「iPhone 5sも5cも怖くない」──XiaomiがAppleを超える理由山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2013年09月13日 09時28分 公開
[山根康宏,ITmedia]

中国を熱くする「紅米」とは?

 ここ数年、中国では多数のメーカーがスマートフォン市場に参入している。中でも2011年から「小米」シリーズを販売する「小米科技」(英語表記の“Xiaomi”というと分かるユーザーも多いだろう)は最も勢いのあるメーカーだ。ハイスペック、かつ、低価格なモデルを毎年発表し、中国のメーカーはもとより、海外のメーカーにとってもその存在は脅威となっている。

 その、Xiaomiが2013年8月1日に発表した新製品「紅米」(Red Rice)が、発表当日の予約販売受付開始からわずか90秒で10万台を売り切った。初日の予約受付台数は合計で350万台。第1ロットの出荷は8月12日から開始して、即日、中国のオークションサイトで2倍以上の値段で取引されている。

中国で最も勢いのあるスマートフォンメーカーの「小米」ことXiaomiが、“1000元以下級”モデルとして投入したのが「紅米」だ

 「紅米」の価格はわずか799元(約1万2600円)。ここ1〜2年、中国のスマートフォンは1000元台で買える低価格品、いわゆる「1000元スマホ」が主流となっている。低価格志向の動きはさらに進んでいて、この半年ほどで1000元以下のモデルも急増している。

 「紅米」はその1000元以下の低価格品市場にXiaomiが参入した“戦略的”モデルだ。プロセッサーは1.5GHzクアッドコアで、ディスプレイはサイズが4.7インチで解像度は720×1280ピクセルのIPSパネル。メインカメラも有効800万画素とスペックは低くない。ボディカラーはモデルの名前が表すように“真紅”と中国人が最も好む色彩を取り入れている。

 紅米は、中国で最大の移動体通信事業者「中国移動」(チャイナモバイル)が独自に採用する3G方式TD-SCDMAに対応するので、実質的に中国移動の専用端末といえる。2013年7月末時点における中国移動の総加入者数は7億45000万で、3Gユーザー数は1億4700万と全体の“まだ”2割弱に過ぎない。残りの約6億人は2Gユーザーで、現在、毎月数百万人規模で次々と3Gに乗り換えている。このような2Gからの乗り換えユーザーにとって、4.7インチの紅米は「大画面なのに持ちやすい」を両立させた手ごろな大きさの製品だ。しかも、799元であれば端末買い取りでも無理せず買うことができる。

 「紅米」は、Xiaomiで初めてTD-SCDMAに対応したモデルだ。Xiaomiはこれまで中国聯通(チャイナユニコム)のW-CDMAや中国電信(チャイナテレコム)のCDMA2000に対応したモデルをリリースしている。2012年の販売台数は約720万台だったが、このうち約7割の500万台が中国移動の回線で利用されている。これは、TD-SCDMAを利用できなくとも、2GのGSM/EDGEとWi-Fi接続だけでXiaomiのスマートフォンを利用しているユーザーが多数いることを示している。また、AppleのiPhoneシリーズがTD-SCDMAに対応していないにも関わらず、多くの中国移動ユーザーが使っているのと同じ状況といえる。

 TD-SCDMA対応スマートフォンが1000元前後のモデルを多数登場しているにもかかわらず、あえてGSMしか利用できず、そして、高額なXiaomiのモデルを使うユーザーが多いということは、それだけXiaomiのブランド力が強力で、しかも、デバイスとしての完成度も高くて使いやすいというユーザーの評価を表している。

わずか2年で「Xiaomi」ブランドが浸透した

 今や中国では多くのユーザーが“小米”を知っている。ユーザーのXiaomiにたいする評価は「先進性」「おしゃれ」「なのに価格が手ごろ」とポジティブな言葉が目立つ。とはいえ、Xiaomiのスマートフォン参入は2011年夏と、わずか2年に過ぎない。この短期間でユーザーへの認知度をここまで高めたのは、製品の高い完成度はもちろんのこと、ブランドのイメージを高めるために大きく注力してきた結果だ。明るい色と大きい文字を多用したXiaomiのWEBページや、シンプルな製品のデザインテイストは、どことなくAppleをイメージさせる。

 だが、AppleとXiaomiには決定的に異なる点がある。それは、製品の販売戦略だ。Xiaomiが最初に投入したスマートフォン「Xiaomi M1」のスペックは、プロセッサーがQualcommの1.5GHzデュアルコアで、ディスプレイがサイズ4インチの解像度480×854、メインカメラは有効800万画素だ。ディスプレイでは、“シャープの高性能品”を採用したことを特にアピールしていた。2011年夏に発表したXiaomi M1の初期ロットは実売価格が1999元(約3万2700円)で、これは、海外大手メーカーの同等スペックモデルと比べて半分だった。そればかりではなく、中国メーカーでもこの価格で同じ性能のモデルは存在しなかった。

Xiaomi M1はカラーバリエーションを増やした「青春版」も登場した(写真=左)。XiaomiのプロモーションセンスはWebページのシンプルなデザインでも分かるようにAppleをほうふつさせる(写真=右)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  3. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  4. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  5. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  6. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  7. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  8. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  9. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
  10. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年