通話もデータ通信も安くて満足いくものを――エックスモバイル木野社長が語る“通話定額”の狙い速度も出ます(2/2 ページ)

» 2015年08月11日 09時53分 公開
[田中聡ITmedia]
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他社よりも安く、赤字を承知の上で通信品質にもこだわり

 条件付きの通話定額サービスは、Y!mobileでも提供されており、こちらは10分以内の通話が月300回まで無料となる。一方で料金は1Gバイトが2980円、3Gバイトが3980円、7Gバイトが5980円で、もしもシークスよりも高い。さすがにデータ通信の無制限は厳しいが、7Gバイトという必要十分なデータ容量と、無料通話分が含まれるプランで1980〜3980円という価格設定は、バランスが取れているといえる。

photo 月60分通話をする際の料金は、MVNO他社や大手キャリアよりも安い
photo 無料通話分はY!mobileよりは少ないが、料金は安い

 一方で気になるのが通信品質だが、木野氏は「他社と比べても遜色のない速度が出ると思う」と胸を張る。「1Mbps(の帯域)にどれくらいの人を入れる(確保する)かで(インフラの)原価や速度も変わる。(もしもシークスでは)できる限り、1人あたりの帯域を確保し、他社の3倍ほどのコストを掛けて提供していると思う」と木野氏。こうしたネットワークの設計は採算度外視で行っているため「ほとんど利益はない」という。

photo 通信速度も十分であることをアピールする木野氏

端末の修理も店頭で行う

 購入後のサポート体制にもこだわり、コールセンターと店頭でサポートを行う。スマートフォンの画面が割れたり、端末自体が壊れたりしても、「店頭でほとんどの修理ができる」(木野氏)そうで、その場で修理できない場合は預かり修理となる。

photo

 その店舗は、専門店が(9月開店分を含めて)10店舗、提携店が運営しているサテライトショップが80店舗以上ある。専門店は現在は九州地方が中心だが、東京の曳舟(ひきふね)店を8月31日に、福島郡山店を8月31日に、埼玉ふじみ野店と札幌店を近日オープンする。今後はMNPも店頭で対応できるようにしていく予定とのこと。

photo 全国で専門店とサテライトショップを展開する
photo 博多店の様子

木野氏が携帯キャリアを創った理由

 木野氏がMVNOを立ち上げたルーツは、同氏が東南アジアで過ごした生活にある。東南アジアでは携帯電話はもちろん、固定電話すらない家庭が多いという。「何かこういうことを変えたい」という漠然とした思いがきっかけになってMVNOを立ち上げるまでに至った。もしもシークスで毎月の通信料の1%を「通信の普及支援」として発展途上国へ寄付している背景には、こうした木野氏の思いがある。

 東南アジアの平均月収は3万円以下だそうで、飛行機に乗ることもままならない。そんな中、「誰もが飛行機に乗れるように」とトニー・フェルナンデス氏が立ち上げたのが、LCC(格安航空会社)の「エアアジアX」。トニー氏と出会った木野氏はその考えに感銘を受け、「こういう社会的意義のある事業にチャレンジしたい」と思うに至る。「エックスモバイル」の「エックス」は「エアアジアX」から取ったものだ。

 当時はMVNOについて知識のなかった木野氏だったが、米国のMVNO、ヴァージンモバイル(Virgin Mobile)の勉強会に参加し、ヴァージン・グループの創設者であるリチャード・ブランソン氏と出会い、「電波塔を建てずに携帯電話のサービスができることを初めて知った」(木野氏)。その後、日本の帰路につく飛行機内で、日本の携帯キャリアの元経営陣とたまたま隣の席になって会話をしたところ、意気投合し、その人がエックスモバイルの創業を後押ししてくれたという。このように、エックスモバイルはいくつかの運命的な出会いが重なって誕生した。

 「低価格な通信を届けて、日本中、そして世界中の人々の生活を豊かにしていきたい」とビジョンを語る木野氏。赤字をものともせずに端末、サービス、ネットワーク、店舗をそろえる木野氏の情熱と行動力は「すごい」の一言。専業だからこそ、事業にかける本気度も伝わってくる。同社の動きから目が離せない。

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