“全キャリア対応”をうたったFREETELの「ARIA 2」、WiMAX 2+ルーター用SIMカードで使えず5分で知る最近のモバイルデータ通信事情

» 2016年12月27日 19時25分 公開
[島田純ITmedia]

“全キャリア回線で使える”がウリだった「ARIA 2」

 プラスワン・マーケティング(FREETEL)は12月2日、モバイル無線LAN(Wi-Fi)ルーター「ARIA 2」を発売しました。

 ARIA 2はSIMロックフリー仕様で、日本国内で使われているLTE/W-CDMA(3G)の主要な周波数帯(Band)をカバーしていることが特徴です。その中には、UQコミュニケーションズ(以下「UQ」)の「WiMAX 2+」やWireless City Planningの「AXGP」で使われている「Band 41」も含まれています。

 そのため、FREETELは発表時から発売日に至るまで、ARIA 2が「日本国内のどのキャリアでも使える」こと、特にUQのWiMAX 2+に対応したことを大きくアピールしていました。

発売日の店頭掲示 発売日に展示されていたARIA 2と、その特徴を示すポップ。WiMAX 2+が利用できることをアピールしていた(現在は修正済み)

 しかし、WiMAX 2+ルーターに付随するSIMカード(以下「WiMAX 2+ルーター用SIMカード」)は、UQと同社のMVNOが販売する純正のWiMAX 2+ルーターと組み合わせた場合のみ通信できます。ネットワーク側で、利用している端末(ルーター)を判別しているのです。

 ARIA 2は、“通信規格”としてのWiMAX 2+には対応していますが、“純正”のルーターではありません。よって、ARIA 2にWiMAX 2+ルーター用SIMカードを入れてもデータ通信できないはずなのです。しかし、発売前に公開されたARIA 2のWebサイトを見るとどうでしょう。「WiMAX 2+のSIMカードで使える」という旨が明記されていたのです。

対応キャリアに「WiMAX 2+」の記載が Webサイトの対応キャリアに「WiMAX 2+」の記載が(現在は修正済み)

 不思議に思った筆者は、この件についてFREETELのカスタマーサポートや家電量販店の店頭で質問してみました。すると、一様に「WiMAX 2+契約のSIMカードで使える」という回答が帰ってきたのです。念のため「au回線を利用するMVNOサービス(『mineo』や『UQ mobile』)用のSIMカードではなく、WiMAX 2+ルーター用SIMカードで使えるのか?」と何度も確認しましたが、回答は変わりませんでした。

 半信半疑ではありましたが、筆者はARIA 2をWiMAX 2+ルーター用SIMカードで利用できるように、FREETELがUQと何らかの形で合意したのだと理解することにしました。

届いた「ARIA 2」 WiMAX 2+ルーター用SIMカードを入れてみると……

 筆者は、発売日(12月2日)にARIA 2を購入しました。さっそくWiMAX 2+ルーター用SIMカードを入れて……みたのですが、待てど暮らせどアンテナピクトが立ちません。

 APN(データ通信の接続先)の一覧を見てみると、「UQ mobile」のAPNはプリセットされていましたが、WiMAX 2+ルーター専用SIMカードのそれはありませんでした。この時点でかなり“いやな予感”はしていましたが、「手動でAPNを入力すればつながるかもしれない」と一筋の希望を持って設定し……ましたが状況は変わりませんでした。

 つまり、当初から思っていた通り、ARIA 2とWiMAX 2+専用SIMカードでは通信できなかったのです。

WiMAX 2+ルーター用SIMカードを入れたARIA 2 WiMAX 2+ルーター用SIMカードを入れたARIA 2。アンテナピクトも立たず、通信もできない

 その後、この件についてFREETELのカスタマーサポートと数往復のやりとりをして、最終的に「ARIA 2はWiMAX 2+ルーター用SIMカードでは使えない」という旨の回答を得ました。FREETELが動作確認を行ったのは、WiMAX 2+ルーター用SIMカードではなく、au回線を使ったMVNOサービス(UQ mobile)のSIMカードだったようです。

 発売後、ARIA 2のWebサイトから「WiMAX 2+」の記載は削除され、家電量販店の店頭における展示内容も変更されました。また、12月5日以前にWiMAX 2+ルーターからの買い換えを目的に購入したユーザーに対しては、返金対応も行っています。

店頭における変更後の展示 発売後に変更された店頭のポップ。「WiMAX 2+対応」が削除され、WiMAX 2+ルーター用SIMカードに関する注意書きが追加された

実は発表会で指摘されていた「非対応」 社内での情報共有にも課題か

 ARIA 2を購入し、WiMAX 2+ルーター用SIMカードで接続できないことを確認できた後で気付いたことですが、プラスワン・マーケティングが6月に開催した「新製品・新サービス発表会」において、同社の増田薫社長は「UQは接続できる端末を(ネットワーク側で)コントロールしているが、ARIA 2は本当にWiMAX 2+ルーター用SIMカードで使えるのか?」という質問を記者から受けていたようです。この様子は、YouTubeにもアップロードされています。

 また、ITmedia Mobileにおける発表時の記事を執筆した井上翔氏によると、この会の終了後に同社の広報を通して同様の質問を行ったところ、「改めてARIA 2でUQ回線の接続検証を行ったところ、正常に接続できることを確認できた」という回答を得たとのことです。

 筆者の見立てでは、ここでいう「UQ回線」は「WiMAX 2+ルーター用SIMカード」ではなく「UQ mobileのSIMカード」のことであったのだと思われます。この動作確認時をもって、「WiMAX 2+に対応した」「UQのWiMAX 2+ルーター専用SIMカードでも使える」という“誤解”が同社の社内で広がり、結果として公式見解となったのでしょう。

 やや厳しい言い方になりますが、発表から発売までに約6カ月の期間があったにもかかわらず、“誤り”を訂正できなかった同社は、日本のキャリアが提供するサービスの仕様や制限を正しく理解しているスタッフがいないか、いたとしても知識・情報としてうまく共有できない組織であった、ということになります。

 「日本品質」をアピールする同社ですが、少なくともARIA 2にまつわる筆者が経験した商品説明やカスタマーサポートの対応については、“お粗末”であったというのが率直な感想です。

 同社の増田社長は、この件を踏まえて「徹底的に体制を改善」したとしています。この言葉が本当かどうか、今後しっかりと見極めていこうと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  8. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  9. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
  10. どこでもウユニ塩湖? 3COINSで550円の「スマホ用反射ミラークリップ」を試す (2026年03月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年