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» 2016年09月25日 06時00分 公開

荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:iPhone 7 Plusは2つのカメラをどう使い分けているのか (2/3)

[荻窪圭,ITmedia]

望遠撮影時は望遠カメラを使う……とは限らない

 ただ、この望遠側カメラ、F2.8な上に手ブレ補正機構も付いていない。広角側カメラは手ブレ補正機構を搭載している。ただでさえ望遠の方が手ブレが目立つわけで、それじゃあ暗いところで望遠で撮ると手ブレしちゃうじゃないか。

 ではこの写真を見ていただきたい。

iPhone 7 Plus

 夜、葉っぱの上にちょこんと実がのっかっていたのがなんともキュートだったので2xにして撮った写真である。

 もとの1xの写真はこちら。

iPhone 7 Plus

 いやあ、画面の「2x」をタップするだけでさっと大きくなるのはたまらんですわ。

 でもよくみると、ちょっと粗い。F2.8の分、ISO感度が上がったのかなと思ってEXIF情報をよく見ると、なんと、シャッタースピードが1/17秒で絞りがF1.8、実焦点距離は4mm(35mmフィルム換算で28mm)と書いてあるではないか。

iPhone 7 Plus

 そう、2xにしたのに望遠側カメラではなく広角側カメラのデジタル2倍ズームになっているのである。

 このあとあれこれ調べた結果。次のことが分かった。普段はもちろん「2xにすると望遠側カメラ」が使われるが、次の2つのどちらかの条件に当てはまると、望遠側カメラではなく、広角側カメラのデジタル2倍ズームで撮影されるのだ。

その1:暗いとき

 望遠側はレンズがF2.8の上に手ブレ補正機構を持たないため、暗くなるとISO感度を上げてシャッタースピードを上げないと、どうしても手ブレしてしまう。そうすると画質が落ちる。

 無理にISO感度を上げるくらいなら、レンズが明るくて手ブレ補正がついた広角側のデジタルズームの方がきれいに撮れるという判断だ。実は、それはとても理にかなっているのである。一概に望遠側を使えばいいってもんじゃないのだ。

 日没直後、徐々に暗くなっている中、どのくらい暗くなると両者が切り替わるのか、じーっと待って撮り比べてみた。ちなみにあれこれ実験したかったので、全て三脚を使って撮っております。

 これが広角側の写真。

iPhone 7 Plus

 これを2xにして撮る。17時39分に撮った写真はちゃんと望遠側カメラを使っていた。

iPhone 7 Plus 望遠側

 17時52分に撮った写真は広角側を使っていた。

iPhone 7 Plus 広角側のデジタル2倍ズーム

 じゃあ、本当に広角側でデジタル2倍ズームにした方が望遠側でISO感度を上げて撮るより効果的なのか。

 実は「ProCamera」というアプリがいち早くiPhone 7 Plusに対応し、広角カメラか望遠カメラを固定する機能を付けてくれたのである。ありがたや。

iPhone 7 Plus ProCameraの設定画面。望遠側にカメラを指定して撮ってみた

 一般に、手ブレ補正機構がない場合、56mmのレンズなら1/56秒が手ブレしない目安といわれている(もちろんケースバイケースであるが)。だから、シャッタースピードを1/50秒にして望遠側でムリヤリ撮ってみた。ISO感度はISO1250まで上がっている。

 その結果がこちら。

iPhone 7 Plus

 比べてみよう。左が広角側カメラで撮ったもの(広角側でデジタル2倍ズーム)、右が望遠側カメラで撮ったもの(望遠側でデジタルズームなし)。

iPhone 7 Plus 左手が広角側のデジタル2倍ズーム。右が望遠側のズームなし

 確かに、広角側のデジタル2倍ズームの方が、ディテールはつぶれぎみなものの、ノイズが少なくて滑らか。望遠側で強引に撮った方はISO感度を上げすぎた分、ノイズが増えてざらついている。

 好みはあるだろうが、確かに必要に応じて広角側カメラを使う理由があるのであった。これ、すごく賢いと思う。

 基本的に広角側のカメラをメインに使っているようで、例えば、2xにして望遠側カメラで撮影するときでも、広角側カメラのレンズをふさぐと撮影はできなくなる。画作りや露出の決定などに広角側カメラからの情報も利用している可能性がある。

 逆に広角側で撮るとき望遠側を塞いでも問題ない。

その2:近接撮影のとき

 もう1つパターンがあるのを発見した。撮影距離が近いときである。撮影距離をあれこれ動かしながら撮ってみると、30数cmより近くなると2xにしても広角側を使うようになるのである。

 これはもしやレンズの撮影最短距離によるものではないかとテストしてみると、確かに、望遠側のレンズに固定すると(サードパーティーのアプリ使用)、30cmくらいより近づくとピントが合わなくなる。一般に望遠の方が撮影最短距離が長くなるわけで、ユーザーに「望遠側のレンズに切り替えたのでもう少しカメラを離してください」なんていうのは無粋である。

 そこでカメラ側で上手に広角側カメラと望遠側カメラを切り替えて対応しているのである。

iPhone 7 Plus 望遠側レンズで撮ったサボテン
iPhone 7 Plus さらに寄ったら、広角側レンズ+デジタル2倍になったサボテン

 確かに等倍表示してディテールをチェックすると、広角レンズ側で撮った方がどうしてもディテールが甘いが、普通に使っている分には気にはならず、むしろ「2xボタンをタップするだけでこんなにデカく撮れる」と気持ちよくシャッターを押す方が楽しいのである。

 というわけで、この原稿は「デュアルカメラがどう違っていて、どう使い分けているか知りたい」というマニアックな人だけ読んでください(今更なにをいうか)。

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