生し、こちらは毎月割などの対象にもならないためだ。

 同じ事業者のiPhoneユーザーや別途ポータブルWi-Fiルータを所持する層においては公衆無線LANサービスの分も不要としてほしいところだが、一切LTE/3Gでのデータ通信を行わない使い方(Wi-Fiのみで使う)であれば利用料を安価に抑えられる。「それなら」とタブレットの導入・普及推進をより加速してくれそうである点は喜ばしい(もちろん……それならWi-Fi版でよいともいえるが)。

 一応注意点としては、上限に達するまでのパケット通信料金はかなり高額なこと。auの場合、1Kバイトあたり0.42円なので、12Mバイトほどの通信で上限額に達する。ソフトバンクも1パケットあたり0.0525円とのことで、パケット単価は同じ。こちらはアプリのダウンロード1つでそのくらい行くこともあるし、Webサイトを数ページ見ただけで上限に達すると考えると正直シブい。auは2013年12月利用分まで500Kバイト相当の無料通信分が付与されるが、こちらは利用可能な量が増えるというより、意図せず使ってしまった場合の保険代わりにとして活用するイメージだろう。

 最後に、上記でポイントとして挙げた1と2は共用できない。ルータ代わりにもなる点とともにフラットプランで使うか、iPadではLTE/3Gデータ通信はしないと決めて基本使用料0円からのプランを使うか、使い方に応じてどちらかを選択することになる。



 Wi-Fi+Cellularモデルは、外出先でも単体で自由に使えること、同一キャリアでの契約であればiPhone 5やLTEスマートフォンとの複数台持ちでもほどほど安価に運用できること、通信事業者が実施する割賦販売・割引制度により機器導入時の初期費を低く抑えられること、あとはWi-FiモデルにはないGPSが内蔵されていることなどがメリットだ。プライベートはもちろん、業務で使いたいビジネスコンシューマー層にも向くだろう。

 逆に、すでにモバイルデータ通信手段がある(テザリング+iPhone 5やポータブルWi-Fiルータなど)のであれば、Wi-Fiモデルでいいかな──とする選択肢もある。複数台持ちに向けた料金プランは、正直、別途機器代金も必要であることと2年縛りなどを考慮すると、超お得だ! と……手放しで喜べるものではない。

 ともあれiPad miniか第4世代iPadのどちらか、さらにWi-Fi+CellularモデルかWi-Fiモデルのどちらか、そしてauかソフトバンクのどちらか──。購入検討者としてはちょっと悩ましい選択肢である。


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