ソニーモバイルコミュニケーションズは9月2日からドイツ・ベルリンで開催される家電の国際見本市 「IFA 2016」に先駆けて、フラグシップスマートフォン「Xperia XZ」と、コンパクトスマートフォン「Xperia X Compact」を発表した。
Xperia X Compactは、約4.6型のHD(720×1280ピクセル)液晶ディスプレイを搭載した、Xperia Xシリーズ初のコンパクトモデルだ。本体サイズは、約65(幅)×129(高さ)×9.5(奥行き)mmで、重量は約135g。先代のコンパクトモデル「Xperia Z5 Compact」と比べると、高さは2mm、厚みは0.6mm増している。一方、重量は3g軽くなっている。
ソニーモバイルコミュニケーションズはXperia Xシリーズで、Zシリーズの「オムニバランスデザイン」に代わる新たなデザイン哲学「ユニファイドデザイン」を導入した。X Compactでは表裏同一のカラーリングや2.5Dガラスなどの特徴を引き継ぎつつ、新たに「ループサーフェス(Loop Surface)」という概念を導入した。「側面を丸くカーブさせることで、本体の断面が永遠にループする円のように見える」というものだ。
一方で、質感はXZやX Performance、そしてZ5 Compactとは大きく異なる。これはボディーにアルミでもガラスでもなく、プラスチックを採用しているためだ。塗装を工夫して陶器の風合いを出しているというが、質感で見劣りする印象は否めない。これはX Compactがハイエンドではなく、ミドルレンジという位置付けになっていることも関係している。
プロセッサも、Xperia XZが高性能な「Snapdragon 820」を搭載するのに対し、X Compactはミドルレンジ向けの「Snapdragon 650」を採用している。このプロセッサのCPU部は最大1.8GHzで駆動する「Cortex-A72」コア2つと、省電力に優れた最大1.2GHz駆動の「Cortex-A53」コア4つの計6コア構成となっている。駆動するコアは、処理負荷に応じて変わるようになっている。
いざ実機に触れてみると、前述のループサーフェスにより側面が丸くカーブしているため、手によくなじむ。画面が約4.6型と小型なので、Xperia XZと比べて片手で操作しやすい。厚さは9.5mmで、一般的なスマホと比べると厚めだが、それがホールド感の向上につながっている。表面はプラスチックの光沢仕上げで、指紋が付きやすい。なお、前述の通りミドルレンジのプロセッサを採用しているが、動作は高速で、処理速度への不満は感じなかった。ただし、短い試用であることは断っておく。
前述の通り見た目やスペック面でミドルレンジ然としているX Compactだが、カメラ性能についてはフラグシップであるXZとほぼ同等となっている。
1/2.3型・約2300万画素のCMOSセンサー「Exmor RS for mobile」と「Gレンズ」を搭載し、ISO12800の高感度撮影に対応するなど、アウトカメラの基本スペックはZ5ファミリーやX Performance/Xと同様だ。そこに今回、Xperia XZと同じく「レーザーオートフォーカス(AF)」を導入した。
従来のXperiaではイメージセンサーの色情報で焦点を合わせていたため、暗い場所ではピントが合いづらいという弱点があった。それに対しX Compactでは、赤外線レーザーを使って被写体までの距離を直接測るため、暗い場所でもピントが合いやすくなった。
また、新搭載の「RGBC-IRセンサー」も注目したい点だ。色の3原色(RGB=赤・緑・青)に加えて、透明度(C=Clear)や赤外線(IR=infrared)も検知することができるこのセンサーによって、どのような光源でもより正確にホワイトバランスを自動調整できるようになったのだ。ホワイトバランスは写真の画質を決定する重要な要素であり、この性能強化は素直にうれしい。
さらに、スマホ初をうたう5軸手ブレ補正の搭載など、XZで強化されたカメラ性能は、ほぼX Compactにも踏襲されている。
ただし、XZでは復活した4K(3840×2160ピクセル)動画の撮影は、X Compactでは非対応となる。また、インカメラも1300万画素から500万画素にグレードダウンしており、Z Compactの「ハイエンドコンパクト」とは違うことが分かる。
XZと同様に、側面には電源キーと統合した指紋センサーを搭載。外部端子としては表裏を気にせずに挿せるUSB Type-Cを採用している。
カメラ以外の進化点としては、バッテリーの劣化を抑止する「Battery Care」を搭載する。ソニーによれば、バッテリーを満充電のまま放置することが、バッテリーを劣化させる要因の1つだという。そこで、X Compactでは、ユーザーの生活パターンを認識し、就寝時に充電を始めても、起床時にちょうど満充電となるように充電速度を遅くして、バッテリーの劣化を抑えられるようにしている。
冒頭でも述べたが、Xperia X Compactは防水・防塵(じん)には非対応だ。ここも、ハイエンドモデルであるXZやZ5 Compactとの決定的な違いでもあり、筆者としてはかなりショックだった。特に日本では「Xperia=防水」のイメージが根づいている。現時点で日本発売の具体的なアナウンスはないが、仮に発売するのであれば、日本向けには防水に対応した派生モデルを出すなどの施策にも期待したいところだ。なおグローバルでは9月に発売予定だ。
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