海外プリペイドSIM導入マニュアル――空港で2社が簡単に購入できる「カタール・ドーハ2014年」編ほぼ全域でLTEが利用可能(2/2 ページ)

» 2015年01月07日 18時15分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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ショッピングモールへ向かうバスは“命がけ”

 空港で時間がないときは街中でもプリペイドSIMの購入は可能だ。携帯電話ショップが街中に点在しており、また雑貨店でもOoredooやVodafoneの看板を掲げてSIM販売を行っている店もある。ただし小さ目の雑貨店では英語が通じないこともあったため、空港で買ったほうがよさそうだ。あるいは買い物がてら新都心にあるショッピングモールへ向かうのが良いかもしれない。数あるモールの中でもCity Center DohaはOoredoo、Vodafoneの両店舗があるのでここを訪れるのが良いだろう。

photo 市内にも携帯ショップがあるが、SIMの販売価格は定価とは異なる
photo 買い物がてら新都心のモールへ向かおう

 新都心への移動は前述したようにバスでも行けるが、市内中心部のバスターミナル「アル・ガニム・ステーション」の時刻表を見ると1時間に1〜2本しか本数がない。午前や夕方は道路が大混雑するので運賃の安いバスを利用するのが良さそうだが、昼間の空いている時間ならタクシーを使ったほうが良さそうである。なおバスに乗る際はアル・ガニム・ステーションでICカードの購入が必要。30リヤルで運賃は5リヤル。なおICカードが無い場合は10リヤルの現金で乗車することもできる。

 ちなみにバスに乗車するときは“覚悟”が必要だ。バスは地元のお金のあるカタール人は利用せずほぼ出稼ぎの外国人労働者たち。新興国や途上国からやってきた彼らに「乗車時に並ぶ」という概念はない。マナー云々ではなく、母国でバスや電車に乗る経験がない人が多いのだ。そのためバスが到着してドアが開くと、そこに待っている客全員がドアに殺到する。夕方ラッシュ時はバスに乗るだけでも命がけだ。バスの本数が少ないこともあり、万が一満員で乗れなかったら大変なことになるのだろう。ちなみに降りるときも早めに降りずにゆっくりと最後に降りようとすると、降りる客を無視して乗客が乗ってくるので降りれなくなってしまう。近代的なビルが立ち並ぶ新都心でもその光景は毎日繰り返されているのだ。

photo バスに乗るときはICカードの購入が必要。ただし数回だけなら現金10リヤルで乗ってもよい
photo バスが到着すると狭い入口に乗客が殺到する。この状況はまだ甘いレベル。ラッシュ時は押し合いへし合いの殺人的な状況となる

 バスはアル・ガニム・ステーションとCity Center Dohaを結ぶ路線があるので降り間違うことはない。終点で降りればそこがCity Center Dohaだ。モール内には多数の店が入っており家族連れの場合などはここで1日を過ごすこともできそうだ。スーパーのカルフールも入っているので日用品の買い物もできる。なおカルフールでは携帯電話も販売しているので、SIMフリーのスマートフォンを買うことも可能だ。

 モール内にはOoredooとVodafoneの旗艦店が入っており、どちらも規模は大きい。だが平日昼間でも意外と客で込み合っており、やはりプリペイドSIMの購入は空港で済ませておいたほうが良いかもしれない。両者の店舗ではモバイルルーターやスマートフォンも販売されているが、SIMフリーのため価格は若干割高。とはいえ他国でも利用できるので海外用端末として買うのもいいだろう。

photo City Center Doha
photo 巨大なショッピングモールである
photo Ooredooの店舗。さすが規模が大きい
photo Vodafoneの店舗。平日昼間でも客は多い

LTEのカバレッジは十分、ホテルよりも快適

 さて両者のプリペイドSIMをSIMフリーのスマートフォンに入れて使い比べてみた。市街地や新都心いずれでもほぼ全域がLTEのカバレッジエリアとなっており、3Gに落ちることはほとんどなかった。また今回訪問した郊外の展示会場でもLTEを利用することができた。郊外へ向かう途中の道路では3Gに落ちることもあったが、2Gになることはなく快適に利用することができる。テザリングも可能なので、スマートフォンとノートPCやタブレットを接続して仕事をすることもできそうだ。

 通信速度はOoredooが実測で30〜50Mbps、Vodafoneが15〜30Mbpsと、Ooredooのほうが速い。またLTEのカバレッジもOoredooのほうが若干広い印象だ。とはいえVodafoneがプロモーションで安い料金を出していたならば、Vodafoneを選ぶ価値も十分あるだろう。いずれにせよどちらの事業者を選んでもホテルのWi-Fiサービスよりも快適な速度でデータ通信を利用できるだろう。

photo Ooredooは中東のフラッグシップキャリアでもあり速度は速い
photo Vodafoneもそれなりに速度はでる。ホテルのネット回線より快適だ

 今回は滞在が3泊4日だったため料金追加は行わなかったが、街中の売店や携帯電話ショップで簡単に残高追加カードを購入することもできる。そのあたりの方法はプリペイドSIM付属のマニュアルに英語表記されているのでそちらを参照してほしい。ドーハを訪れた際はOoredoo、Vodafoneどちらも手軽にLTEの高速環境を利用できるので、プリペイドSIMをぜひ購入して欲しい。

photo

山根康宏:香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。

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