待望の“万能タイプ”――モバイルWi-Fiルーター「L-03E」徹底レビュー(3/3 ページ)

» 2013年03月07日 09時30分 公開
[島田純,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

スピードテスト:BF-01D、L-04Dと比較

 実際の通信速度はどのくらいか。ドコモのXi対応モバイルWi-Fiルーター3機種(L-03E、BF-01D、L-04D)でスピードテストを実施した。2月15日の14時〜14時40分に自宅(東京都新宿区)にて、「Speedtest.net」アプリの東京サーバを使って通信速度を測定した。計測にはMacBook Air 2012年モデル(Core i7)を使用。

 下り通信速度の結果は以下のとおり。

  • 1位.L-03E (平均 12.05Mbps)
  • 2位.BF-01D (平均 11.68Mbps)
  • 3位.L-04D (平均 9.68Mbps)

 L-03EとBF-01Dはほぼ変わらなかったものの、L-04Dと比べると下り通信速度が改善されている。

photo 下り通信速度

 上り通信速度の結果は以下のとおり。

  • 1位.L-03E (平均 0.99Mbps)
  • 2位.BF-01D (平均 0.32Mbps)
  • 3位.L-04D (平均 0.31Mbps)

 L-03Eがほかの2機種を大きく引き離す結果となった。

photo 上り通信速度

 上りの通信速度がほかの2機種と大きく違うことを不思議に思って、あらためて確認してみたところ、測定を行ったポイントは、Xiの下り最大100Mbpsサービスでも使われている周波数(1.5GHz帯)の電波を微弱ながら拾っている可能性がある。そこで、2月15日17時40分〜18時に、ビックカメラ新宿東口店前でも計測してみた。こちらもMacBook Air 2012年モデル(Core i7)を使用した。

 下り通信速度の平均値は以下のとおり。

  • 1位.L-03E (平均 20.34Mbps)
  • 2位.L-04D (平均 16.27Mbps)
  • 3位.BF-01D (平均 15.93Mbps)

 先ほどのスピードテストと同じく、L-03Eがトップとなった。

photo 下り通信速度

 上り通信速度の平均値は以下のとおり。

  • 1位.BF-01D (平均 15.93Mbps)
  • 2位.L-04D (平均 11.35Mbps)
  • 3位.L-03E (平均 5.91Mbps)

 こちらは、L-03Eがほかの2機種に比べて奮わない結果となった。

photo 上り通信速度

 スピードテストの結果だけでなく、実際に利用している中でもL-03Eは通信速度が出ていないと感じることがあった。上り通信速度が奮わない(場合がある)原因は不明だが、ソフトウェアのアップデートなどで改善するのであれば、今後の改善に期待したい。

計測データ(自宅)
L-03E BF-01D L-04D
回数 Ping(ms) 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps) Ping(ms) 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps) Ping(ms) 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps)
1 71 12.82 0.92 60 11.59 0.34 53 8.95 0.29
2 90 12.03 0.67 60 11.59 0.25 59 9.42 0.30
3 55 11.69 1.02 73 10.08 0.35 53 10.73 0.35
4 67 11.49 1.07 67 13.57 0.33 54 8.99 0.28
5 96 12.21 1.28 59 11.55 0.32 78 10.31 0.34
最高速 55 12.82 1.28 59 13.57 0.35 53 10.73 0.35
最低速 96 11.49 0.67 73 10.08 0.25 78 8.95 0.28
平均値 75.8 12.05 0.99 63.8 11.68 0.32 59.4 9.68 0.31

計測データ(ビックカメラ新宿東口店前)
L-03E BF-01D L-04D
回数 Ping(ms) 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps) Ping(ms) 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps) Ping(ms) 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps)
1 91 21.86 6.28 111 15.67 12.67 73 10.76 9.91
2 123 23.17 9.60 87 14.00 15.16 91 15.12 14.69
3 90 20.66 6.31 107 14.81 13.27 73 20.38 12.36
4 104 16.18 3.63 106 21.03 14.30 78 19.54 10.23
5 86 19.84 3.74 97 14.16 12.28 96 13.15 9.74
最高速 86 23.17 9.6 87 21.03 15.16 73 20.38 14.69
最低速 123 16.18 3.63 111 14 12.28 96 10.76 9.74
平均値 98.8 20.34 5.91 101.6 15.93 13.54 82.2 15.79 11.39

まとめ:「万能タイプ」ルーターだが、通信速度は改善を望む

 LTE対応のモバイルWi-Fiルーター最長の連続通信時間、公衆無線LAN/USB接続/下り最大100Mbpsへの対応などを果たしながら、極端にサイズや重さが増していないL-03Eは、まさにXiユーザー待望の端末だ。モバイルWi-Fiルーターを利用する万人にお勧めできる「万能タイプ」の製品と言える。

 一方で、前述のようにdocomo Wi-Fiの自動ログインやクレードル接続に対応していない点、上りの通信速度が遅いなどの不満もある。また、スマートフォンから通信状況を確認できるアプリなどが提供されていないのは、従来からLG製のモバイルWi-Fiルーターの課題と思う。新搭載されたジョグキーが慣れるまで使いにくい点も、今後の製品で改善を望みたいポイントだ。

 ネットワークについてはL-03Eに限った話ではないが、Xiの利用者数の急増に伴い、都内などのネットワーク混雑地域ではXiの通信速度の低下を感じずにはいられない。ドコモは都内でのXi通信速度の改善策として、従来は基本的に下り最大37.5MbpsだったXiのエリアを、順次下り最大75Mbps対応することを発表している。実際に下り最大75Mbpsのエリアが広がっていることは調査によって確認できているものの、それでも通信速度は他社のLTEサービスと比べて苦しいと感じることが多い。

 下り最大100Mpbsのサービスの対応エリアも拡大しているが、利用する周波数の都合上、東名阪でのサービス開始は2014年春以降の予定なので、L-03Eが100Mbps対応であっても、残念ながら東京都内では高速化は体感できない。

 せっかく完成度の高いL-03Eが登場したにも関わらず、ネットワーク側が混雑していて快適に通信サービスを利用できないのは、非常にもったいなく感じる。Xi契約数は1000万件を突破し、国内では最も多くのユーザを抱えているため、他社と比べて混雑しやすい。これは理解できるが、モバイル通信サービスは端末とネットワークの両方がそろって初めて快適に利用できるようになるので、通信速度がさらに改善されることを期待したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年