白から半黒、そして黒へ――携帯電話の開通でSIMカードに何が行われているのか:IIJmio meeting 9(1/2 ページ)

» 2015年10月27日 16時03分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 番号ポータビリティ(MNP)で主要キャリア(MNO)からMVNOに乗り換える際、オンラインで手続きをすると、SIMカードが届くまでの間に旧回線が解約され、電話が使えない空白期間が生じることが、MVNOへの乗り換えをためらう要因の1つとされてきた。

 しかし最近では、電話を利用できない時間が最小限になるよう、オンラインで申し込んでも自分で最後の開通作業ができるMVNOも増えてきた。インターネットイニシアティブ(IIJ)のMVNOサービス「IIJmio高速モバイル/Dサービス」の音声通話機能付きSIMカード(みおふぉん)も、9月16日からユーザーが好きなタイミングで開通作業ができる「おうちでナンバーポータビリティ」を提供している。

photo 自宅にいながらMNPの手続きができる「おうちでナンバーポータビリティ」

 IIJ ネットワーク本部 技術企画室 担当課長 佐々木太志氏は、24日に行われたIIJの中の人と会えるイベント「IIJmio meeting 9」で、IIJmioの開通時にどのようなことが行われているのかを説明した。

SIMカードとは何か

photo 開通の仕組みを説明する、IIJの佐々木氏

 開通とは、「携帯電話サービスもしくはSIMカードを使えるようにすること」と佐々木氏は説明。現在は端末とSIMカードが分かれているので、「開通で使えるようになるのはSIMカード」ということになる。契約情報を書き込んだSIMカードを携帯電話に挿すことで、携帯電話がその契約で使えるようになる。

 SIMカードとは「Subscriber Identity Module Card」の略称で、1990年代に、GSMサービスを行う西欧の通信キャリアが導入した。1990年代、日本ではドコモのムーバ(2G)などではSIMカードを使わずにサービスが展開されていた。SIMカードが日本で初めて使われたのはドコモのFOMA(3G)からだ。

 初期のSIMカードは現在のキャッシュカードやクレジットカードと同じサイズだったという。なぜなら、これらはISO/IEC7816という接触型ICの規格にのっとって作られていたためだ。銀行口座やクレジットカードの情報の代わりに、携帯電話の契約情報を入れていたわけだ。ただ、これだと携帯電話には大きすぎるので切り抜いて使うようになった。現行のSIMカードは、この切り抜くサイズの大きさによって、2FF(標準SIM)、3FF(microSIM)、4FF(nanoSIM)の3種類がある。ちなみに、1FFがキャッシュカードやクレジットカードと同じサイズのものにあたる。

SIMカードの中に入っている情報

 SIMカードの中には、「Authentication Key」「ICCID」「IMSI」「電話番号」「電話帳」という、大きく5種類の情報が入っている。

photo SIMカードの基礎知識。もともとはキャッシュカードやクレジットカードと同じサイズだったものをカットして使っている

 Authentication Keyは、携帯電話のデータを暗号化するための暗号キー。デジタル携帯電話の盗聴は非常に難しいといわれるが、それはこの暗号キーが重要な役割を果たしているためだ。暗号キーによって基地局と端末間の通信がすべて暗号化され、第三者が電波を傍受しても復号することができない。

 ICCIDはSIMカードの固有ID番号。SIMカード1枚ごとにID番号が1つある。IMSIは加入者識別用のID番号で、全世界の携帯電話で重複しない14桁か15桁の番号になっている。一方、電話番号は国内では重複しないが、海外では重複するかもしれない。電話帳は、利用者がSIMカードに保存するデータ。

 SIMカードは、キャッシュカードなどと同じICカードで、専門のメーカーが作って出荷する。日本のSIMカードのほとんどは、DNP、Gemalto、ギーゼッケ アンド デブリエントの3社から供給されているといわれている。興味深いことに3社は異なる国の会社だが、すべて印刷会社だ。

 SIMカードは、情報の書き込み状態を色で表すことがある。SIMカードメーカーが出荷した状態では、ICCIDだけが書き込まれた状態で出荷される。加入者を表すIMSIや電話番号は書き込まれていない、からっぽの状態のこのSIMカードのことを「白ROM(白SIM)」と呼ぶ。

 携帯電話会社は納入されたSIMカードにさまざまな情報を書き込み、使えるようにして最終的に契約者に渡す。このSIMカードにデータを書き込む(焼く)プロセスのことを「プロビジョニング」と呼ぶ。各キャリアはプロビジョニングをするための専用の業務システムを持っている。ドコモは「ALADIN(アラジン)」、ソフトバンクは「GINIE(ジニー)」として知られているシステムだ。

 白の状態でメーカーから納品されたSIMカードに、こういった専用の業務システムを使って電話番号やIMSIが書き込まれた状態を「半黒ROM(半黒SIM)」と呼ぶ。この状態では契約者の情報が書き込まれているだけだが、実際に契約が発効し、端末に挿して実際にその端末が利用できる状態を「黒ROM」と呼ぶ。

photo 業界では、情報が書き込まれた状態によって、SIMカードを「白ROM」「半黒ROM」「黒ROM」と表現する

MVNOはSIMカードを制作できない

 現在の日本では、制度上、MVNO自らが企画してSIMカードを作ることができない。日本のMVNOは携帯電話会社が作ったSIMカードを利用しており、みおふぉんのSIMもドコモのロゴが入っている。しかし海外ではMVNOのSIMカードが存在するので、「いずれ日本でも登場する」と佐々木氏は考えている。

 MNOからMVNOにSIMカードが提供される場合、大きく2つのケースがあるという。1つは、黒ROMや半黒ROMの状態でNMOから提供されるケース。もう1つは、白ROMとプロビジョニングを行う専用端末が提供されて、MVNOでプロビジョニングを行うケースだ。佐々木氏によると「昨今は白ROMと端末を提供されることが多い」とのこと。

photo SIMカードはMNOから提供される。最近は白ROMとプロビジョニング専用端末が提供され、MVNOがプロビジョニングを行うという

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO」

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年11月03日 更新
  1. 「iPad mini(A20 Pro)」は何が進化した? 「iPhone Duo」とはどう違う? スペックや用途を比較する (2026年11月01日)
  2. KDDIの名機「INFOBAR」に新展開、11月18日に何かを発表――砂原哲氏が明かす (2026年11月01日)
  3. ダイソーで1100円の「PD対応20Wモバイルバッテリー」を試す 手頃な価格でそこそこ高速にスマホを充電可能 (2026年10月31日)
  4. Google マップの新機能「マップに相談」は“知人に聞く”感覚で使える 「Pixel 11 Pro Fold」などフォルダブルとの相性も抜群 (2026年10月31日)
  5. iPhone Duo、最適化できていないアプリに不満の声続出――App Storeでの「強制」により年明けには一気に解消か (2026年11月01日)
  6. 「iPhone Duo」は“我慢の連続” 歴代最重254g、Face IDなし……それでも満足できる人の条件が分かった (2026年10月30日)
  7. セブン‐イレブンで最大11%還元や“現金還元”も 新登場「nanacoクレジットカード」のお得度を検証する (2026年11月02日)
  8. 若者が選ぶ流行語「チャッピー構文」ってなんだ? 「結論から言うね」なAIの口癖、実は人間のせいかもしれない (2026年10月30日)
  9. キャリアともMVNOとも違う独自路線 povoが目指す「パートナー連携2乗」と世界展開の勝算 (2026年10月31日)
  10. KDDIのユーザー情報が漏えいか ライフネット生命への不正アクセスで判明 (2026年10月30日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー