格安SIMや格安スマホは通信料金の節約に直接つながるものとして認知を得つつありますが、ユーザにとってまだまだ「わかりにくい」という立ち位置。キャリアが路面店を配置し、そこに行けばなんとかなるという図式に慣れきっているのが大きいのかもしれません。それを受け、MVNO各社はリアル店舗での対応に力を入れ始めました。
直近では、ビッグローブが6月26日、同社の格安SIMブランド「BIGLOBE LTE・3G」でのMNPを即日開通するカウンターを開設すると発表しました。まずは下記4店舗に即日開通カウンターを用意し、その後も増やしていく予定だそうです。
店舗名 | 開始日 | |
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イオン浜松市野店 | 6月26日 | |
スマホの窓口 スマート・スマート 浦和コルソ店 | 7月3日 | |
ヨドバシカメラ マルチメディアakiba | 7月10日 | |
ヨドバシカメラ マルチメディア梅田 | 7月10日 | |
今までは、MNPを受け付けてからSIMカードが到着するまでの2〜3日、電話番号が利用できない状態でしたが、このカウンターでは即日で端末の受け渡しができます。
こうしたカウンターはMVNOよりも家電量販店がいち早く取り組んでいます。中でもビックカメラは、早々に専用カウンターを設置し、訪日外国人にも対応しています。
ヨドバシカメラマルチメディアAkibaでは、複数の事業者を選択できる格安SIM専用カウンターを設置しているほか、ヤマダ電機でも即日開通できるカウンターを設置。対象店舗数は、着実な伸びを見せています。
店頭にカウンターがあるメリットは「対面でわからないことが聞ける」「料金試算を出してもらえる」「アフターサービスとして利用できる場合もある」など。ドコモ、au、ソフトバンクといったキャリアと、同じようなサービスが受けられるようになりつつあるのです。
実機に触れながら不明点をスタッフに尋ねることができるカウンターが増えている背景には、このようなサービスが顧客から好評なことが一番にあるのでしょう。ユーザ視点で見ればメリットが大きいように感じます。長く使うものですから、持ってみた感じや実際の動作は購入の動機付けになります。そう考えると、店頭にカウンターが増えてきているのは自然な流れといえます。
しかし格安SIMというサービスは、ウェブ中心の販売と商品パッケージの簡素化、さらにアフターサービスなどに掛かる人件費を削減することで通信料を下げてスタートしています。
この方法論は、利用者の大多数が「知っている人」や「分かる人」だった頃には有効でした。しかし一般ユーザ層にまで知名度を得た現在では、いかに利用者にとってわかりやすく、かつこれまで同様に費用を削減するのかが、各MVNOの手腕の見せどころとなってきているのではないでしょうか。
価格による競争か、それとも顧客ケアを中心としたサービス展開か。どちらの方向性に振るかによって、MVNOの資質が問われる時代になってきているのかもしれません。
(文:布施繁樹)
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