実は“キャリア品質”のWikoスマホ 日本市場での勝算を前田社長に聞く:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/3 ページ)

» 2017年05月15日 15時54分 公開
[石野純也,ITmedia]
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 フランス発のスマートフォンメーカーとして急成長を遂げ、欧州やアジアにもその勢いを広げているのが、Wikoだ。同社のお膝元であるフランスでは、並み居るメーカーを抜き、シェアはSamsung Electronicsに迫る2位を獲得。欧州では、その他の国でもシェア上位に顔を出すメーカーとなった。デザインや企画を欧州で行う一方、製造は出資先でもある中国の工場で行い、コストパフォーマンスに優れているのが、人気の秘密だ。

 そのWikoが、2月に日本に上陸した。日本での初号機に選ばれたのが、エントリーモデルの「Tommy」。カラフルなボディーとグラフィックが売りで、Wikoはこれを“エンタメガジェット”と位置付けている。1万円台前半のエントリーモデルながら、au VoLTEにも対応する。Tommyは欧州でキャリアモデルとして販売されており、ここで培った技術力が生かされた格好だ。Wikoは第2弾、第3弾の日本投入も検討しており、徐々にシェアを固めていく方針を掲げる。

Wiko 日本で発売されたWikoのスマートフォン「Tommy」

 とはいえ、SIMロックフリースマートフォン市場は、今や群雄割拠と呼べる状況だ。Huawei、ASUS、FREETELなどに加え、有名どころだけでも、Motorola、ZTE、富士通、シャープなど、幅広いメーカーがひしめき合っている。Wikoの勝算はどこにあるのか。同社の日本法人であるWiko Japanで社長を務める、前田浩史氏にお話を聞いた。

販促効果でTommyの販売台数は増えている

Wiko Wiko Japanの前田浩史社長

―― Tommyの発売から、2カ月ほどたちました。出足の感触はいかがですか。

前田氏 出たときはいろいろ初めてだったので、どうしていいか、試行錯誤しながら動いていましたが、ありがたいことに、販促をし、露出度が高まるのに伴い、販売台数が増えてきているというのが現状です。今やっているキャンペーンでお話しておきたいのが、(Tommy用ケースの)Folio WiCUBEプレゼントキャンペーンです。この手応えがよかった。

 WikoのTwitterアカウントをフォローし、リツイートした方にFolio WiCUBEをプレゼントするというものでしたが、「当たった」という反応がけっこう来ています。Tommyをまだ持たれていないのに、リツイートしてくださる方もいて、「他のカラーが出たらすぐに買う」と言っていただけています。そういった形で、徐々にではありますが、数字が伸びてきています。また、キャンペーンということでは、量販店さんでも展開を始めていて、オリジナルのトートバックを差し上げています。

Wiko キャンペーンで入手できるケース「Folio WiCUBE」

―― アクセサリーまでそろうのは、やはりWikoの強みですからね。

前田氏 それがわれわれの売りです。欧州ではBluetoothイヤフォンなど、カジュアルな形でのアクセサリーをそろえています。これは日本でも用意する予定ですが、Bluetoothということで技適を取る必要もあり、今、その段取りを始めているところです。Bluetoothイヤフォンも欧州では非常にいいフィードバックを得ていて、Tommyのような廉価な端末を買われて、アクセサリーと組み合わせて“エンタメ端末”として楽しんでいる方がいる。外でも内でも楽しめるという使い方です。

―― Bluetooth製品以外はいかがですか。例えば、アクティビティートラッカーなどは……。

前田氏 逆に、どうですか?

―― 身に着けるものだけに、好みが大きく分かれそうな気もします。

前田氏 そうですよね。われわれとしては、まずスピーカーやイヤフォンなどを充実させていきたいと考えています。

Tommyの品質は海外キャリアのお墨付き

―― 日本版のTommyはメモリ(RAM)、ストレージ(ROM)がそれぞれ強化されていましたが、これにはどのような理由があるのでしょうか。(メモリは1GB→2GB、ストレージは8GB→16GBに強化)

前田氏 日本はやはり(コンピュータ)ゲーム発祥の地であり、ヤングジェネレーションでゲームをヘビーに使う方が非常に多い。ストリーミングを見る方や、Instagramのユーザーも多いですからね。

Wiko Tommyの主な仕様。日本版はメモリとストレージが強化されている。ディスプレイは5型のHD(720×1280ピクセル)。カメラはアウトが800万画素、インが500万画素

―― つまり、それらがきちんと動くようにしたということですね。

前田氏 手前みそですが、このお値段でこれだけそろえているのはなかなかありません。発表会のときには言えませんでしたが、auさんのVoLTEにも対応しています。

―― IOT(相互接続性試験)を通して日本の周波数にも対応し、このお値段というのはかなり日本法人が頑張ったところではないでしょうか。

前田氏 これはだいぶ本社を説得しました(笑)。ただ、ありがたいことに、基本的な部品は欧州版と変えていません。VoLTE対応と周波数をどう合わせるかですが、そのほとんどがソフトウェアの処理で片付いたのがよかったですね。RF(アンテナ周り)に関していえば、ほとんどスルーで持ってくることができました。

―― Tommyは欧州キャリアに向けに開発されたモデルと伺いましたが、具体的にはどこが他のモデルと違うのでしょうか。

前田氏 事前にWikoの本社で欧州の主な事業者に、「こういう端末を出します」という企画を出しています。彼らも、「自分たちのポートフォリオに、こういった形で組み込みたい」と指示をしてきます。キャリア独自アプリも入れていて、ギチギチのSIMフリーではなく、オペレーターコンプライアント(準拠)で先行してお話をしています。

 採用が決まったところから具体名を出している状況で、Tommyに関して言えば、イタリアのTIM、フランスのORANGE、France Telecomの3つが公開されています。日本のイメージで言えば、ドコモショップやauショップに行かれると端末が並んでいると思いますが、あれらと同じような扱いですね。日本に持ってくる機種は、Tommyを含め、次の機種もオペレーターのお墨付きをもらっているものになります。

―― それは、品質的な理由からでしょうか。

前田氏 品質の問題が1つと、欧州事業者のIOT(相互接続性試験)を通っていることが大きな要因です。その辺は、やはり欧州の事業者も厳しいですからね。

 技術的な話になりますが、日本はFDDだけでなく、TDDのLTEもやっていますが、欧州はTDDが欠けています。あちらの事業者が日本のネットワークをチェックしにくる機会も当然あり、ネットワークに関して一番進んでいるという認識も持っています。常々お話したように、日本に進出した理由の1つは、MVNOやSIMフリーのオポチュニティがあることですが、5Gでもっとも進んでいるところからフィードバックを得たい。ラーニングバリュー(学習価値)があるということです。

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