インタビュー
» 2017年05月15日 15時54分 公開

SIMロックフリースマホメーカーに聞く:実は“キャリア品質”のWikoスマホ 日本市場での勝算を前田社長に聞く (3/3)

[石野純也,ITmedia]
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デュアルカメラ搭載の「WIM」の日本発売も前向きに検討

―― Mobile World Congressでは、デュアルカメラ搭載の「WIM」を発売されましたが、日本展開の可能性を教えてください。

前田氏 WIMはTommyよりも年齢層の高いユーザーを狙った機種で、ヤングアダルト向けです。日本発売も、検討の余地が非常に大きな端末です。7月ぐらいから欧州で大きなキャンペーンを予定しているので、ぜひ注目していただきたい。これに関しては、欧州版はキャリアアグリゲーションもVoLTEもフルフルでやっています。

―― つまり、WIMもネットワーク的にはキャリアの要望に沿っているということですね。

前田氏 これからネットワークはどんどん複雑になっていくので、カバーしてほしいという要望は当然あります。2機種(WIM、WIM Lite)とも、キャリアチャネルから発売されます。

―― 比較的スペックの高い「Uシリーズ」もありますが、こちらとWIMはどうすみ分けているのでしょうか。

前田氏 WIMはフラグシップでキャリアチャネル、Uレンジの端末はSIMフリーで家電量販店と、完全にすみ分けができています。

―― なるほど。主に販路が分かれているということですね。

前田氏 そうです。

―― 参入されたばかりですが、日本ではキャリアチャネルを狙っていくのでしょうか。

前田氏 日本は要求仕様が高いですからね。もちろん、全キャリアとコネクションはありますし、キャリアチャネルといってもいろいろあるので、お話は進めています。ガチガチのキャリアブランドで出すところもある一方で、Y!mobileのように縛りが緩い(SIMフリー端末も一部販売している)ところもあります。まずは緩いところから、早ければ今年(2017年)中には……ですね。

―― 日本では、年間機種出すというような目標はありますか。

前田氏 年間数機種。希望的には2機種、できれば3機種出したいと思っています。

―― もう5月なので、あと半年ちょっとですね。

前田氏 これから頑張らないといけないのですが、サマー、オータム、あとはウインターに1機種あるといいんですけどね。それプラス、Tommyの後継機も考えなければいけないと思っています。

―― Tommyは2016年のIFAで発表され、2月に日本に導入されましたが、発表から日本発売までのリードタイムは、だいたいこのぐらいを見ておけばいいのでしょうか。

前田氏 日本のマーケットはハイレベルで、事業者の仕様でネットワークも決まってしまいます。今、欧州版を作る際に、日本版の仕様をあらかじめ載せてもらえないかという動きを私の方でしています。それができれば、来年(2018年)のMWCあたりで「日本でも発売する」と発表できるのではないでしょうか。ただし、技適を通さないといけないので、それができたとしても2カ月は遅れてしまいます。

競合他社との差別化は?

―― 先ほど、日本にはキャリアモデルを持ってきたいというお話がありましたが、その他のラインアップはどのようなものをお持ちなのでしょうか。

前田氏 「Yレンジ」という言い方をしていますが、Tommy以外にも、「Remmy」や「Sunny」など、5文字で最後に「Y」がつくものがあり、ここにはヤングやユーなどの意味を込めています。WIMはハイエンドで、Uはその真ん中です。そこから外れたものとして、廉価版の機種があります。ブリスターケースに入って、50ユーロ、60ユーロで売られているような機種ですね。

 Wikoは欧州以外だと、ナイジェリアやケニアなどのアフリカまでカバーしています。その地域は、固定網を引くとお金がかかるので、基地局を先に立てていてネットワークはあるものの、高い機種が売れない。そういったところで、GSMの携帯電話も販売しています。また、ベトナムのチームには、東南アジアではOppo、Vivoあたりが競合になっているといわれています。

―― アジアにも進出していますが、中国はいかがですか。

前田氏 Wikoは一切中国に手をつけない、製造元のTinnoも機種は基本的に販売しておらず、どちらのブランドの機種もありませんが、SUGARという別ブランドの端末だけを出しています。中国でやり始めると、過当競争でブランドがぐちゃぐちゃになってしまうので、あえてやらないというコンセプトにしています。

―― WIMも発表されましたが、ハイエンドに近くなればなるほど、競合も増えてくると思います。この際には、どういった点が差別化になるとお考えですか。

前田氏 3つあります。1つ目がフレンチDNAということで、フレンチインスピレーションのあるデザインです。次が機能で、VoLTEを入れてもこの(Tommyのような)値段でやっています。最後は価格で、ハイスペックに近いところまで、一番安く持ってきたいというのがわれわれの考え方です。それにプラスして、日本では、キャリアバージョンの端末を持ってくるということを方針にしています。

取材を終えて:ライバルが多いSIMフリー市場でどう存在感を示すか

 MWCやIFAなど、欧州で開催される展示会に参加すると、Wikoの存在感が年々増していることが分かる。コストパフォーマンスを武器に欧州で成長したWikoは、ちょうど日本のSIMロックフリースマートフォン市場を、数年先取りしているような格好だ。

 一方で、日本では、HuaweiやASUSなど、先行したメーカーが大きなシェアを持つようになった。欧州におけるWikoのようなポジションのメーカーが、少なくないというわけだ。欧州で高いシェアを誇るWikoにとっても、この市場は攻略が難しいかもしれない。もっとも、日本ではSIMロックフリースマートフォン市場自体が、スマートフォン全体で見るとまだまだ小さく、伸びしろはある。Wikoの戦略がどう受け止められるかは、引き続き注目しておきたい。

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