KDDIは3月8日、首都圏直下型地震など大規模災害を想定した復旧模擬訓練を実施した。KDDIの車載型基地局や可搬型基地局、電源車などが参加し、被災した基地局の状況を確認するため復旧要員がヘリコプターで駆けつける様子や、高速道路に埋設されている基幹伝送路(光ファイバー)の復旧訓練も公開された。
訓練は、災害によって広範囲で携帯電話による通信ができなくなり、KDDIが政府や東京都など自治体から通信確保要請を受けた――という状況のもとで進行。復旧ポイントと設定された3箇所(東京臨海広域防災公園、練馬区役所、品川区役所)に駆けつけたKDDIのスタッフはまず、衛星通信が設置できるかを判断していた。これは、車載型基地局や可搬型基地局などの臨時基地局は、応急的な伝送路として衛星通信を使っており、基地局を設置する場所は衛星と通信できるよう、空が見渡せる必要があるためだ。
また機動力のある車載型基地局を有効に使うため、通信の本格復旧に時間がかかると判断して可搬型基地局へバトンタッチする訓練や、復旧が長時間に渡るために車載型基地局へ電源車から電源を供給する訓練も行われた。
これらのKDDIが所有する車載型基地局や可搬型基地局はすべて4G LTEに対応しているが、伝送路に衛星通信を使っている場合は通信速度が遅くなるため、3Gのみでエリアを展開する。臨時局でLTEが利用できるのは光ファイバーなど高速な伝送路と接続できた場合のみだという。
KDDIは全国の高速道路網に光ファイバーによる基幹伝送路を持っているが、東日本大震災では高速道路の寸断などで光ファイバーが切断・破損して通信サービスに影響が出た。今回の訓練では、中央自動車道に埋設されている光ファイバーが切断されたことを想定した復旧訓練も行われた。この光ファイバーは容量10Gbpsの通信が可能で、電話回線であれば同時に13万回線の通話を収容できるという。
訓練ではこのほかに、基地局のカバーエリアを広げる移動式車載リピーターや静止衛星を使った映像伝送が行える車載型地球局ビックシェル号、船舶基地局搭載用の衛星アンテナなど展示も行われた。
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