KDDIバリューイネイブラーがMVNO「UQ Mobile」を開始 ━━まずはドコモ系MVNOへの対抗で、本命は「パートナー企業の獲得」石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)

» 2014年12月19日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
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━━ 黒字化の期待はどのように見ていますか。

菱岡社長 その辺については、経営の部分で考えていますので、コメントは控えさせていただきたい。

━━ CDMAベースだと、メーカーが自由に端末を売るというのは難しそうだが、今後も自社調達が基本となるのか。

菱岡社長 今後も自社調達は進めていきます。

(★ 確かに自社調達しかないというのは、端末選びの面ではつまらないかも。早くVoLTE対応スマホが増えないことには、ここは改善しないな)

━━ SIMカード単体も売られていくのか。

菱岡社長 当然、SIMカードの単体販売も、このサービス開始当初から行います。

━━ その場合、接続できる端末に制約があると思うが、そのあたりはどうするのか。

菱岡社長 動作確認はau端末に関して行っており、ホームページ上に公開している。それでご確認いただくかたちになる。

━━ iOS8はなんで使えないんですかね。

菱岡社長 ちょっとわかりません。

(★ これ自分の質問。iPhoneやiPadが使えないとなると、パートナーも増えないのではないか)

━━ 使えるようになる見込みはあったりするんですか。

菱岡社長 うーん。努力はしていきたいと思いますけど、いまの時点では良くわからないです。

(★ KDDIの子会社なんだから、このあたりはしっかりして欲しいな)

━━ nanoSIMカードを提供しないようだが、最近のau端末ではnanoSIMカード端末も増えている。nanoSIMカードの提供予定がないというのはどういうことか。

菱岡社長 今の時点で(提供がない)ですね。来年、どこか早いタイミングで。

(★ 確かにisaiとかはnanoSIMカードだったはず)

━━ 即日開通は現時点でできるのか。

菱岡社長 即日開通ができるのは一部量販店さん、店舗によっても変わってくる。私どものほうで、即日開通ができる端末を用意している。設置している店舗では基本的に即日開通ができます。

━━ MNPも対応するのか。

菱岡社長 しています。私どものホームページにアクセスしていただいた方、できれば受付状態にもよりますが、翌日出荷というかたちで送るようになります。

━━ 来年度のSIMロック解除で使える端末が増えると思うが、そのあたりの期待はどうか。

菱岡社長 これは私どもだけでなく、MVNO事業者は喜びのほうに近いと思います。

━━ VoLTE、CA、WiMAX2+端末が揃うことになるが、それらサービスも使えるようになるのか。

菱岡社長 もちろん、対応端末があれば、使えるようになります。増えては来ると思いますけど。

━━ WiMAX2+が使えるようだが、UQコミュニケーションズやKDDIとはどういう立て付けになっているのか。

担当者 KDDIから借りるという形になっています。

━━ 今日、発表されたものは既視感がある。どのような点で差別化しようとしているのか。

菱岡社長 最初からすべて重装備できれば良いが、生まれたばかりの会社で、なかなかそういうかたちになっていないのは事実。パートナーブランドをどうタイアップしていくか、これを早めに世に出せるようにしていくことが大事。そこを強みとして打ち出していきたい。

(★ まぁ、会社設立から4カ月であり、まわりのMVNOによる競争も過熱していることもあり、この程度なのは仕方ないかも)

━━ 販売戦略上の差別化はどこになるのか。

菱岡社長 先ほども言いましたように、パートナーのところでしょうね。我々も量販店の店頭を活用させていただいたり、オンラインもやりますけど、パートナー支援型で、いろんなジャンルで、簡易型のMVNOをやりたい企業はたくさんいる。そういったところをしっかりと掘り起こしていきながら、陣営を作っていきたいと思っている。

(★ パートナーと組むことがKVEの存在価値だけに、早く見つけて、発表してもらいたい)

━━ 新会社をつくろうとしたのはいつぐらいのころからなのか。

菱岡社長 これはちょっと前、いやだいぶ前から検討はしていた。実際に本格的になってきたのは、今年度になってから。

━━ 8月に会社が創設され、4カ月ほどかかっているが。

菱岡社長 準備です。イチから全部、au事業で貸してくれればいいのですが、全然、貸してくれませんので。

(★ このあたり、ちょっと悲哀を感じる)

━━ KDDIの純増を稼ぐというのが大きなミッションととらえて良いのか。

菱岡社長 グループとして、当然、お客様が増えるというのはいいことですから、そこは当然、やっていかないと行けないミッションだと思いますけど。やはり、まず市場競争のなかで、au陣営がMVNO市場で埋没しないように、その宿命を帯びていると思っています。

取材を終えて

 今回のKVEの発表は「とりあえず、すぐに使えるUQブランドを使ってサービスインさせてみた」という感が強い。KVEにとっては、本命はパートナーと組むことであり、そのパートナーが参入するイメージをつかみやすくするためにUQモバイルという「お手本」を立ち上げたという感じだ。現状は、使用できる端末も、KVEが用意したものとauが提供してきたスマホに限られているため、なかなか広がりが出ないのが残念なところだ。SIMロック解除が義務化されても、他社のスマホでKVEを契約しても音声通話ができないわけで。VoLTEもKDDIは独自のシンクコール機能を入れており、将来的にSIMフリーのVoLTE対応スマホが売られるようになっても、auネットワークで対応できるか未知数なところもある。

 果たして、KVEで使える端末がどれだけ市場に出てくるのか、と言う点は、KVEを評価する上でひとつの指標となりそうだ。

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