海外プリペイドSIM導入マニュアル――「ルクセンブルグ+パリ2014年」編パリは2012年よりSIMが購入しやすく(1/2 ページ)

» 2014年06月30日 16時20分 公開
[山根康宏,ITmedia]

世界遺産の都市、ルクセンブルグ

 わずか日本の神奈川県ほどの面積というルクセンブルグ。正式名称はルクセンブルク大公国で、世襲制による大公が国を治める現時点では世界唯一の国である。IT系企業が本社を置くことでも知られている。その首都ルクセンブルグ市は、世界遺産にも登録された街そのものにも大きな魅力がある。山に囲まれた渓谷地のルクセンブルグには歴史的な城壁も多数残っており、世界中から多くの観光客を集めている。

 ルクセンブルグには国際空港があるものの、日本からは直行便がないため、乗り継いで空路で入るか、近隣各国から鉄道で入るのがよい。パリからなら高速鉄道のTVGが約1時間おき、所要時間約2時間で結んでいる。パリ観光のついでにルクセンブルグに日帰りすることもできそうだ。またベルギーのブリュッセルからも鉄道で入りやすい。利用される言語はフランス語とドイツ語が多いが、大きい商店などでは英語も通じる。ルクセンブルグは近隣国と同様に通貨はユーロなので再両替の手間もない。なお、2014年6月時点の為替レートは1ユーロ=約139円。

photophoto ルクセンブルグへはパリからTVGに乗って2時間、日帰りでも訪問できる距離だ(写真=左)。市内は古い建物がそのまま利用されている(写真=右)
photophoto 街そのものが渓谷になっており、本格的に歩き回るとなれば1泊はしたい(写真=左)。市の中心部は中央駅からも徒歩で15分程度。こちらは一回りするのに1時間程度あれば十分だ(写真=右)

 さて、人口約50万人という小国ならがも、ルクセンブルグには4社の携帯電話事業者がある。郵便局が事業を行っている「Post Telecom」、ブロードバンドも提供している「Luxembourg Online」「Tango」、そしてフランス資本の「Orange」だ。各社がプリペイドSIMを発行しているが、スマートフォンやルーターでも利用できるデータ通信可能なタイプはTangoとOrangeが買いやすく使いやすい。

 ルクセンブルグの中心部は1時間もあれば一通り見て回ることができるくらい狭く、そのエリア内に各社が店舗を1〜2軒構えている。Post Telecomは郵便局内でも取り扱いを行っているが、データ通信料金がWAP時代のものであることから現実的には使いにくい。そのため、プリペイドSIMの選択肢はOrange、Tangoの二択でよいだろう。どちらも販売先は両社の店舗のほか、街中やルクセンブルグ中央駅などにあるキオスクで購入できる。

photophoto 郵便局でも「4G」をアピールするPost Telecom(写真=左)。Luxembourg Onlineの店舗、端末の品ぞろえは少なかった(写真=右)
photophoto 一番多く店舗を見かけたTango(写真=左)。ヨーロッパ各国でおなじみのOrange(写真=右)

 各社の通信方式はW-CDMA/GSMに加え、3社がLTEを開始している。このうちプリペイドSIMでLTE網に入れるのは2014年5月時点でOrangeのみ。TangoもWebページを見ると使えそうなのだが、購入してみたところ、3Gしか利用できなかった。このあたりは今後状況は変わっていくと思われるので、購入時に各社の店舗で最新情報を確認してほしい。

ルクセンブルグ各事業者の通信方式
FDD-LTE W-CDMA GSM
Post Telecom 1800MHz 2100MHz 900/1800MHz
Luxembourg Online 2100MHz
Tango 1800MHz 2100MHz 900/1800MHz
Orange 1800MHz 2100MHz 900/1800MHz

OrangeのプリペイドSIMでLTEを使う

 ということで今回もまずはOrangeを買ってみるとこにした。パリからTVGに乗り、ルクセンブルグ中央駅に到着後、徒歩5分ほどの距離にある大手家電量販店の「Saturn」を訪れた。

