ファーウェイ・ジャパンが2月24日にミッドハイのスマートフォン「HUAWEI nova」、ミッドレンジの安価なスマートフォン「HUAWEI nova lite」を発売する。
Pシリーズはデザイン性やファッション性を重視しており、Mateシリーズはビジネスマンを主なターゲットにしている。一方でnovaシリーズのターゲットは「若者」。ファーウェイ・ジャパンのデバイスプレジデント(端末部門社長)呉波(ゴ・ハ)氏によると、novaというシリーズ名は「Innovation(革新)」の「nova」から取ったもので、「新しい星」「活力に満ちた製品」といった思いを込めた。
Huaweiはハイエンドモデルを中心とした「プレミアム戦略」に注力しており、日本市場でも「選び抜いた製品だけをお届けしたい」(呉氏)という思いがある。novaは「若者向けのフラグシップ」という位置付けであり、「若い人に対して、より競争力の強い製品を提供していきたい。面白い撮影機能や長い稼働時間など、もっといろいろな特徴を出したい」と同氏は意気込む。実際、novaは他のHuawei端末にはないインカメラの「メークアップモード」や、同社が「2日持つ」とうたう3020mAhの大容量バッテリーを搭載している。日本のHuawei端末では珍しいピンク系の「ローズゴールド」もラインアップした。
では、なぜ若者向けなのか?
Huaweiの2016年を振り返ると、グローバルでのスマートフォン販売台数は1.39億台で、前年比で29%増と好調だ。そのうち、ミッドレンジ、ハイエンドスマートフォンの販売シェアは36%を占める。BCNの調査によると、日本での2016年のSIMロックフリースマートフォンの販売額は1位(シェア28.8%)となった。さらに、12月の全スマートフォンでは、Apple、ソニーモバイルに次いで販売台数が3位に上り詰めた。
GfKの販売ランキング(2月6日〜2月12日)では、全キャリアの総合ランキングで「HUAWEI P9 lite」が10位にランクインした。SIMロックフリー端末がトップ10に入るのは初めてのことで、呉氏も「歴史上類を見ない快挙だ」と胸を張る。
このように国内市場での好調が際だつHuaweiだが、唯一攻め切れていなかったのが「若者」だった。novaシリーズには「これまでのラインアップで足りなかった部分を補う」(呉氏)という狙いがある。Huaweiは現在、日本ではMate、P、nova、GR、honorという5つのシリーズを展開しており、2017年もこれら「5つのシリーズをしっかり売っていきたい」と同氏。
「若者向け=低価格」とイメージしがちだが、機能を求める若者も当然いる。novaはP9のカラーセンサー(片方のカメラ)と同等の1200万画素カメラ、高級感のあるアルミボディー、3GBメモリ、大容量の3020mAhバッテリー、LTE/3Gの同時待受(DSDS)やau VoLTEにも対応するなど、「ハイエンド」と言ってもおかしくない内容。それでいて価格は3万円台に抑えており、コスパは高いといえる。
また、スペックの近い「honor 8」が4万円台、P9 liteが2万円台で、ここ最近のHuaweiスマホでは3万円台のモデルが不在だった。nova/nova liteが入ることで、1万円台(nova lite※税別)、2万円台(P9 lite)、3万円台(nova※税別)、4万円台(honor 8)、5万円台(P9)、6万円台(Mate 9)と、1万〜6万円台の価格帯を満遍なく埋められる。世代や属性は抜きにして、novaシリーズの投入には「3万円台(1万円台)のスマホが欲しい」というニーズに応える狙いもありそうだ。
2月26日には、スペインのバルセロナで開催される「Mobile World Congress 2017」でPシリーズの新機種「P10」と「P10 Plus」を発表する。呉氏は新製品について「単なる後継機ではなく、画期的で、ワオと言っていただけるような、驚きを与えられる製品」とコメント。novaシリーズでしっかりと脇を固め、Pシリーズでど真ん中を攻めるHuawei。2017年も、世界と日本でさらにシェアを伸ばしそうだ。
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