もっとも、MONOだけがドコモの冬春モデルの売りではない。MORE varietyのキャッチコピーが示すように、ラインアップ全体を見渡すと、以前よりも端末のレンジが広がっていることが分かる。同時に、「ドコモだけ」にしかないスマートフォンも、充実させた。
プロセッサでいえば、いわゆるハイエンドモデル向きの「Snapdragon 820」を採用したのは、LGのV20 PROとXperia XZのみ。「Xperia X Compact」は「Snapdragon 650」で、「arrows NX」や「らくらくスマートフォン4」は「Snapdragon 625」と、ミッドハイ向けのプロセッサを採用するモデルの割合も増えた。
先に挙げたMONOも、吉澤氏に「ローエンド」と評されてはいるが、「あくまで価格がローなだけで性能はいい」(ドコモ担当者)という位置付けで、プロセッサもSnapdragon 617となる。また、「AQUOS EVER」や「Disney Mobile on docomo DM-01J」は「Snapdragon 420」を採用しており、これら2モデルはミッドレンジに属する端末だ。
スマートフォンの性能が全体的に上がり、SNSやWebブラウジングをするのであれば、ミッドレンジモデルでも十分なパフォーマンスを発揮できるようになった。かつてのように、ハイエンド一辺倒にする必要はなくなったというわけだ。こうした事情もあり、ドコモの冬春モデルは掲げたテーマ通り、バラエティに富んだラインアップになっている。
差別化という点では、MONOだけでなく、Xperia X Compactを国内で独占提供する。arrows NXやAQUOS EVERもドコモだけのブランドで、他社に比べ、選びがいのあるラインアップを打ち出しているといえるだろう。
夏モデルの発表会では、端末の投入サイクルを年1回のペースにしていく方針が語られていたが、その一方で「バラエティを出す流れは当然ある」(吉澤氏)。ミッドレンジモデルの層を厚くした上で、オリジナルモデルのMONOを投入し、ラインアップの幅を出したというのが冬春モデル全体の特徴といえるかもしれない。
ドコモは、4月に始まった“実質0円禁止”以降も、端末の総販売数が大きくは落ち込んでいない。これは10月13日に開催された「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」で明らかになったことだが、相対的にシェアの大きいドコモは、MNPの影響が少なくなればなるほど有利になる。他の2社より機種変更需要も大きいため、総販売数に与える影響が少なかったというわけだ。こうした事情もあって、他社よりスマートフォンのバラエティを出しやすかったという見方もできる。
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