 ドイツ国内やヨーロッパのいくつかの国でも見かけるSaturnだが、ルクセンブルグの店舗はこの1軒のみ。店内に入れば携帯電話販売コーナーにOrangeのプリペイドSIMが山のように並べられて売られていた。販売価格は9.8ユーロだが、これに10ユーロ分の料金が入っている。購入にはパスポートなど身分証明書は不要。またルクセンブルグのSaturnは日本のクレジットカードの利用も可能だった。

photophoto ルクセンブルグ唯一のSaturn(写真=左)。プリペイドSIMはこのように陳列されている。奥がOrange、手前はLuxembourg Onlineのもの(写真=右)

 OrangeのプリペイドSIMの使い方は簡単だ。開通操作も不要なので、SIMフリースマートフォンにSIMをセットするだけで利用できる。なお、SIMにはPINロックがかかっているので、起動時はSIMの台紙に書かれた4桁のPIN番号を入力する必要があるので注意しよう。データ通信に必要なAPN情報は以下の通り。Orangeの前身は「Vox Mobile」だったので、その名残りだろう。

  • APN……vox.lu
  • ユーザー名……なし
  • パスワード……なし

 OrangeのプリペイドSIMはLTE 1800Mhz(Band3)に対応したSIMフリースマートフォンならLTEも利用できる。ただしデータ通信を利用したければ、指定のデータパッケージを購入する必要がある。データパッケージは以下の3種類で、申請するにはSMSで電話番号60280番に、それぞれのデータ容量を書いて送信する。

  • 5ユーロ/250Mバイト/15日
  • 10ユーロ/500Mバイト/1カ月
  • 15ユーロ/1Gバイト/1カ月

 例えば10ユーロ/500Mバイト/1カ月を申請するなら、SMSの電話番号60280、本文に「500MB」と書いて送信すればよい。すぐに返信が来て残高が引かれ、データパッケージが利用可能となる。なお、1Gバイトプランを使う場合は購入したSIMの10ユーロでは足りないので、5ユーロを追加しておく必要がある。残高の追加はOrangeの店やキオスクでできる。またプリペイドSIMの残高確認は「*120#」に発信すればよい。

photophoto SIMは標準(mini)とmicro兼用タイプ。スマートフォンに入れるだけで使える。PINを忘れないよう、この台紙は残しておこう(写真=左)。端末写真を撮り損ねたのでスクリーンショットを。左側は60280番に「1GB」のSMSを送ってデータパックを申請。右側はOrangeの店舗で5ユーロをいれたときに自動受信した残高通知のSMS(写真=右)

TangoのプリペイドSIMも使い勝手は同様

 Orange同様、TangoのプリペイドSIMも使い方は簡単だ。こちらはせっかくなのでTangoのお店ではなく、ルクセンブルグ中央駅のキオスク購入してみることにした。「プリペイドSIMが欲しい」と英語で伝えると、店員の女性はフランス語と片言の英語交じりで「今はTangoしかないけど、いい?」と聞かれたので、もちろん迷わずに購入。TangoのプリペイドSIMは売価10ユーロで10ユーロの残高入りだった。

photophoto 中央駅や街中にも多く見かけるキオスク(写真=左)。TangoのプリペイドSIMもminiとmicro両サイズ共用だった(写真=右)

 TangoのSIMもデータパッケージが複数あり、Orange同様にSMSで申請ができる。ただしTangoはSMSの本文に書くのはデータ容量ではなく利用日数だ。SMSの送信先電話番号は62000、本文には「Pass Internet(スペース)日数」を送信する。例えば2日で300Mバイトを使うなら「Pass Internet 2」と本文に書いたSMSを62000に発信する。1.5Gバイトプランなら「Pass Internet 10」となるわけだ。1.5Gバイトや3Gバイトプランはあらかじめ残高を追加しておく必要があるが、こちらもTangoの店またはKioskで追加できる。

  • 300Mバイト/5ユーロ/2日
  • 1.5Gバイト/15ユーロ/10日
  • 3Gバイト/25ユーロ/20日
  • 4.5Gバイト/35ユーロ/30日

 APNの設定はOrangeよりも簡単だ。

  • APN……internet
  • ユーザー名……なし
  • パスワード……なし

 料金を見ると、Orangeよりも若干割安で、4.5Gバイトという使い勝手の良いプランも提供されている。だが2014年5月時点では3G回線しか利用できなく、高速な通信環境が欲しい人はOrangeを選んだ方がよいだろう。

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