中国で始まった“Xiaomi包囲網”(前編)──「紅米」「Mi3」を追撃するHuawei山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

» 2014年06月23日 18時04分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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「おしゃれな低価格機」で一気に追い上げるHuawei

 となると、ほかのメーカーがXiaomiの戦略をトレースしようと思えばできないことはない。とはいえ、今からXiaomiと同じ製品を作ったところでそれは「Xiaomiの真似をしたモデル」で終わってしまう。Xiaomiに打ち勝つにためには、同じことをやるのではなく独自の戦略が必要だ。

 いま、中国各社はその「独自性」に注力して製品を開発している。そして、Xiaomiの座を脅かす製品が出てきている。先ほど紹介したCounterpointの調査結果で、Xiaomi、Apple、サムスン電子に交じって5位にHuaweiの「Honor 3C」がつけている。この「Honor 3C」と(10位までにランクインしていないが)「Honor 3X」は、Huaweiが市場に投入した“Xiaomiキラー”だ。

 HuaweiはHonor 3シリーズを2013年12月に発表した。Xiaomiの「紅米」が2013年8月、「Mi3」が2013年9月であるから、わずか数カ月で開発したことになる。「Honor 3C」は1000元を切る低価格機、「Honor 3X」は1000元台で高スペックと、それぞれ「紅米」「Mi3」に真っ向から対抗している。

紅米対抗のHonor 3C(写真=左)。Honor 3Xはスペックアップの兄弟機だ(写真=右)

 この2製品は発表直後に中国の大手オンラインショッピングモール「JD.com」(京東商場)で予約販売を先行して受け付けるなど、Xiaomiと同じようなネットを活用する販売手法を取った。しかし、Huaweiのメーカー名ではなく「Honor」のブランド名をアピールし、新しい製品というブランディングにも注力している。加えて製品のボディーカラーもXiaomiが黒や赤などを前面に出しているのに対し、Honor 3シリーズは白やピンクやミントグリーンなど明るい色を中心とした6種類のカラーバリエーションを展開した。

 Xiaomiとの違いは製品パッケージにも表れている。Xiaomiは無駄なコストをかけていない印象を消費者に与えるため、パッケージは無印良品のようなクラフト紙をイメージした紙を利用している。これに対して「Honor 3C」のパッケージはミントブルーを基調にしており、そのデザインはジュエリーブランドのティファニーをイメージさせる。低価格品とは思えぬ印象だ。携帯電話販売店でもこのパッケージは目立っており、「Honor 3C」の製品イメージ向上に一役買っている。

豊富なカラバリが魅力のHonor 3C(写真=左)。パッケージの色合いも低価格製品とは思えない(写真=右)

 「Honor 3C」の価格は、1Gバイト版が798元と「紅米」に並び、2Gバイト版は998元。上位モデルの「Honor 3X」は1698元と「Mi3」の1998元より300元も安い価格で登場した。「Mi3」と「Honor 3X」を比較するとディスプレイの解像度が低いがデュアルSIMに対応し、オクタコアで動作クロックが1.7GGzのCPUを搭載している。Xiaomiのような高スペックで低価格な新しい製品というイメージを「Honor 3X」は中国の消費者にアピールすることに成功している。

 Honor 3シリーズの追い上げや製品発表から半年以上が過ぎたこともあり、Xiaomiは2014年4月に「Mi3」の価格を1699元に引き下げた。これに対しHuaweiは、「Honor 3X」のディスプレイ解像度を「Mi3」と同じ1080×1920ピクセルとしたアップグレード版を発表している。

 さらに、中国で本格的な普及が始まったLTEに対応する「Honor 3C LTE」も近日中に投入する予定だ。XiaomiはLTEスマートフォンをまだ発表しておらず、対応するとしても上位モデルの「Mi3」後継機からと多くの関係者はみている。低価格スマートフォンの争いで「Honor 3C LTE」がXiaomiの紅米シリーズを追い抜く可能性もありそうだ。

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