12月11日、KDDIバリューイネイブラーはMVNO事業として「UQ Mobile」を発表した。ただし、KDDIバリューイネイブラー(KVE)としては、パートナーを募り、他社ブランドでMVNO事業を手がける方に注力していくようだ。
会見終了後、菱岡弘社長の囲みが行われた。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年12月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
━━ MVNOのなかでKDDIらしさをどうやって出していくのか。
菱岡社長 まだ会社として生まれたばかりですから、あれなんですけど、au事業として今まで培ってきた知見がありますので、その知見を生かしながら、UQモバイルとしてしっかりとサービスを提供していきたい。
(★ UQモバイルという名前なんだから、UQコミュニケーションズがKVEからネットワークを借りて運営した方がわかりやすいと思うんだが)
━━ 知見というのは具体的にどういったところか。
菱岡社長 顧客サポートなど、パートナー自体がMVNO事業をやろうとしても初めての場合、設備投資などハードルが高いわけですから、そのあたりは我々が成り代わってやっていくかたちになりますね。
(★ 確かに顧客サポートを丸投げできるのはいいかも。パートナーにとっては参入はしやすいはず)
━━ 価格競争というよりも、使い勝手での勝負になるのか。
菱岡社長 そうですね。しっかりやりたいと思っています。
━━ KDDIとサービスや販売で連携していくことはあるのか。
菱岡社長 いまの時点では想定はしていません。KDDIバリューイネイブラー、UQモバイルとして、パートナーとタッグを組んで対応していく。auショップで扱いなどのことは今の時点では想定していない。
(★ さすがにauショップでの取り扱いは難しいか。ただ、スペインではキャリアショップでMVNOのSIMカードを扱うところもあるし、可能性はあるような気がする)
━━ ソフトバンクにおけるワイモバイルといったサブブランド的な扱いになるのか。
菱岡社長 お客様がどのようにとらえていただけるか、ということかも知れませんが。UQモバイルの直販部分はお客様から見れば、そういう風に見えるかも知れません。ただ、我々としてはあくまでもパートナー支援型でしっかりと売っていきたい。
(★ auのサブブランドじゃなくて、UQのサブブランドに見えたりするじゃなかろうか)
━━ KDDIにはMVNOとしてネットワークを借りていることになるのか。
菱岡社長 はい。そうです。
━━ KDDI網によるMVNOは接続料金が高いといった問題があり、事業者がなかなか出てこなかった。今回、他社と料金面で戦えているというのは、どういう状況にあるのか。
菱岡社長 接続料というのは公平性の担保がありますから、我々もグループ会社だからといって、特段、低く抑えられていることはありません。
コストというのは接続料だけではありませんので、我々としてはローコストオペレーションをしっかりと実施しながら、いろんな付加価値やパートナー様のブランドを活用したかたちで、サービスを提供していく。いろんなかたちで進めていきたい。そういう中で、競争環境を勝ち抜いて行きたい。
(★ 接続料以外の部分で、何かしらの優遇とかあるのだろうか。ケイ・オプティコムも一緒だが)
━━ 現状、ドコモの2倍近い接続料となっているが、来年はどのようになるのか。
菱岡社長 下げてくれるんじゃないかと僕らも親会社に期待している。まだ今の段階では回答が出ているわけではない。
━━ 親会社の取締も兼務されているのですよね。
菱岡社長 取締役まではしておりませんが、兼務ではなく、本務でこちらに移っていますので、私はイネイブラーとして骨を埋める覚悟です。
(★ 頼もしい一言。でもしばらくしたら、異動してKDDIに戻っていそう)
━━ イネイブラーとして値下げの要求もしていくのか。
菱岡社長 もちろん、やっていかないと会社が成り立ちませんので。
(★ パートナーを増やして、コストを下げないといけませんな)
━━ KDDIも他のMVNOも御社と同じ料金設定をして成り立つということなのか。
菱岡社長 市場がどういう風に発展するかによって、大きく変わってくると思いますけどね。各社さんも苦労しながらも、工夫してやっているのだと思います。
━━ 契約件数などの目標はどのように設定されているのか。
菱岡社長 事業計画としては3年で100万件を目標にしようと。三木谷さんが1000万といっているが、ちょっと市場調査をしてみても、そんなにあるの?という感じがする。
(★ 100万件は妥当な数字か。1000万はさすがに多すぎるが)
━━ パートナーは何で利益を得るのか。
菱岡社長 私たちの経済条件をお出ししますので、それをご理解いただくのが基本になると思う。
━━ 先ほどの料金よりも安く卸すということなのか。
菱岡社長 卸すという形ではございません。
━━ つまり、販売手数料と言うことですか。
菱岡社長 そうですね。はい。
━━ そういう意味では、料金面ではパートナーは自由に設定できないということか。
菱岡社長 はい。私どもが決定いたします。
(★ KVEのパートナーによるMVNOサービスは、料金もサポートも一緒ということで、なかなかサービスの差別化は難しいかも知れない)
━━ 法人へのアプローチはどのようにされるのか。
菱岡社長 いま現時点では法人への取り扱いは考えておりません。ただ、ニーズがあるのは存じております。
━━ イネイブラーという社名からも、MVNE事業を強化されたいのだろうが、どのような体制になっているのか。
菱岡社長 MVNOとして、先ほど言いましたように、パートナーを支援していくというのがそれに近いのかと。逆に言うと、そういう意味でイネイブラーという名前を使わせていただいた。
━━ 再販型での展開をお考えなのか。
菱岡社長 そうですね。
━━ 再販以外は考えていないのか。
菱岡社長 時代がどう変わるかわかりませんけど、いまは考えておりません。
━━ IIJはイオンに対してデータ容量を増やすといった優遇をしているが、販売量の多いパートナーに対して、サービスや料金の条件を変えるといったことはあるのか。
菱岡社長 いまの時点ではシステムの問題もありますので、画一的な感じにはなっていると思います。おっしゃるとおり、いろんなニーズが出てくると思いますので、できるだけいろいろなものを進めていきたいと思っています。今の時点ではできないが。
(★ まぁ、UQコミュニケーションズが提供して、ISPや家電量販店が売っているWi-Fiルーターなどは料金やサービス内容に違いはないのでいいのかも知れない。しかし、スマホの場合は、NTTドコモのMVNOが多様なサービスを提供していることもあり、そうは言っていられないそう。パートナーとしても、自分の顧客には優遇して売りたいだろうから、このあたりは早急に改善が必要だと思うけどな)
━━ パートナーから購入したユーザーに対して、サポートはKVEがやるのか。
菱岡社長 はい。私どものほうでカスタマーセンターとか、修理対応のセンターとか、準備しておりますので、対応いたします。
(★ このあたりはKVEが儲ける部分になるということですな)
━━ 店舗で購入した場合のユーザーはどうなるのか。
菱岡社長 そちらにふっていただく、もしくは店舗のほうで受付ぐらいはできるようにしたい。
━━ ケイ・オプティコムに対しての強みは店舗展開になるのか。
菱岡社長 そうですね。同じネットワークを利用するが、ポリシーも違いますし、競争環境の中でmineoさんだけを意識するのではなくて、全体的にやっていかないといけませんから、どこかではぶつかるかも知れませんし。
(★ 格安スマホが店舗で当たり前のように買えるようになると、オンラインのみという展開は厳しくなってくるのかも)
━━ 格安という割に、聞いていると損益分岐点が上に行きそうな気がするのですが。
菱岡社長 確かにそうですね。高くなる可能性はありますが、それを一生懸命、下げていかないといけない。
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