広がる通話定額 “話し放題”に打って出るキャリア各社の思惑とは?:佐野正弘のスマホビジネス文化論(2/2 ページ)

» 2014年06月02日 13時38分 公開
[佐野正弘,ITmedia]
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 カケホーダイは発表当初、音声通話定額が注目された一方で、基本料金が従来の主力であった「タイプXi にねん」と比べ3倍前後高くなることから、通話をあまりしないユーザーを中心に「値上げではないか」という声も多く上がっていた。だが音声通話を積極的に利用するユーザーにとって、カケホーダイの価値は基本料の上昇分を大きく上回る、インパクトのあるものであったようだ。スマートフォンだけでなくフィーチャーフォンも対象とし、スマートフォンの陰に隠れていた“もう半分”のユーザーの支持を得たことが、カケホーダイの人気に大きく影響している訳だ。

なぜ「スマ放題」は支持を得られなかったのか?

 ただ、カケホーダイは実現する上でいくつかハードルがある。1つは、他社との通話をする際には接続料(アクセスチャージ)が発生するため、完全定額制の実現にはキャリアにかかる負担が大きくなる可能性もある、ということ。そしてもう1つは、通話定額で長時間通話するユーザーが増え、トラフィックが増加するということだ。

 ドコモ側はそうした要素を考慮した上で、現在の料金であれば採算が合うと判断したことから、カケホーダイの提供に踏み切ったようだ。特に後者のトラフィックの問題に関しては、3Gよりも周波数利用効率が高いLTEネットワークを利用して通話ができる「VoLTE」の導入も、大きく影響しているだろう。

photo ドコモは6月下旬より、対応端末で「VoLTE」を順次導入。高音質の実現とともに、周波数利用効率のよいLTEへのネットワークシフトを進める考えだ

 ちなみに新料金といえば、ソフトバンクモバイルも4月より、新料金プラン「スマ放題」の提供を予定していたが、こちらはドコモがカケホーダイを発表した影響から一旦取り下げられ、提供時期も未定となっている。スマ放題が取り下げを余儀なくされたのは、やはり定額通話の回数が50〜1000回、通話時間も5〜10分の制限が設けられていた上、その時間を超過すると従来のホワイトプランと同じ料金がかかる(当初は30秒当たり30円と、より高額な料金設定だった)など、カケホーダイと比べてメリットが見出しにくい印象を与えたのが大きい。

 スマ放題はウィルコムで人気の「だれとでも定額」をベースに、コスト面を考慮して設計されたことから、そのような仕組みになったと考えられる。ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、2月の決算発表会でこの料金プランについて触れ、「1回の通話で5分以上喋るケースは少ない。5分を超えそうになったら、1度切ってかけ直してもいい」と話していたが、ユーザーとしてはやはり長時間の通話であっても、手間をかけずに安心して利用したいというのが本音だ。

photo ソフトバンクモバイルが1月に発表した新料金プランは、後に「スマ放題」と名前を変えて改定されたが、カケホーダイの前に見直しを余儀なくされた

 そうした声を意識してかどうかは分からないが、ウィルコムがイー・アクセスと合併する6月1日より、「スーパーだれとでも定額」を提供すると発表している。これは「新ウィルコム定額プランS」などの基本料金プランに1500円を追加することで、自社だけでなく他社の携帯電話や固定電話、IP電話などへのPHSによる通話が、定額でできるというもの。PHSによるデータ通信も無制限になるという。ソフトバンクグループの先陣を切って、完全な音声通話定額を実現するようだ。

 このほか、auが音声通話定額のサービスを提供するのではないか? という報道も一部でなされており、他社にも広がる勢いを示している。カケホーダイがもたらした音声通話の定額サービスの波は、日本全体に広がる可能性が高いといえよう。

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